第200話 分け前の分配
前回のあらすじ
姫姉と一緒に解体所に行く
解体所でダンジョンの戦利品を査定して貰う
合計で一万八百四十シアになった
「一万八百四十シアか……、結構な金額になったな」
ギードさんから売る物の合計金額を聞いて俺はそう呟き、「そうだね」と姫姉が俺の呟きに返して来た。
「それで全部売却ってことで良いんですか?」
俺と姫姉が金額に素直に驚いているとギードさんがそう尋ねて来て俺は特に問題が無いと思ったので姫姉と顔を合わせて互いに納得しているとアイコンタクトで確認してから「問題ありません」と俺が答えた。
「そうですか、なら交渉成立ってことで……。それで代金ですがギルドカードに入金か現金か選べるがどっちにします?」
まさか王城でギルドカードに入金できるとは思わずギードさんからの思いがけない提案に俺と姫姉は驚いた。
ギルドカードに入れれるとは思わず驚いたが今回の報酬は部屋で待っている少女の分も持ってきているので現金で貰った方が良いと思い俺は姫姉にその事を伝えてからギードさんに「現金でお願いします」と返した。
「分かりました、今から持ってくるんでちょっと待っててください」
ギードさんはそう言うとドナートさんと一緒に俺たちから買い取った商品を奥に運んでいき、少ししてから袋と魔石が入っていた箱に似た箱を持って戻って来た。
「お待たせしました、金貨10枚と銀貨が8枚に銅貨が4枚で一万八百四十シアになります。ご確認ください」
ギードさんは袋からお金を取り出して持ってきた箱に一枚ずつ入れて間違いが無い様に俺たちに確認するように見せてきた。
俺と姫姉は箱に入れて数えやすくなったお金の枚数に間違いが無いこと確認して「大丈夫です」と俺が返すとギードさんが箱に入ったお金を袋に入れて「お受け取り下さい」と言って袋ごとお金を渡して来た。
俺はそれを受け取って「「ありがとうございました」」と俺と姫姉はそう言ってメルリアさんに連れられて解体所を後にした。
解体所を出て俺と姫姉は少女を呼んで俺の部屋に集まった。
「それじゃあダンジョンの戦利品の売却金を皆で分けたいと思いまーす」
俺が場を盛り上げようとそう言うと姫姉から「そう言うのいいから」と水を差され、出鼻をくじかれた俺は咳ばらいをしてから再び口を開いた。
「んんっ、改めて今回の売却金の合計は一万八百四十シアなので一人三千シアで分けて残りはパーティーの資金としてプールするって事で良いかな?」
俺がそう提案すると姫姉からは「私はソレでいいわよ」と同意を貰え、少女からは「そんなに貰っていいんですか?」と恐る恐るといった様子で聞き返された。
俺からすれば妥当だと思ったが他では違うのかと思いまだ部屋の外で待機しているメルリアさんに念話で確認をすることにした。
(メルリアさんちょっといいですか?)
(ッ! ユーマ様、どうかされましたか?)
急に念話をしたのでメルリアさんから少し驚いた感情が流れてきたが直ぐに気を取り直したようで冷静な声が届いた。
(ちょっと訊ねたいことがありまして)
(私に答えれる範囲ならばお答えしますがどのような事でしょうか?)
(今さっきのお金を皆で分けようと話してたんですけど一人三千シアで残りをパーティー資金にしようって提案したら少女が三千シアも貰って良いのかって驚いてて)
(そうですね……、それですと少し多いと感じられるかもしれませんね。普通は人数より一人分多い数で割って出た金額が個人の分け前で残りの一人分がパーティーの資金といった分け方が冒険者の間では主流ですね)
俺がそう訊ねるとメルリアさんは少しだけ悩んだ後、冒険者パーティーの主流を教えてくれた。
(そうなんですか)
(ですがあくまでもそれが主流なだけでユーマ様のやり方が間違っているとは思いません。極端なところではパーティーの資金は無しで山分けというところもありますので)
俺が普通はそうなのかと納得しているとさらにメルリアさんから冒険者パーティーの話を例として挙げてくれた。
(そう言うのもあるんですね)
(はい。私が知っている事はこれ位ですがお役に立ちましたか?)
(はい。相談に乗って頂きありがとうございます)
(いえ、私はユーマ様方付きのメイドですので分からないことは何でもお聞きください)
(ありがとうございます)
俺はメルリアさんからの情報に感謝しつつお礼を言ってから念話を切った。
急に黙り込んだ俺をまたなんかやってるなコイツといった顔で俺を見て来る姫姉に「メルリアさんにちょっと念話で質問してたんだよ」と素直に白状すると「なら部屋に入って貰えば良かったのに」とジト目で睨まれた。
姫姉にそう言われてそういえば部屋の外に居たんだから入って貰って話を聞けば良かったとメルリアさんから聞いた話を姫姉と少女にしながらそうすれば二度手間にならなかったのにと思った。
「まぁという訳で今回の分け前は冒険者の主流よりは多いけど妥当という事で受け取っておくように」
俺がそう締め括ると姫姉は当たり前といった様子で受け取り少女は本当に貰って良いのか俺たちの表情を見ながら受け取った。
俺も金貨3枚を取って残りを俺の無限収納に入っているパーティー用の資金を入れている袋に入れた。
今年も明日一日となりました。
皆様どうお過ごしになるかはわかりませんが良いお年を。
そして来年も今作をよろしくお願いします。




