第181話 フェルムド商会の商店街でお買い物
前回のあらすじ
受付嬢に怯えられる
ギルドマスターと会う
ギルドマスターにオススメの店を聞く
ギルドマスターから貰った地図に記された場所まで俺たちはやって来てその店の大きさに驚いていた。
店は元の世界で言うところの商店街の様に色々な商品を扱う店舗が横並びになっていてさらにどの店も同じフェルムド商会と書かれた看板が掲げられていた。
「大抵の物なら揃っているとギルドマスターが言うだけあって広いな」
「そうね。それに結構繁盛してるみたい」
俺たちが商店街のような門の手前で驚いている間も客足が途切れることは無い様で扱う商品毎に区切られた店舗には多くの人が行き交っていた。
「取りあえず俺たちも入ろうか」
俺はそう言って門を潜り地図に記されているダンジョン探索の商品を主に扱っている店舗に向かった。
ダンジョン探索の商品を扱っていると謳うだけあって店に入った瞬間に厳つい見た目をした店の護衛と思われる者たちから頭の先からつま先まで観察された。
観察されたといっても数秒程度で、店の護衛たちは俺たちを問題ないと判断したのか「いらっしゃいませ」と言ってきた。
俺たちはその言葉に従って店の中に入り端から商品を眺め始めた。
流石は大商会なだけあって鑑定をするまでも無く綺麗に手入れのされた良品質の物がズラリと並べられていた。一応上っ面だけかもと思い鑑定も使ってみたがどれも問題が無い商品ばかりだった。
適当に眺めながら歩いていると少女は「コレとコレと後はコレもあれば……。品質はどれも問題ない」とぶつぶつと独り言を呟きながら商品を手に取って見比べていた。
商品を選ぶのは少女に任せても大丈夫そうだなと思った俺は他の商品はどんなのがあるのかと周りを見渡した。
やはり定番と言われるランプやロープに方位磁石に紙とペンに火打石、その他にも保存食や水筒に果てはピッケルやコンロに鍋なんて物もあった。
コンロまで扱っているのかとコンロをまじまじと見つめているとこの店の店員と思しき男が声を掛けてきた。
「いらっしゃいませお客様。お客様がご覧になっている商品は火属性の魔石を燃料に使った魔導コンロです。火おこしの手間が省けて木を燃やした時に出る煙も出ない、尚且つ火力の調整も楽に出来ますので普段でもダンジョン内での野営でも役立つ一品となっています」
店員は営業スマイルを顔に貼り付けながらそうセールストークを繰り出して来たので俺は鑑定と解析を使って原価を調べ上げ店側が損をしない価格まで値切りをすることにした。
「へぇ~そうなんですか、でもそこまで便利なものだとやっぱりお高いですよね?」
俺は値段を知りながら敢えて店員に値段を訊ねた。
「そうですね初めていらしたお客様ですし将来も有望そうですので六万八千シアの所を六万五千シアでどうでしょうか?」
最初は少額の値切りをして俺がどう返すか、それで俺の懐具合を探るつもりの様だ。
「う~ん、もう少しどうにかなりませんかね?」
「そうですね……、では六万シア、これならどうですか?」
原価が二万シア程だからもう少し値切れそうだな。そう考えた俺は今度はまとめ買い値切りをすることにした。
「そうですね向こうにいる二人が選んでいる物も買うのでもう一声どうにかなりませんか?」
俺がそう言うと店員は必要な物を選び終えたのかこっちに歩いて来ている姫姉と少女が手にしている商品をサッと見て計算をしているのか少しだけ悩んでから口を開いた。
「分かりました。では魔導コンロと専用の魔石を5個セットに魔導ランプが2つと魔石を10個にロープで六万二千シア、これでどうですか?」
姫姉たちが持っている魔導ランプが3つで三千シアでロープは3つセットで千シア、あとは魔導ランプ用の魔石が10個で千シアそれに魔導コンロ六万八千シアと魔石5個千シアで七万四千シアだからこの位で良いか。
「買います!」
「ふぅ、お買い上げありがとうございます」
店員は俺が買うと言った瞬間、ホッとしたように小さく息を吐き満面の笑みを浮かべながら満足そうにそう言った。
「なになに? 優君も何か買ったの?」
俺と店員の話し声を聞いた姫姉が何を買ったのか興味深そうにそう聞いて来た。
「ああ姫姉たちの持ってるのと合わせてコレも買うからって安くしてもらったよ」
俺は姫姉たちが持っている商品を指さしながら今まで値引き交渉をしていたと言うと姫姉は「へぇ、そんなことしてたんだ。まぁ安くなったんなら良かったよ。店員さんありがとうございます」と言って店員に微笑みかけていたが横に居た少女の方は違ったようで、「ま、魔導コンロ!? そんな高い物を買うなんて……」と小さな声でそう呟き俺の金銭感覚に驚いていた。
一通り買う商品が決まり値切りも終わったので俺はギルドカードの中に入っているお金で支払いをして(このお店ではギルドカード支払いができた)買った商品を俺と姫姉の無限収納に仕舞った。
この時、店員は俺と姫姉が当たり前のように無限収納を開いたのを見て驚いていた。
ここでの買い物を済ませた俺たちは次の買い物の目的地を目指して地図の通りに歩き出した。