表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/268

第184話 水分の多い野菜は濃い目の味付けが良いよね

前回のあらすじ

ベルト剥ぎの通り名が付いていた

謎のポーションを渡される

謎のポーションはデミエリクサーだった

 王城に帰る道すがら午前中の試食から何も食べていなかった俺たちは軽く買い食いをしつつ帰り道にある他の店も冷やかし程度に見て回り気になった物を買い、何かに巻き込まれたり襲われたりすることも無く日が暮れる前に王城に帰って来た。

 王城に帰り着くとメルリアさんが出迎えてくれて俺たちは今日あった出来事を話しながら自分たちの部屋に戻った。

 この時デミエリクサーの話をした時だけメルリアさんの表情が一瞬驚きで呆けていたのが印象的だった。メルリアさんでも驚く位にはデミエリクサーは凄いのかも知れない。


 それから俺たちは軽く汗を流して着替えを済ませ部屋で寛いでいると「夕食の準備が整いました」とメルリアさんが呼びに来て俺たちは食堂まで移動した。

 食堂には俺たちが一番乗りだったようで俺たちは席に座って待っていると直ぐにウィンダムさんたちがやって来て、軽く談笑をしていると何故かソワソワした王女様と何か考え事をしているのか上の空なウォレンさんが入って来た。

 王女様が席に着いたところで料理が運び込まれて来て王女様たちが食前のお祈りをして俺たちが「いただきます」をしたところでそれぞれ食事を始めた。


 今日の夕食は輪切りにしたズッキーニにひき肉とチーズを載せて焼いたものと薄黄色をした冷気を纏ったスープに茄子とズッキーニが入ったトマトパスタの三品と薄くスライスされ軽く焼かれ仄かにガーリックの香りがするバゲットだった。

 用意された食事の中で俺はまず涼し気な薄黄色をしたスープを一口飲んだ。

 滑らかな舌触りと素材の甘さが口に広がり、それ以外の味はほとんど感じられないのにこれだけでも濃厚な旨味を感じ驚いた。


 トウモロコシだけでここまでの旨味が出るとは、恐るべし。スープにしてこれほどならそのまま食べても美味しいはず。いつか食べてみたい。

 コーンスープにバゲットを浸して食べながらそんな事を思いつつ俺は次に輪切りにされたズッキーニにひき肉とチーズを載せたモノを一つ食べてみた。


 ズッキーニとひき肉の間に隠されたトマトソースが両者の間を取り持って丁度いいバランスの味に仕上がっておりさらにそこにチーズが加わることで味に深みが出ていて凄く美味しい。

 これだけでも十分美味しいがバゲットがあるという事はそういうことなんだろう。

 俺はすかさずズッキーニをバゲットに載せて齧り付いた。

 ズッキーニに吸われたひき肉やトマトソースの旨味が齧り付いた時に溢れ出しバゲットにもその旨味が足されてバゲットもさらに美味しくなって二つの相性はまさにベストマッチだった。

 もはやバゲットはなんにでも合う万能食材なのではとか思いつつ俺は茄子とズッキーニのトマトパスタにも手を伸ばした。


 茄子とズッキーニから瑞々しく溢れ出て来る水分が噛みしめるごとに感じられ濃い目のトマトソースの酸味と旨味とが合わさって丁度いいバランスに仕上がっている。

 特にトマトソースに使われている細かく刻まれたニンニクが食欲を掻き立てる香りと味を醸し出していて全ての食材を引き立たせている。

 どれもこれも抜群に美味く満足のいく料理に俺はいつも通り綺麗に平らげて、フライシュ料理長の顔を浮かべながら一人「ごちそうさま」をした。


 俺が食べ終えた後、他の人たちも続々と食べ終えて全員が食べ終えたところでデザートが運び込まれてきた。

 本日のデザートはグラスに入った桃を丸ごと使ったゼリーにヨーグルトソースのかかった見た目からも美味しそうな一品だった。

 これまた美味しそうな物が出て来たと心を躍らせながら俺はスプーンをゼリーに刺し入れた。

 少しの弾力を感じながらスプーンが入って行き一口分のゼリーと桃を掬ってヨーグルトソースを付けてから口に運んだ。

 甘いゼリーに少し酸味のあるヨーグルトソースが丁度いいアクセントになってさっぱりと食べられ美味しかった。

 ヨーグルトソースにも桃の果汁が入っていたのか仄かにだが桃の味が感じられてヨーグルトソースだけを食べてもそれなりに美味しかった。

 桃尽くしのデザートに感激しながら全てを食べ終えて少々の名残惜しさを残しつつ夕食は終わった。


 夕食が終わったところでソワソワした王女様から食い気味で声を掛けられた。

「ユッ、ユーマ様方は本日外に買い物に出られ、その際にデミエリクサーなる新たなポーションを貰ったとメルリアから報告が上がっているのですが、私も初めて聞くポーションですので見せて貰っても宜しいでしょうか?」

 どうやら王女様は俺たちが錬金術師から貰って来たデミエリクサーが気になっていたらしい。通りで夕食前からチラチラ俺たちの方を見て来たわけだ。


 そして話を聞いてウォレンさんも俺の方をジッと見つめて来た。

 俺は王女様とウォレンさんの無言の圧力に少しだけ引きながら特に隠す必要も無いので無限収納アイテムボックスからケアテミスさんから貰ったデミエリクサーを一本取り出して王女様に手渡した。

 デミエリクサーを受け取った王女様は「これがデミエリクサーですか?」と見た目は至って普通の上級ポーションをまじまじと見つめていた。



今回のメニュー

ズッキーニのチーズ焼き


トウモロコシの冷製スープ


茄子とズッキーニのトマトパスタ


桃丸ごとゼリーのヨーグルトソース掛け


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ