第187話 おにぎりはツナマヨが最高です
前回のあらすじ
朝食を食べる
フライシュ料理長にからダンジョン用の料理を見せられる
おにぎりあるのォ!
「美味ァァァい!! コレだよコレ! マヨネーズのコッテリな美味さとツナの旨味が合わさったこの感じ、まさにツナマヨ! マヨネーズがあるのは知ってたけどまさかツナマヨをこっちで食べられるなんて」
「こっちでもツナマヨがあるなんて幸せ」
俺と姫姉は一口ツナマヨおにぎりを食べたところで心の底から感激していた。
元の世界に帰るかご飯があったあの店にまで行って米を分けて貰うしかないと思っていたがまさかここで食べられるとは。
「ふぅ、満足満足。フライシュ料理長、最高に美味しかったです! またおにぎりを作って下さい」
おにぎりを食べ終えた俺はフライシュ料理長に尊敬の念を込めてそう言うと、姫姉も「私からもお願いします!」
「ははは、そうしたいのはやまやまなのですが米はたまにしか市場に出回らなくてですね。今度はいつ入手できるか……面目有りません」
俺たちの願いを聞いたフライシュ料理長は苦笑いを浮かべながらそう言った。
やっぱり王都で米はそう簡単には手に入らないらしい。
「そうですか、王都に来たとに城下町で食べれたのであるところにはあると思ったのですが。そこまで迷惑はかけられません。でもまた米を見かけた時にはお願いします。お金も出しますし、何ならこのエリクサーも差し出します!」
俺はウォレンさんから貰ったエリクサーを取り出してそう言ったところでフライシュ料理長は慌てだして「そんな貴重な物は頂けませんよ! お金も王城からユーマ様方の予算が潤沢に出されてますから要りません!」と返された。
フライシュ料理長の口から俺たちの予算と聞いて俺と姫姉はそんなものがあったのかと頭を傾げて俺はその事を尋ねた。
「予算って何ですか?」
「アレ? 聞いてませんでしたか。お二人がこちらの世界に来た時の契約で衣食住は全て国費で賄われています。その予算も食事で使われる程度でその食事も贅を尽くすわけでもないので毎度少しずつ溜まってそれなりの金額になっています。それにお二人には王都を救った功績で王女様の資産から別途で予算を組まれてますよ。それもユーマ様方が自身で稼ぐためにほとんど使われない無駄な予算だってユーマ様方の予算を担当している税務官がこの前愚痴ってましたよ」
そう言えば生活費に関しては契約書に盛り込んでいたなと思い出し、そこに王女様が特別に予算を組んでいたと聞かされてそんな事してたんだと感心した。
「という訳ですのでお二人から金銭を貰う訳にはいきません」
きっぱりとフライシュ料理長にそう言われた俺はでもと返そうとしたがさらにフライシュ料理長から「ユーマ様方を無理矢理召喚した側の罪滅ぼしなので受け入れて下さい」と言われて返す言葉が無くなった。
姫姉も俺と同じで返す言葉が無いのか一つ溜め息を吐いて「分かりました」とフライシュ料理長に返した。
「この話はここまでにして次は飲み物の方を確認して貰いましょうか」
フライシュ料理長がそう言うとメイドさんがガラスの瓶が何個も載せられたワゴンを押して来た。
「右からオレンジとブドウとレモンの果実水と紅茶とコーヒーを3本ずつご用意しました。瓶の蓋はコルクですので再度蓋をするときに瓶の中に押し込み過ぎない様にお気を付けください」
飲み物の説明を聞いて俺たちはそれぞれの無限収納に食料と飲み物を仕舞ってからフライシュ料理長に「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えて食堂を後にした。
食料と飲み物を手にした俺たちはこれで憂いなくダンジョンに挑めると気合を入れ直してダンジョンがある王城前広場までやって来た。
王城前広場には多数の兵士が扉とその扉に近づく者がいないか目を光らせていた。
俺は王女様が話しを通していると聞いていたので手近にいた兵士に話しかけた。
「ダンジョンに入りたいのですが」
俺が兵士にそう声を掛けると怪訝な表情で俺たちの顔を見た後、シッシッと手を振って「ここは関係者以外立ち入り禁止だ」と追い返された。
その対応に少しだけイラッとしたが末端にまで連絡が届いていないのだろうと思って連絡を受けたであろう上官に話をして欲しいと頼むことにした。
「一応上官に確認をして貰「ここは子供来るところじゃない。さっさと帰れ」」
俺の言葉を遮ってまたしてもシッシッと手を振られ、コイツと話してても無駄だと判断した俺は「分かりました」と言ってその兵士を無視してダンジョンに向かって歩き始めた。
すると兵士はまさかそのままダンジョンに行こうとするとは思ってなかったのか驚いた表情を見せたが直ぐに「待てッ!」と言って俺の腕を掴みかかって来たが俺はそれを避けてそのままダンジョンに向かって歩を進めた。
俺に避けられた兵士は「誰かそいつを捕まえろ!」と叫び、周りにいた兵士が俺たちを取り囲んできたので俺はこれだけいれば一人くらい話が出来る奴がいるだろうと口を開いた。
「俺たちは今日このダンジョンに入る予定の冒険者だ。王女様からも通達が来ている筈だ」
俺がそう言うと兵士たちは近くの者とコソコソと話をして何かに気が付いたような顔をし、一人の兵士がおずおずと俺たちに近づいて来た。