表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/267

第185話 新発明の鑑定結果がおかしい事はよくある事らしい

前回のあらすじ

夕食を食べた

王女様にデミエリクサーについて聞かれた

本物のデミエリクサーを見せた

「これがデミエリクサーですか。見た感じでは上級ポーションとそっくりで判別がつきませんね」

 王女様は俺から受け取ったデミエリクサーを四方八方からまじまじと見つめながらそう言い、難しそうな顔をしていた。

 そして見終わったデミエリクサーを今度はウォレンさんに手渡してウォレンさんに意見を求めた。

 デミエリクサーを受け取ったウォレンさんは一目見た後、悩まし気な顔になり重々しく口を開いた。


「ふむ、確かにデミエリクサーと出ますな。ただこれを公表するのはちと難しいかと思われます」

「やはりそうですか。ユーマ様ありがとうございました」

 ウォレンさんはそう言った後デミエリクサーを王女様に返し、王女様はそれを受け取りながらどこか気落ちした様子で肩を落しながらそう言った。

 その後王女様は俺にデミエリクサーを返して来て俺はそれを受け取った。


 なんとなく王女様たちが気落ちした理由が分かったので俺は深く追求せず、このままここに居ると面倒ごとになりそうだったのでこの場を去ろうとしたがそこで王女様が声を掛けてきた。

「それでユーマ様そのデミエリクサーですがどなたが創られたかお教え頂けますか?」

 逃げ切る前に声を掛けられた俺は浮かせた腰を下ろして心の中でケアテミスさんに謝罪をして口を開いた。


「天才錬金術師のケアテミスさんが造った物ですよ」

「天才錬金術師ケアテミス様ですか? どこかで聞いたような?」

 俺がそう言うと王女様はそう言って聞いたことがあるような無いようなと悩んでいたがウォレンさんは心当たりがあったのか誰か分かった様子で納得したような顔をして口を開いた。


「最近新たなポーションの制作に成功したと噂になっていた者ですな。城の研究員が偽物だと喧伝しておったがあ奴、嘘を吐いておったのか……。はぁ、どうしてくれようか」

 ウォレンさんは最後の方黒いオーラを纏って物騒な事を言っていたが聴かなかったことにして、俺はケアテミスさんの屋敷に勤めるメイドのリリィさんから聞いた話をウォレンさんに話すことにした。


「そのデミエリクサーですけど、ケアテミスさんのところのメイドさんによるとどうやら他の人が鑑定した時は鑑定結果が読めなかったり鑑定そのものが出来なかったりしたみたいでケアテミスさんが困ってたみたいですよ」

「あぁそれなら稀にある事ですね。鑑定士の鑑定レベルが低ければ鑑定に失敗しますし、新発明の物なら一定の期間鑑定結果がちぐはぐになるという事例があったと記録されてますから。ですから新発明の物は鑑定結果がどうであれ報告するように義務付けられている筈ですよ。私の所には報告が来てないみたいですが……」

 俺の話を聞いた王女様は今回の件はたまにある事だと言った後、自分には一切情報が来なかったことに少しショックを受けた様子で自虐を言って少しだけ暗い表情になった。

「その義務を知りながら偽物と喧伝しておった研究員が居るし、そ奴が王女様に報告が行かない様に手を回したのでしょうな」

 俺が鑑定士に同情の余地は無いなと呆れているとウォレンさんは王女様を慰めるためにそう言葉を掛けた。

 

 ウォレンさんに慰められ立ち直った王女様はウォレンさんと何か話し合いを始め、話し合いが終わったと思ったら俺方を向き話掛けてきた。

「ユーマ様たちにお願いがあります」

 明らかに面倒事の予感がする王女様のその言葉に警戒しながら「なんですか?」と内容を尋ねた。

「いえケアテミス様とデミエリクサーについて話し合いをする際に実物があった方が良いと思いましてユーマ様がお持ちのデミエリクサーをお貸し頂けないかと思いまして」

 結構難しい事を言ってきた。


 貸すのは構わないがさっきの話を聞く限りケアテミスさんのデミエリクサーを良く思わない者が王城内に居る訳で、「はいどうぞ」と渡すのは躊躇ためらわれる。ここで渡せば話し合いの日までの間にデミエリクサーを良く思ってないであろう者が盗んだり壊したりなどの邪魔をして来る気がする。いやこれまでの経験上絶対にやってくるはず。


 なので俺は妥協案を提示することにした。

「今すぐに貸すと盗まれそうなのでケアテミスさんとの話し合いの前に渡します」

 俺がそう言うと王女様はあからさまにムッとした顔をして俺の発言に気を悪くしたようだが無理を言っている自覚はあったようで「それでお願いします」と返して来た。

「分かりました。では話し合いの日が決まったら声を掛けて下さい」

「はい、その際はお願いします。夕食後に長く引き留めてしまい申し訳ありません」

 王女様はそう念を押して来た後そう言ってウォレンさんと共に食堂を出て行った。

 俺も食堂に用事は無いので姫姉たちと共に自分たちの部屋に戻った。


 部屋に戻った俺は明日からのダンジョン探索に向けて疲れた体を癒すために手早く汗を流して寝間着に着替えて早いうちにベッドに横になった。

 明日からのダンジョン探索でやっと元の世界に帰る手掛かりが掴めると期待を胸にして俺は眼を瞑り眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ