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第205話 宝箱からレアアイテムが出た時は分配で揉める

前回のあらすじ

ダンジョン攻略を再開

今度は森のエリアだった

道なり以外が罠だらけだった

 十二階層のマッピングを済ませた俺は姫姉たちに「先に進もう」と声を掛けると姫姉が「了解」と言いつつ椅子を片付けてから十三階層に続く階段を下りた。

 十三階層もこれまでと同様に一面森といった様相でさらに今回は用意されている道が上り坂になっていた。

「下に下ってるはずなのに上り坂なんだね」

 俺も思っていた事をぽろっと姫姉が口から溢し、俺はその言葉に「やっぱりダンジョンだからじゃない?」と理論もへったくれも無い言葉を返した。

「それもそうかな、取りあえず道なりに進むんだよね?」

「うん、取りあえず道なりを外れて進むとトンデモな罠塗れだから……」

 俺は軽く透視盗撮で見た道なりを外れた森の中を伝えると姫姉も嫌そうな顔をして「はぁ、道なりが一番安全ってことね」とため息を吐きながら言った。


 それから俺たちは道なりに山道を登っているとここで初めての分かれ道に当たった。

 ここでは透視盗撮で先を見通せるのでどっちが正しい道か分かるが一応ダンジョンでの感覚を鍛えるために出来る限りスキルを使わずに進んできたのでどうしようか悩んでいると姫姉が声を掛けてきた。

「もしかしてスキル使うかで悩んでる?」

「うん、一応これまではスキルに頼りっきりにならない様に地力を鍛える為にスキルを極力使わない様にして来たから今回はどうしようかなって」

「う~ん、確かに優君の言いたい事は分かるけどどうせスキル使わなかったら運任せの棒を投げて決めるんでしょ?」

「うん、それ以外にいい方法ないし」

「でもそれもステータスのLUK値に依存してると思うんだよね。結構当たりの道を指してたと思うし。それならスキル使っても良くない?」

「確かに言われてみればこれまでの運任せだと良く当たってたと思う。それに透視盗撮スキルで見たとしてもマップを確認しなければ見つけられなかった罠を事前に知ることも無さそうだし、決めた! 時間の無駄だし分かれ道では使うことにする」

 俺はそう言ってスキル透視盗撮を発動して右の道の先を見通し、この道が行き止まりだが宝箱がある事が分かった。


「姫姉、右の道は行き止まりだけど宝箱がある」

 俺がそう伝えると姫姉が「今すぐ行きましょ!」と食い気味に言って来て俺たちは右の道を進むことになった。

 道中は透視盗撮で見た通り特に何も無く、宝箱のある行き止まりまでスムーズにたどり着いた。

「という訳で優君チェックお願い」

 姫姉は宝箱に鑑定解析を使うように言ってきたので俺は鑑定解析を使って宝箱を調べた。



 《鉄の宝箱》

 誰が設置したのか誰も知らない鉄製の宝箱

 ダンジョンで亡くなった人の持ち物が入っているともされるが真偽しんぎは不明

 罠は無いが鍵が掛っている


 この宝箱はダンジョンの管理をしている神の従者が適当に設置した物

 中身も開くまで決まっておらず宝箱に触れた瞬間に一定ランクの物がランダムで選ばれる

 ちなみにLUK値が高い方が良い物が出やすい

 鍵の解除にはスキル鍵開けLv.1が必要

 無理矢理こじ開けると中身のランクが下がる



 俺は調べて分かった事を姫姉に伝えると「鍵開けかぁ、私は持ってないよ」とスキルが無いと伝えて来た。勿論俺も鍵開けスキルは持っていないのでこうなったらスキルポイントを使って取るかと思っていると少女がおずおずと声を掛けてきた。

「私、開けられますよ」

 少女のその言葉に俺と姫姉はバッと振りかって「「マジで!?」」と聞き返した。

俺と姫姉の二人から詰め寄られた少女はプルプルと震えながらも「はい、鍵開けスキルならレベル3です」と申告してきた。


 その言葉を聞き俺と姫姉は少女に宝箱の鍵を開けて貰うことにした。

 少女は宝箱の鍵穴を覗き小さく「コレなら」と呟くと何処から取り出したのか色んな形状の金属の棒を鍵穴に差し込み少し弄ると「カチャンッ」と鍵の開く音がし、少女が「開きました」と報告してきた。

 宝箱を開けるのはこの中で一番LUK値の高い俺の仕事なので良いの来いと念じながら俺は宝箱を開けた。

 中には袋を締める紐に綺麗な石が付いた革袋が入っているだけだった。

 見た時点で俺はコレが何か予想が付いたが一応念のため鑑定をすると予想通りの結果が返って来た。



 《マジックバッグ(小)》

 空間拡張と重量軽減のエンチャントが施された魔法の袋

 サイズは3×3×3の27㎥

 軽減重量は収納物の20%


 制作の神に仕える天使の失敗作

 天使の昇級試験で本当はマジックバッグ(大)を作るはずが使う素材を間違えて出来た物

 捨てるには勿体ないので宝箱の当たり枠の一つになった



 何かとんでもない解析結果を見たがそれは置いておいて、無限収納アイテムボックスを持っている俺たちからすればあまり旨味の無いアイテムだが無限収納アイテムボックスやマジックバッグを持ってない少女からすれば喉から手が出るほど欲しいアイテムだろう。何ならメチャクチャ欲しそうにマジックバッグを眺めている。

 俺は姫姉と目を合わせ目で会話しマジックバッグを少女にあげることにした。

「コレは貴女が持ってて」

 姫姉はそう言うとマジックバッグを手に取り、無限収納アイテムボックスから食料と飲み物を取り出してマジックバッグ入れて少女に手渡した。

「受け取れません!」

 このサイズでもそれなりの額になるのを知っている少女は受け取れないと姫姉に返そうとしたが姫姉は知らん振りで少女から逃げ、少女は今度は俺に返しに来たが俺も知らん振りをした。

 おれたちが受け取り拒否をし続けやっと諦めたのか少女は俺たちに「ありがとうございます」と言ってマジックバッグを大切そうに懐に仕舞い込んだ。



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