第192話 罠を越えて六階層へ
前回のあらすじ
ダンジョンに配置された宝箱の秘密を知った
四階層までやって来た
罠が仕掛けられていた
道中床が少しだけ凹む罠や触れている間だけけたたましい音が鳴る罠、他にも少量の水が顔に目掛けて飛んでくる罠など様々な罠を調べながらボスの部屋までやって来た。
今回も【第五の関門】と書かれた看板と【ゴブリンの持っている武器は?】と問題が書かれた扉があった。
俺は「木の棒」と答え『ピンポーン』と鳴る音と共に開く扉を越えて中に入った。
全員が中に入れば扉は閉まりいつも通り広間の中央に魔法陣が現れて輝き、光が収まれば悍ましい像とゴブリンが5体そこに立っていた。
今回の趣旨がどう言ったものか分からないがこれまでの事から推測するとたぶん罠のある場所での戦闘ってところだろう。
俺はやっぱり襲ってこないゴブリンたちを無視して姫姉にその事を相談することにした。
「今回はたぶん罠が仕掛けられていると思うんだけど……やっぱりアレだよな」
俺はゴブリンたちが守る様に陣取っているよく分からない像を指さしてそう言った。
「たぶんそうだと思う。この感じだとあの像を壊さない限り先には進めないってところじゃない?」
「問題は他にも罠があるかもってところだよな」
俺は辺りを見渡して如何にも罠がありますよって色をした床を見つめた。
「どうする? 一応踏んでみる?」
姫姉は恐れ知らずにそんな事を言ってきた。
俺としても戦闘中に間違って踏んで事故を起こしたくなかったので安全に配慮しながら一番近くにある色の違う床を踏んだ。
だが特に何も起こらなかった。少しの間その場に立ち止まっても変化は無く、罠が起動することは無かった。
「何も起きないな」
「何も起きないね」
俺と姫姉はそう言いながら顔を見合わせた。
「これは鑑定を使って調べた方が良いかな?」
俺がそう訊ねてみると姫姉もこれに関しては必要だと思ったのか「調べてみよ」と返して来たので俺は鑑定と解析を使って床を調べた。
ゴブリン召喚の魔法陣が仕込まれた床(起動前)
ダンジョンが用意したゴブリン召喚用の魔法陣が仕込まれている床石
この召喚の魔法陣は対となる魔道具を壊さない限り無限に発動し続ける
戦闘が始まると起動し魔道具の周囲の魔物の数を一定に保つために魔物を召喚し続ける
魔道具がある部屋のゴブリンの数を5体に保つように設定されている
魔道具が壊されない限りゴブリンは無限に召喚され続ける
俺は鑑定解析で出た結果を姫姉に伝えると姫姉は何か思いついたのか悪い笑みを浮かべて口を開いた。
「ねえ優君、鑑定結果に無限に召喚され続けるって書いてあったのよね」
姫姉はそう俺に聞いて来たので俺はもう一度鑑定解析の結果を見返して「そう書いてある」と返した。
「そう、なら交代しながらあの魔道具壊さずにゴブリンだけ倒し続けよっか」
姫姉はニッコリと微笑みながらそう提案してきた。
姫姉が何を考えているのか察した俺はその提案に乗ることにした。
「それじゃあ私から行くね」
姫姉はそれだけ言うと一気にゴブリンたちに駆け寄って刀を抜き放ち一瞬で5体のゴブリンを切り倒した。
ゴブリンが倒された事に反応して中央の像が輝きそのすぐ後に魔法陣の仕込まれた床が光りだし、光が収まるとゴブリンがそこに現れた。
だが姫姉にとってゴブリンは敵にすらならない様で現れると同時に一閃で切り倒しそれを続ける事でゴブリンの魔石の山がいくつも出来上がっていた。
一時間ほど姫姉がゴブリンを倒したところで姫姉から交代の声が掛かって俺は刀を抜いて新たに現れたゴブリンに斬り掛かった。
俺が戦い始めて姫姉は山になった魔石を拾い集め始め、ある程度拾ったところで休憩を取っていた。
俺はゴブリンを倒した後に残る魔石は足で踏んで無限収納に仕舞いそれを繰り返した。
それから一時間ほどそれを繰り返していると今度は少女がやる気満々と言った様子で両手に短剣を構えていた。
俺は少女に「良いよ」と合図を出すと少女は一気に駆け出して的確にゴブリンを処理し始めた。
その後俺たちは姫姉から俺、そして少女のローテーションでゴブリンを狩り続けて3巡したところで目に見えて変化があった。
徐々に召喚の頻度が落ち始めてさらに召喚にかかる時間も長くなり始めたのだった。
そんな状態でも俺たちはゴブリンを狩り続けつつ食事をしながらさらに2巡したところで『パキッ』と異音が鳴り中央にあった像が真っ二つに割れたのだった。
像が壊れた事で新たにゴブリンが現れることも無く今いるゴブリンを倒したところで扉が開いた。
「やっぱり無限に召喚はされなかったわね」
姫姉は少しだけ残念そうにそう言った。
俺も解析で無限に召喚され続けると書いてあって少し期待していたので魔道具が限界を迎えて壊れたのは不完全燃焼気味だがこれも仕方がないと割り切って先に進もうと姫姉を促した。
それから俺たちは階段を下りて六階層の前の扉までやって来て驚いた。
これまでの簡素な扉とは違いあからさまに大きく荘厳な扉があり、さらにその横には看板と何かの魔道具と思しきクリスタルが宙に浮いていた。
また更新するのを忘れてました