表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/268

第180話 受付嬢に怯えられる

前回のあらすじ

ダンジョンに持っていく飲み物を決める

暗殺者の少女にダンジョンに必要な物を教えて貰う

マップスキルがある事に驚かれる

「お待たせ優君」

 着替えをしてきた姫姉はそう言いながら何かを期待するかのように笑顔を向けて来たので俺はすかさず「その服も似合ってるよ」と返した。

 俺の返答を聞いた姫姉は「まぁ及第点きゅうだいてんね」とつぶやいてから「それじゃあ行こっか」と言って歩き始めて俺と少女はあわててそれについて行った。


 特に問題も無く城を出る事の出来た俺たちは様々なギルドがある王都の中心と言われるところまでやって来ていた。

「こっちの方には久しぶりに来たわね」

「姫姉は王城に着いてからは外に殆ど出て無かったの?」

「ううん外にはたまに出てたけどそれでも王城近くの服屋とかアクセサリーショップまでだったから」

 姫姉の最近の事を聞きながらダンジョン探索で必要な物が売ってる店について聞きに俺たちは冒険者ギルドまでやって来た。


 冒険者ギルドに入ると依頼にでも行っているのか殆ど人は居らずガランとしていた。

 俺たちはカウンターで暇そうにしていた受付嬢に話しかけた。

「すいません少し聞きたいことがあるんですけど?」

「はい、依頼ですか? それとも面会ですか?」

 俺が声を掛けると受付嬢は俺たちの質の良い普段着を見て何か誤解をしたのか居住まいを正して緊張した面持ちでそう尋ねてきた。

 このままだと話はしにくいかなと思い俺は無限収納アイテムボックスを開いてギルドカードを取り出して受付嬢に手渡した。


 俺のギルドカードをパッと見て受付嬢はあからさまにホッとした表情を見せ、ギルドカードに書かれている情報を読み取ってその内容を見て小さく「ヒッ!?」と短い悲鳴を上げて油に切れたブリキの様にカードと俺たち三人を見比べた後、ダラダラと汗を流し全身を震わせながら口を開いた。

「ユ、ユーマ様ですね。本日はギルドマスターにお会いになられますか?」

 さっきよりもさらに怖がる受付嬢にそう尋ねられた俺はこのままこの受付嬢に話を聞こうのはなかなか話が進みそうにないなと思い至り、忙しいギルドマスターには悪いと思ったがギルドマスターと話した方が早く終わりそうな気がしたので会うことに決めた。

「そうですね、ではギルドマスターに面会をお願いします」

 俺がそう言うと受付嬢は「少々お待ちください」と捨て台詞の様に言って直ぐに席を立ち素早い身のこなしで階段を駆け上って行き他の受付嬢が驚いていた。


「で、優君は一体何をしたの?」

 受付嬢の怖がり方に姫姉はジト目でそう尋ねてきた。

「いや俺も何が何だか。ここで色々あったけどあそこまで怯えられるほどのことはしてないはずなんだけどな」

 俺はなんで受付嬢があんな態度だったのか頭を悩ませたが分からず少しだけ精神的にダメージを受けつつそう返した。

 そうこうしていると受付嬢が急ぎ足で戻って来て「ギルドマスターがお会いになられるそうです。どうぞこちらへ!」と言い俺たちをギルドマスターの居る部屋へと案内してくれた。


「ギルドマスター、ユーマ様方をお連れしました!」

 受付嬢が階下まで届きそうな声量でそう言うと部屋の中から「そんなに大きな声を出さんでも聞こえとるわ! さっさと通せ」と受付嬢の大声に少しだけ怒った様子のギルドマスターの言葉が返って来て俺たちは部屋に入った。

「待っておったぞ。で、お主らが来るってことは何か面倒事か?」

 部屋に入るとギルドマスターは楽しそうに笑みを浮かべながらそう言った。

「当たらずとも遠からずですかね。近々王城前広場に出来たダンジョンに挑むことになりまして、冒険者らしくギルドで必要な道具を売ってる店でも紹介して貰おうかと思いまして」

 俺がそう言うと余裕を持った笑みを浮かべていたギルドマスターは驚きの表情に変わり身を乗り出して口を開いた。


「な、何じゃと!? お主ら今王城前広場のダンジョン入ると言ったのか?! あそこは国が調査をすることになっておるから……、そうか、そう言えばお主らは今王城に居るんじゃったな。で、あそこにお主らが調査に入るという事か。分かった、それで何が必要なんじゃ?」

 俺たちがあのダンジョンに入れることに驚き戸惑っていたが直ぐに俺たちの置かれている状況を思い出し一人で納得した後、買う物が何か尋ねてきた。


「取りあえず食料と地図と武器防具はどうとでもなるんで持ってない頑丈がんじょうなロープと各種ポーション類を買いに行こうかと」

「そうか、ならこことここに行くがええ。こっちは大抵の物が揃っとるしこっちの店は店主がちと曲者くせものじゃが扱っておるポーションの質は最高じゃ」

 俺が必要な物を上げるとギルドマスターは悩むことも無く王都の地図に丸印を付けながらそう言って地図を渡して来た。


「ありがとうございます。早速行ってみます」

「おおさっさと買ってさっさとダンジョンに行ってこい.。それと情報の対価はダンジョン内の地図を持ってこい。ワシが買い叩いてやるからの」

 俺が素直にお礼を言うとギルドマスターは店を紹介した対価として情報を持って帰って来るようにとニヤリと悪い笑みを浮かべながら言ってきた。

 俺は敢えてギルドマスターに合わせて「特上の情報を持ってきますよ」と言って姫姉たちと共に部屋を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ