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第173話 公爵の従者?

前回のあらすじ

捕まえた連中が爆散

騎士たちが巻き添えにあう

兵士が知らせを持って駆け寄って来る


「報告します! グラシア公爵の従者を名乗る者が王女様にお伝えしたいことがあると大勢の兵士を連れて来ました!」

 急いで駆けて来た兵士は息を整えてからそう報告をした。


 その報告を聞いた俺はタイミング良く従者が来るのは百歩譲って理解出来たが、わざわざ大勢の兵士を連れて来るのはどう考えてもおかしいと感じた。

 王女様もその事に気が付いてはいるのかいないのか、難しい顔をしながら悩んでいたが何か決心したように顔色を変えて口を開いた。


「グラシア公爵の従者を名乗る者だけを応接室まで案内して下さい、私も応接室に向かいます。連れて来ている兵士たちは一人も通さない様に、もしも無理に王城に入ろうとした場合には拘束して下さい」

 王女様がそう言うとその命令を受けた兵士は「分かりました」と敬礼と共にそう返事をして直ぐに王城の門がある方向へ駆けて行った。


「はぁ、罠でないと良いのですが……。ユーマ様も同席されますよね?」

 兵士が駆けて行った後王女様はため息を吐きながらポツリとそう溢し、俺にグラシア公爵の従者との話し合いの場に参加して欲しそうに話しかけて来た。

 俺としてもこのタイミングでの来訪は罠の可能性を否定出来ず、絶対何か仕掛けて来ると思ったので王女様からのその提案は渡りに船なので二つ返事で「参加します」と返した。

 俺のその返事を聞いて王女様はホッとした様子で胸を撫で下ろし「では応接室まで行きましょう」と言うと歩き出し、俺も王女様の後に続いて歩き出した。


 少し歩いて応接室に着いた王女様と俺は先に部屋に入ってグラシア公爵の従者を待った。

 少しして部屋の扉をノックする音と共に「グラシア公爵様の従者の方をお連れしましたと」と声が掛けられ、王女様はその声に「どうぞ入って下さい」と返すと扉が開かれて一人の男が入って来た。

 男は部屋に入ってくるなり王女様を一瞥し一席飛ばして隣に座っている俺を見て苦々しい顔になり、メイドさんが案内する前に王女様の対面に座った。

 この無礼な態度には流石に王女様も引き攣った笑みを浮かべ、案内をしようとしていたメイドさんも唖然としていた。


「このような夜更けに申し訳ありませんが事態は急を要するためご容赦を。それで本題に入りたいところなのですが重要な話ですのでそこの者には退席して頂きたく」 

 男の無礼な態度は留まるところを知らない様で行き成り王女様相手に話をし始め、さらに俺を睨みつけたかと思えば俺を追い出すように王女様に進言した。

 この発言には流石の王女様も唖然として何も言えなくなってしまい、王女様が黙ったままなのを進言を黙認したと勘違いした無礼な男は俺に向かって口を開いた。


「おい! どこの馬の骨か知らんがこれから重要な話があるんだ! 今すぐこの場から出て行け!」

 あまりの発言に怒りを通り越して呆れになった俺は無言で立ち上がり無限収納アイテムボックスからミスリルを取り出し男の口元に押し付けてスキル形状変化で口枷にして黙らせた。

 行き成り口枷を付けられた男は怒ったのか顔を真っ赤にしながら何かを言いながらどうにか口枷を外そうと必死に引っ張っていたが顔にピッタリフィットの口枷は外れる訳が無く、数分間口枷と格闘をしたが外れずにやっと諦めた。


 男が口枷を外そうとして諦め落ち着いたところで王女様は男に話しかけた。

「落ち着いたところで一つ忠告します。今後私の許可なく口を開けば即座に話を切り上げて貴方を不敬罪として処分します。分かりましたか?」

 怒りの滲んだ王女様の言葉だったが男は全く理解していないのか「む゛ゔゔゔぅ」と顔を真っ赤にしながら呻き声を上げ続けた。

 男のこの状況から話し合いは無意味だと判断したのか王女様は兵士を呼び男を牢屋に入れる様に命令を出し、それを聞いた男は逆上したのか王女様に襲い掛かろうと王女様に迫ったので俺は王女様の前に立ち、向かってくる男の顔面を殴って気絶させた。

 気絶した男は不敬罪に王族暴行未遂の実行犯として兵士によってドナドナされていった。


「はぁ、一体何が目的だったのでしょうか……」

 グラシア公爵の従者を名乗った男の訳の分からない行動に王女様は頭を抱えながらそう呟いた。

 王女様の呟きを聞き俺もあの男が何をしたかったのか自分なりに考えた。

 もしもあの男が本当にグラシア公爵の従者なら王女様にも無礼過ぎるし俺を目の敵の様にして来るのも理解できない。明らかにグラシア公爵の印象を悪くする行為でしかない。だが公爵派閥の人間が用意したスパイだったとしたらお粗末すぎる。やった事と言えば王女様への不敬な行動と俺の心証を悪くする言動、そして少しばかり俺たちの時間を無駄にした程度で嫌がらせにしかなっていない。

 もしかしたら時間を稼ぐことに意味があるのではとスキル透視盗撮を使って馬鹿貴族たちが捕らえられている牢屋やグラシア公爵が捕まっている屋敷、そして王城内を大雑把に視たが特に怪しい動きも怪しい人影無く、本当に何がしたかったのか分からない。

 これといった分かりやすい状況の変化が無く、どうにも不可解な男の行動に俺も頭を抱えることになった。


 




 予約投稿をするのを忘れていて投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。


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