第175話 グラシア公爵の覚悟
前回のあらすじ
部屋に戻り眠る
起きると外が騒がしい
グラシア公爵が助けられてた
「失礼します、グラシア様、ユーマ様、王女様がお呼びです。ご同行願えますか?」
俺が食事を終えたタイミングを見計らってか一人のメイドさんが食堂内に入って来て俺とグラシア公爵に向かってそう言った。
俺とグラシア公爵はその言葉に「分かりました」「分かった」と返して席を立ちメイドさんの後に付いて王女様が待つ場所にまで移動した。
もはや定番となった応接室までやって来た俺とグラシア公爵はメイドさんがノックをして「どうぞ」という返答を聞いて扉を開き、グラシア公爵が入った後に俺も部屋に入った。
部屋の中には上座に王女様が座っておりその斜め前の席にウォレンさん、そしてウォレンさんの反対側に姫姉が座っていて俺は姫姉の隣に座り残されたグラシア公爵は開いているウォレンさんの隣に座った。
「お二人ともお待ちしておりました」
俺とグラシア公爵が席に着いたところで王女様がそう言って話をし始めた。
「グラシア公爵、その様子では無事なようですね。ユーマ様もどうやら疲れはとれたようですね。ではまだ事情を把握できていない者もいるので初めから何があったか説明させて貰いますね」
王女様はそう言うと俺が寝てからあった事を話し始めた。
「ユーマ様が眠られた後、朝食の席にてヒメナ様からユーマ様の代わりの力を貸して頂けると提案をして頂きまして私はその提案を受け入れました。そして私はヒメナ様に現状を把握して頂くためにこれまでの事と夜の間に起こった事、グラシア公爵が自身の派閥の者に拘束されてしまいった事を説明するとヒメナ様が「それじゃあ助けに行ってきます」と一言言ったと思ったら急に消えてしまい途方に暮れましたが直ぐにヒメナ様のスキルだと思い付き私も兵士をグラシア公爵の屋敷の周囲に配置しました。意味なかったですけど……。それからはもう何と言えばいいのでしょうか、しばらくするとヒメナ様が縛られたままのグラシア公爵を連れて影から急に現れて「これで問題ないでしょ」と言われました。そこからは私の仕事で兵士に直ちにグラシア公爵の屋敷にいる者たちを捕らえる様に命令を出しました。それから一気に問題は解決に向かうと思われたのですが数名取り逃がしてしまい現在に至るという訳です」
どうやら俺の予想通り姫姉が単独でグラシア公爵を助けに行ったようだった。
ただ面倒くさがって単独で先行し過ぎたようで連携が間に合わずに数名に逃げられたのは少し痛手だ。
「それからグラシア公爵の状態を宮廷医師に診て貰い疲労と空腹ぐらいで他に異常が無いと判断されたので遅い昼食を取って貰い、捕らえられた時の事を詳しく聞く為にここに呼びました。ユーマさんが眠っていた時に会ったことの大体は以上です。何か質問はありますか?」
王女様は一度そう締め括った後、俺に質問があるか尋ねてきたが特に分からなかった事は無かったので「ありません」と王女様に返答した。
「ではグラシア公爵の話を聞きたいと思いますがいいですか?」
王女様は俺から視線をグラシア公爵に移してそう問い掛けた。
王女様にそう問い掛けられたグラシア公爵は「分かりました」と言ってから一度深呼吸をしてから先度口を開いた。
「私の派閥の者が動き出したのは昨晩の日が落ちてからだった。最初はちょっとした違和感でしかなかったが今思えばアレが兆候だったのであろう。周りの空気が少しだけ違ったので私はその原因を探ろうとしたのだがそれに感づいたのか不覚にも我が家に居た使用人に捕らえられてしまった。それから私の派閥の者たちが屋敷にやって来て「計画を早める」と言っていた。多分それが王城の襲撃の件だったのだろう。私は周りの者の監視の目を盗み見て私の方も問題が起きていると知らせるために魔道具を起動した。ただそれを監視に見つかってしまってさらにきつく縛られてしまった」
どうやら俺が透視で視たグラシア公爵は魔道具の使用が見つかって取り押さえられていたところだったらしい。
「それからヒメナ嬢に助けに来て貰うまでの間監視されており、派閥の者も私の近くには来ず情報は何も得られませんでした。お役に立てず申し訳ありません」
グラシア公爵はそう言って王女様に頭を下げた。
「いえ公爵が無事にこちらに戻って来られたので、彼らは公爵を王座にと考えていたようですので最悪の場合公爵を薬や魔法で操ることも考えられましたから。そうなった場合内戦の可能性も、それを回避できただけでも良かったです」
王女様のまさかの薬や魔法での洗脳と言った発言に俺は少しだけ驚きながらもそこまで考えていたのかと感心した。
だがグラシア公爵は王女様のその発言に返すように口を開いた。
「もしも私が薬や魔法などで操られた際には迷わず切って下さい。王女様にそれが難しいのであればウォレン殿、貴殿に頼みます。それが私の本望です。神に誓いますし、誓約書も書きましょう。ですのでもしもの場合には躊躇わないで頂きたい」
グラシア公爵は覚悟を決めた目で王女様とウォレンさんにもしもの場合は殺されても良いと宣言した。
仕事で疲れてて投稿をするのをすっかり忘れてました。