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第178話 食べやすい料理と言ったらコレだよね

前回のあらすじ

夕食の時間になる

今回の夕食はスペイン料理

トマト尽くしだった

 食後のコーヒーをたしなんでいると全員の食事が終わり、食後のドリンクとデザートが運び込まれてきた。

 全員の前に出されたのは普通のクッキーに粉砂糖をふんだんにまぶされた物とチョコレート色をした物だった。

 どちらも普通のクッキーよりも工夫されているのか美味しそうに見え俺はまず粉砂糖が塗された方を一つつまみ口にした。

 口に入れた瞬間に粉砂糖のふんわりとした甘さと柔らかくアーモンドの香りがしてとても良かったが噛んだ瞬間ホロホロっと崩れていきさらにアーモンドの香りが強くなり美味しかった。


 普通のでこれほど美味しいのならチョコレート色をしたのも美味しいはずと思い一つ口に放り込んだ。

 俺の予想は当たりカカオの強い香りと独特の味がホロホロっと崩れるクッキーと共に口の中一杯に広がった。

 そしてどちらも俺が飲んでいるコーヒーとの相性が良くいつの間にかクッキーを全て食べ終えていた。

 デザートも食べ終わりこれで本当に食事が終わったところで解散となり、それぞれ案内のメイドに連れられて食堂を後にした。

 俺たちもそれぞれ部屋に戻り明日に向けて眠った。



 翌日、気持ちよく目覚めた俺は今日から元の世界に帰る為に動けることに心を躍らせながら朝の支度をしてメルリアさんが呼びに来るのを待った。

 少ししてからメルリアさんが朝食の時間だと呼びに来て俺は部屋を出て皆と共に食堂に移動し、食堂でいつもの面々と顔を合わせて朝食を取った。


 朝食が終わったところで王女様から声を掛けられた。

「ユーマ様、ヒメナ様、先日お話しされていた件で料理長が確認して欲しい事があると言っておりましたので後程お時間宜しいですか?」

 昨日の今日で料理長から呼び出しにダンジョンでの料理の事かなと思い俺は王女様に「分かりました」と返事をした。

 王女様は俺に返答を聞いて「ではここでお待ちください」と言って話は終わった。

 王女様との話が終わったところで俺は姫姉に「一緒に聞く?」と聞くと「聞く」と返って来た。


 それから食事を終えた面々はそれぞれ食堂を後にして俺と姫姉と少女が食堂に残った。

 食堂内で料理長がやって来るのを待っていると直ぐに料理長と思しきコック帽を被ったおじさんが駆け寄って声を掛けてきた。

「お待たせして申し訳ありません、私は王城の料理全般を任せられているフライシュ・コッヘンバーグです。得意料理は肉を使った料理全般です」

 フライシュ・コッヘンバーグと名乗った料理長は笑みを浮かべながらそう自己紹介をしてきたので俺たちもそれぞれ名乗り返して自己紹介を終えた。


「皆様のお名前を伺えたところで本題に入りたいと思います。今回ユーマ様とヒメナ様をお呼びしたのお渡しする料理の試作品を見て頂きたいからです」

 フライシュ料理長がそう言うと奥からワゴンを押したメイドがやって来てテーブルの上に一つの皿を置いた。

 皿の上には味見として食べやすいように一口サイズに切り分けられたサンドウィッチが載っていた。

 サンドウィッチの中には千切りされたキャベツとソースをまとったカツが美味しそうな匂いをただよわせながら鎮座ちんざしていた。

 そして料理長が「どうぞ食べて見て下さい」と言い、俺と姫姉はサンドウィッチを一つ掴んで口に入れた。


 まだほのかに温かさの残るカツに芳醇ほうじゅんな香りがし、旨味の詰まったソースそしてカツの熱で少しだけしなっとしたキャベツが上手く合わさって食べやすく仕上がっていた。

「お味の方は如何いかがですか?」

 俺たちがサンドウィッチを飲み込むのを確認してからフライシュ料理長は真剣な眼差しでそう尋ねてきた。

 フライシュ料理長のその問いに俺は「美味しかったですよ」と素直に感想を述べ、姫姉も「うん、美味しかったです」と感想を述べるとフライシュ料理長は安堵あんどした様子で肩の力を抜いて「それは良かったです」と言った。


「では次にお飲み物の方も数種類用意しましたのでお確かめください」

 フライシュ料理長は俺たちが満足した様子で感想を言ったのが嬉しかったのか喜々とした表情で飲み物の試飲もするように勧めて来た。

 用意された飲み物は絞った果汁を水で割った果実水と紅茶とコーヒーで果実水はフラシュ料理長曰く右からオレンジ、ブドウ、レモンの3種類用意したとのこと。

 俺は普段から飲んでいるコーヒーと水だけでも良かったがわざわざ用意してくれたフライシュ料理長の期待の眼差しを受けて全部試飲することにした。


 まずはと一番右に置かれたオレンジの果実水を飲んだ。

 爽やかな酸味と甘みが口に広がり、そして後味もオレンジ100%のジュースのような口の中に残る甘さと酸味が無くすっきりとした味わいで飲みやすかった。

 次に飲んだブドウの果実水もさっぱりとしていてでも後味はスーッと消えていき飲みやすかった。

 その後に飲んだレモンの果実水はオレンジとブドウの果実水とは違い甘みは無くレモンの酸っぱさが仄かに感じられる果実水で口の中がさっぱりとしてこれはこれで良かった。

 そして紅茶とコーヒーもいつも飲んでいる味と変わらず美味しかった。





デザート

ポルボロン

スペインの伝統菓子で薄力粉を焼いてから混ぜるため口の中で崩れるらしいです。

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