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第171話 動き出す公爵派閥

前回のあらすじ

王女様に雑な態度で接してアリシアさんが驚いていた

姫姉に会議のさわりだけ伝えた

タンシチューが絶品だった

 ウィンダムさんとアリシアさんを味方に引き入れた翌日の真昼間まっぴるまに早くも公爵派閥連中に動きがあった。

 奴等は思ったよりも行動力があったのか捕まえられたバカ貴族たちの派閥でまだ捕まっていなかった者が牢獄にやって来て堂々と牢獄の門番に金を握らせ、金を貰った門番は軽やかなステップでどこかに行ってしまったらしい。

 それから武器防具を大量に運び込もうと他の連中がやって来たところでウィンダムさんが声を掛けて時間を稼いでいる間に王女様とグラシア公爵が騎士たちを連れてその場に着き、もれなく全員捕らえられて解放しようとした貴族連中と共に牢獄に入れられた。


 そして現在それらの話を作戦会議で使った部屋に呼ばれて俺は王女様から詳しく聞いていた。

「という訳でして……。それとグラシア公爵の派閥の者が係わったという情報ですが、今の所出てきていません」

「私の方でも派閥のお者たちを監視していたのですが今回の件は前々から計画されていたようでこれといった怪しい動きが無く……。申し訳ありません」

 二人とも思った以上に情報が得られなかったようで肩を落としながらそう言った。


 今回公爵派閥の連中を捕まえられなかったのは痛手かもしれない。今回の件でこっちが公爵派閥の動きを掴んでいる事は向こうに気付かれたはずだ。そうなると公爵派閥はもっと巧妙に動くか、最悪何もせずに様子見にてっするかもしれない。

 一応こっちには証拠として俺が盗聴した今回の件を計画していた時の録音データが残っているからそれでどうにか出来ないか王女様に尋ねたが今回の逮捕者との繋がりがはっきりとした証拠がないと逮捕までは出来ないと言われた。

 それから色々と話し合ったところで夕食の時間になり、明日また話の続きをすることになった。

 

 翌日からは公爵派閥が今後どのような動きを見せるかが話の焦点になったがこればかりは本人たちにしか分からない事なので公爵派閥が何か行動を起こすまでは様子見するという結論に至った。

 それからウィンダムさんとアリシアさんは牢獄の監視を続け、グラシア公爵が公爵派閥の監視をしていると意外にも二日経った夜更よふけに動き出した。


 この時の俺はまだ知らなかったが後でグラシア公爵から聞いたところによるとまず動きがあったのは公爵派閥だったらしい。

 それから時間を置かずに牢獄にも動きがあったようで王女様から借り受けた異常を知らせる魔道具がけたたましく鳴り響き、俺は叩き起こされた。

 目を覚まさざるを得なかった俺は着替えをしながら現状を把握するためにスキル透視盗撮で牢獄の方を視た。

 牢獄には怪しさ満点の黒装束の人間が複数視え、それに対峙するようにアリシアさんが牢獄の通路を背に立ち塞がっていた。

 牢獄がおとりの可能性も考えて俺は他に賊が侵入している所が無いかざっと王城内を透視し、他に侵入者がいないことを把握してからアリシアさんがいる牢獄まで急いだ。


 牢獄の近くまで移動してきた所で牢獄の前に立ち塞がるアリシアさんに気を取られている賊の背後に気配を消してそーっと移動しスティールを使いながら奇襲を仕掛けた。

 奇襲の結果は此処まで近づかれても気付かない賊相手でしかも武器や着ている衣服を奪われたりして戸惑っているのもあって簡単に成功し、俺とアリシアさんで全員を無力化させて一息ついたところでアリシアさんが声を掛けてきた。


「ユーマ君、さっきの奇襲はなんというか……見事だったな」

 少しだけ含みのある言い方だったがアリシアさんが俺の事を褒めて来たのでこっちも此処まで一人で持ち堪えた事を褒め返すことにした。

「いやアリシアさんこそ、俺が来るまで一人であの人数相手に持ち堪えてたじゃないですか」

「だが君が来るまで誰も倒せなかった」

「でも一人も通さなかったじゃないですか。それは褒められるべきだと思いますよ」

「だが……」

 俺が褒めてアリシアさんが謙遜し自分はまだまだ実力不足だと反省を言いそこをまた俺が褒めるという事を繰り返していると遠くから掛けて来る複数の足音を聞き俺とアリシアさんは話を切り上げて構えた。


 足音の正体が曲がり角から現れてそれを見た俺とアリシアさんは少しだけ緊張の糸を解き構えていた武器を下ろした。

「お待たせしましたアリシア様! とユーマ様? 賊は……あっ」

 騎士を連れてやって来た王女様はアリシアさんに声を掛けて直ぐに傍に居る俺に気付き、そして賊がもう倒されてしまっている事に気が付いてばつの悪い表情になりながら再度口を開いた。

「アリシア様、ユーマ様賊の無力化にご協力頂きありがとうございます。お二人ともお怪我はありませんか?」

「私は大丈夫です」

「俺もありませんよ」

 王女様は俺たちを労う言葉を言った後に怪我が無いか尋ねてきたのでアリシアさんと俺は全身が見える様にしながらそう返した。

「それは良かったです。賊の移送はこちらで行いますのでお二人はそれまでの間、襲撃の詳細をお聞きします」

 王女様にそう言われたアリシアさんは王女様の言葉に従って賊の襲撃から無力化までの一連の流れを説明し俺は奇襲をして援護をしたと正直に話した。



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