第197話 ダンジョンアタックは一旦休み
前回のあらすじ
第十階層のボス部屋に挑む
五階層と同じ魔道具が壊れるまでゴブリンが無限湧きするボス部屋だった
無限湧きが止まったところでボスとその取り巻きを倒して帰った
王城まで馬車で帰って来て馬車から降りた俺たちにいつから待っていたのかその場に居たメルリアさんに声を掛けられた。
「お帰りなさいませ皆さま。湯浴みの後にお食事で宜しいですか?」
前回の事から直ぐに俺たちがどうするか考えてメルリアさんはそう質問してきた。
俺は言わなくても理解っているメルリアさんに内心で凄いと感心しながら姫姉と共に「「はい」」と肯定の返事をした。
それから俺たちは一旦それぞれ自分たちの部屋に戻ってシャワーを浴びてから服を着替えて再度集まって食堂に移動した。
今日も食堂内には俺たちだけで俺たちが席に着いたところで料理がワゴンに載せられメイドさんによって運び込まれて来て手早く俺たちの前に配膳されていった。
今晩の料理はトマトとチーズと茹で卵の輪切りのカプレーゼと薄く衣を付け揚げられた橙色の魚の切り身のフライにカブのコンソメスープ、そしていつもの白パンだった。
「いただきます」をした俺はまずトマトとチーズと茹で卵のカプレーゼを食べた。
今回のカプレーゼは茹で卵が増えている分トマトとチーズは前に食べた時よりも薄く切られており、食べる側によく配慮されていた。
少量の塩胡椒とオリーブオイルの味付けのおかげかチーズの味わいとトマトの酸味がしっかりと感じられ、トマトの水分が多いおかげで茹で卵特有の口の中がパサパサすることなく美味しく味わえた。
よく考えられたカプレーゼに俺は感心しながら今度は小さいカブが3つ入っているコンソメスープを一口飲んだ後俺はカブも一つ食べた。
スープ自体はコンソメの味がしっかりとしていていつも通り美味しかったしカブもコンソメの味を受けて美味しくなっていた。
カブのコンソメスープも文句なしに美味しくて満足しながら俺は魚のフリットに手を伸ばした。
今回の魚のフリットはサーモン系の魚らしく橙色の切り身が狐色の衣に包まれてそこにタルタルソースが掛けられていてとても美味しそうで俺は期待しながら一口分切って口に運んだ。
一口噛んだ瞬間魚の旨味が凝縮されたエキスがじゅわぁっと溢れ出してきてこってりとしたタルタルソースとベストマッチしていた。
これだけでもご飯一杯はいけると考え、ここにご飯がない事に少しだけしょんぼりしつつ無いなら無いでと白パンに手を伸ばし白パンを半分に割いてそこに魚のフリットを挟んで食べた。
やっぱり王城の料理人の腕は確かなようでふわふわの白パンの食感にサクッとした衣、そして殆ど噛んだ感覚のない魚の食感に合わせて白パンの小麦の味わいに魚の旨味が凝縮されたエキスとタルタルソースの味が合わさって最高のハーモニーに仕上がっていて最高に美味しかった。
それから俺は出された料理を全て平らげてデザートのチーズの味が濃厚なベイクドチーズタルトを食べ、全員の腹が満腹になった所で部屋に戻って眠りについた。
翌日、気持ちの良い目覚めで起きた俺は二日続けてダンジョンに潜ったから今日は休むかなとか考えながら着替えを済ませ、窓を開けながらまだ朝食には早いし少し外の空気を吸い行くかと部屋を出た。
外に飛び出すと偶々巡回をしていた兵士とバッタリと出くわして驚かれ武器を構えられた。
俺は直ぐに誤解を解いて何とか兵士に納得して貰ってからいつもの素振りをして時間を潰してから部屋に戻った。
部屋に戻って軽く汗をシャワーで流してさっぱりしたところでメルリアさんが朝食の時間だと声を掛けてきて俺は直ぐに部屋を出て姫姉たちと共に食堂に向かった。
この時メルリアさんに窓から飛び降りるのはやめて下さいと注意され、姫姉からはジト目で睨まれた。
食堂に着くと俺たちが一番乗りでその後ウィンダムさんたちがやって来て最後にウォレンさんと王女様がやって来て食事が運び込まれてきた。
朝食はオムレツとコーンスープと白パンのザ・朝食といった料理が目の前に並べられた。
コーンスープはコーン甘みが上手く引き立たせられていて美味しかった。
オムレツはベーコンとほうれん草とトロっとしたチーズが入っていてケチャップの酸味と甘さにマッチしていて美味しかった。
いつもの白パンはコーンスープとオムレツの何方とも相性が良く、味に飽きることなく俺は食事を終えた。
他の全員が食事を終えたところで王女様が俺に話しかけて来た。
「ユーマ様、一昨日に引き続き昨日もダンジョンの調査にご協力頂きご苦労様です。それで本日ですが、どうされますか?」
労いの言葉の後にそう訊ねられた俺は姫姉に「休みでいい?」と小声で訊ね「良いよ」と姫姉が笑顔で答えてくれたので王女様に「疲れが溜まって来たので今日はダンジョン攻略は休みにします」と適当な言い訳を付けて返した。
「そうですか、では時間があるみたいなので後程使いを向かわせますね」
王女様はそう言うと席を立ち「ではお先に失礼します」と言って食堂を後にした。
その後ウォレンさんが食堂を出て行き次にウィンダムさんたちが出て行って最後に俺たちが食堂を出てそれぞれの部屋に戻った。
夕食のメニュー
トマトとチーズと茹で卵のカプレーゼ
塩胡椒とオリーブオイルだけのあっさりとした味付け
カブのコンソメスープ
ニジマスのフリット
タルタルソース掛け




