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第189話 異世界間直通トンネルダンジョンへようこそ

前回のあらすじ

話の出来る兵士が居た

ギルドカードを見せたら通して貰えた

装備とステータスをチェックしていざダンジョンへ

 ゆっくりと開かれたダンジョンの扉の奥は先が良く視えず不気味な雰囲気をまとった漆黒の絵画のようだった。

「それじゃ先に中を見て来る」

 先に見えない黒一色のダンジョンに少しだけ気圧されながらも意を決した俺はそう姫姉たちに言って漆黒の闇の中に足を踏み入れた。

 

 漆黒の闇を越えたその先には危険なトラップも数多あまたの敵が待っているということも無く、思ったよりも普通のダンジョンといった洞窟内だった。

 ただ普通なのは内装だけで後ろには入って来た時と同じ中が黒一面の扉があって目の前には分かり易い木製の立て看板が立っており、そこには【異世界間直通トンネルダンジョンへようこそ!】と何とも気の抜ける文言が日本語と英語と異世界の言語で書かれていた。


 確かに事前に聞いていたとはいえ此処まであからさまに異世界へ帰れる道だと示されているのも何だか緊張感に欠けるなぁと思いつつ姫姉たちに取りあえず危険は無いと念話を送った。

 念話を受け取った姫姉たちがダンジョンに入って来て最初に看板を見て姫姉は呆れ、少女はよく理解できなかったのか頭をかしげていた。

「はぁ、取りあえず危険は無さそうだね」

 ため息を吐きながら姫姉はそう言い俺はそれに「取りあえず進もうか」と返した。


 これが俺たちの気を抜く作戦なら大成功だなとか考えながら一応警戒は緩めずに先に続く一本道を俺たちは進んだ。

 警戒もむなしく一本道では特にモンスターが出て来ることも罠が発動したりすることも無く一番奥と思われる扉までやって来れた。

 扉の横には【第一の関門】と入って来た時に見た看板と同じく多言語で書かれた看板が立っており、扉には何故か【朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の生き物は?】という俺たちの世界では有名ななぞなぞが書かれていた。

 

「どう思う?」

 ジト目になった姫姉にそう訊ねられて俺は問題の答えでは無く問題の意図について訊ねて来てるんだろうと理解はしていたがどう考えても真面まともな意図はないと結論付けて「意味は無いと思う」と返した。

 俺のその返答に姫姉も「私もそう思うけど、それにしてもこうもう少しひねった問題にするとかあると思うのよ」と返されて俺は確かにその通りだなと思い苦笑いを浮かべた。


「取りあえず進もうか。答えは人間」

 ここであれこれ言っても不毛でしかないので俺はそう言った後、扉の前に立って答えを宣言した。

 するとどこからともなく『ピンポーン』と音が鳴り扉が独りでに開いた。

 開いた扉の先はそこそこの広間になっておりさらに奥には扉があった。


 一目見てボス部屋だと理解した俺たちは気を引き締めて広間に足を踏み入れ、最後の一人が入ったところでゆっくりと扉が閉まった。

 扉が閉まり切ったところで広間の中央に魔法陣が現れ輝き出し光が消えるとそこには小型犬サイズのネズミが敵意き出しでこっちをにらんでいた。

 ただ何故か敵意剥き出しのネズミは睨んでくるだけで一向に襲い掛かって来ないので俺たちは少しの間観察をすることにした。

 まずは視線を外してみたが特に変化は無く、背を向けても反応なし。逆に触れるギリギリのところまで近づいてもその場から動かず、ネズミを取り囲むように武器を立てかけても反応は無く、触れる以外の事を試し続けた結果いつまで経ってもネズミが襲い掛かって来る事が無いと分かった。

 

 ここまでしても動かないと頃を見るに先制攻撃をしない限りはどうやっても動かないのだろうと30分掛けてその結論に至り、俺たちは攻撃を仕掛けることにした。

 どの位の強さか鑑定をして知っている俺としてはオーバーキルになると分かっていたがもしもの場合も加味して魔銃を使って遠距離からエアバレットを3発撃ち回避するであろう予測した所にも数発撃った。

 結果としては無駄な連射であったと言わざるを得ない結果となった。

 俺がエアバレットを撃った後もネズミは動かず最初に撃ったエアバレットが全弾命中しその場に肉の塊と小さな魔石を残して消えたからだ。


「えーっと、どうしよっか……」

 俺は苦笑いを浮かべながらそう言うと閉まっていた扉が両方とも開き、先に続く扉の先には下り階段が見えていた。

「下の様子を見てから決めよっか」

 姫姉もこの結果に苦笑いを浮かべつつ取りあえず先の様子を見てみようと提案してきたので俺は「ソウダネ」と返してネズミの肉と魔石を回収して階段を下りて行った。


 階段を下りきるとそこには【2階層へようこそ!】と書かれた看板と簡素な扉が鎮座ちんざしていた。

 またしても気の抜ける看板に俺たちは何も気にしないことにして無言のまま扉開いて先に進んだ。

 真っ直ぐ進んで行くと曲がり角があり警戒をしながら曲がり角の先を見るとさっきのボス部屋で見たネズミが普通に道を塞いでいた。

 俺がその事を姫姉たちに伝えると姫姉が「さっきのはチュートリアルだったってことね」と納得したように呟いた。

 俺もここにネズミが出て来た事でそうなんだろうと思っていたので姫姉のその呟きに「そうだろうな」と同意してから「ここは俺かやるよ」と言って魔銃を構えてまだこちらに気付いていないネズミにエアバレットを放った。

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