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第170話 ウィンダムさんとアリシアさんに作戦を伝えた

前回のあらすじ

ウィンダムさんとアリシアさんが王女様に呼び出されてやって来た

王女様が二人に協力を命じた

二人が仲間になった

「ではウィンダム様とアリシア様には牢獄の監視と怪しい者が現れたら報告をお願いします。グラシア公爵には派閥の監視を。そしてユーマ様はもしもの際にはお手を借りたいのともし新たな情報を手に入れましたら報告して頂けるとありがたいです」

 王女様のその言葉にウィンダムさんとアリシアさんはわざわざ片膝立ちになって頭を下げながら「拝命はいめいいたします」と言い、グラシア公爵も片膝立ちになり「怪しい行動を見つけ次第対応します」と宣言した。 


 俺はウィンダムさんたちと同じようにした方が良いかと悩んだが王女様の臣下でもないので別に良いかと思い椅子に座ったまま「分かりました」と返しアリシアさんが口をあんぐりと開いて顔面を真っ青にしていた。

 たぶん不敬な態度だとか思っているのだろう。

 だが王女様は俺のその態度に一切顔色を変えずに「皆様よろしくお願いします」と言うだけだった。

 それからウィンダムさんとアリシアさんは監視の定時報告の時間を決めたり、グラシア公爵の派閥の者が動き出した時の緊急時の合図など細かい所を打ち合わせをして作戦会議が終わる頃には夕食の時間になっていた。


「では皆様明日からよろしくお願いします」

 王女様がそう言うとタイミングよく部屋の扉をノックしてメイドたちが部屋の中に入って来た。

 部屋に入って来たメイドたちは王女様の傍に一人、ウィンダムさんとアリシアさんの傍に一人、グラシア公爵の傍に一人と別れて何かを話していた。

 そして俺の傍にはメルリアさんがやって来た。

「ユーマ様、夕食の準備が整っておりますが一度お部屋に戻り着替えますか?」

「このままでいいです」

「分かりました。では食堂までご案内します」

 メルリアさんはそう言うと歩き出し俺はその後に付いて行った。


 食堂まで移動し食堂内に入ると姫姉たちやソリアさんが先に来ており談笑していたが俺が入って来た事に気が付いて姫姉が話しかけてきた。

「お疲れ、優君。それで話し合いはどうなったの?」

「取りあえず厳重警戒ってところ。向こうが動けばこっちも動く位かな」

「そっか待ちか」

「うん、取りあえず待ち。もう少し情報が手に入ればこっちから動くかも」

 俺と姫姉がそんな話をしているとウィンダムさんとアリシアさんがやって来て、そのすぐ後にグラシア公爵が食堂に入って来た。

 そして軽く挨拶を交わしているとウォレンさんと王女様が食堂に入って来てメイドたちが動き出した。


 王女様が席に着いたところで動き出したメイドたちによって全員の前に前菜の皿とカトラリー、飲み物が配膳されていった。

 全員の前に配膳が行き届いたところで王女様が口を開いた。

「本日もお集まり頂きありがとうございます。お祈りの後お食事をお楽しみください」

 王女様がそう言うと王女様たちは食前のお祈りをし、俺たちは手を合わせて頂きますをした。


 前菜として出されたのはレタスとトマトとオニオンスライス、そしてそこに酸味とコクと旨味が程良いシーザーサラダドレッシング掛けられて、さらにその上に疎らにクルトンが振りかけられたサラダだった。

 シャキシャキのレタスとトマトは新鮮でドレッシングが無くても食べられるほどに素材の味が良く、オニオンスライスはドレッシングの後味を辛味で終わらせてまたドレッシングを味わいたいと思わさせるのに一役買っている。クルトンはカリカリな部分とドレッシングでふやけた部分との二つの食感で食事を楽しませてくれて俺は瞬く間にサラダを食べきった。


 俺がサラダを食べ終えて周りを見回せば他の人たちも同じくらいのスピードで食べていたようで殆どの人たちがサラダを食べ終えていた。

 そして全員がサラダを食べきったところでメインの皿が運ばれてきた。


 今日のメインは強い香りが漂うビーフシチューと一定の厚さでカットされたバゲットから薄らと香るガーリックの匂いが食欲を引き立たせるガーリックトーストだった。

 俺はまず明らかに美味そうな香り漂わせるビーフシチューを口に運んだ。

 スプーン一杯の量で強烈な旨味とコクがマグマの様に口の中に広がりいつの間にか俺は二口、三口と無意識的にシチューを食べていた。

 四口目を口に運んびシチューの水位が下がった所でシチューの中にドンッと存在感を放つ肉の塊に気付き俺は本能のままにスプーンを差し込んだ。

 肉の塊はその大きさとは裏腹に簡単にスプーンで解れ、俺は解れたその一部をスプーンで掬って口の中に放り込んだ。


 とろとろにまで煮込まれた肉は口の中で噛むまでも無く肉汁とシチューが溢れ出して豊かな旨味が広がっていき、噛むことで何処から出て来るのかさらに旨味が肉の中から溢れだし最高に美味い。

 そして一口食べて確信した、この肉は牛タンだと。今日のメインはビーフシチューでは無くタンシチューだったのだ。これだけでも絶品だが出された皿はこれだけではない。


 俺はもう一つの出された皿に乗るガーリックトーストに手を伸ばし解した肉とシチューを乗せて食べた。

 タンシチューだけでも美味しかったのにガーリックトーストの食欲を引き立たせる匂いとトーストの焼かれた香ばしさ、さらにカリッとした部分とシチューで柔らかくサクゥとした食感が絶妙にタンシチューの味にベストマッチしていてもの凄く美味いッ!


 絶品のタンシチューとガーリックトーストを堪能した俺はメイドが持ってきた食後のコーヒーを飲みふぅと一息ついた。

 俺が一杯目のコーヒーを半分ほど飲んだところで全員がメインの料理を食べ終え、最後のデザートが運び込まれてきた。


 デザートはパイ生地に苺とラズベリーがたっぷりの生クリームと一緒にサンドされている物だった。

 パイ生地ごとフォークで一口サイズに切って食べると生クリームの甘さが口いっぱいに広がり、次に苺とラズベリーの甘酸っぱさが追いかけて来て上手く味に纏まりを持たせていて甘ったるいくどさが無くてもう一口食べたくなる美味しさだった。

 パイ生地も拘っているのか一番下と真ん中の生地はしっとりとした柔らかいパイ生地で、一番上は表面を砂糖を焼いてパリパリの食感の仕上げたサクサクのパイ生地で色んな食感を楽しめる様になっていた。

 



2月は30日が無いので今日更新しました。

そしてこちらが本日の料理の解説です。


シーザーサラダ

レタスは食べやすサイズに手で千切りトマトはくし形切りで


タンシチュー~ガーリックトーストを添えて~

 ワインやセロリ香草などで煮込んだ牛タンをデミグラスソースなどで味付けしたタンシチューと通常よりも少しだけガーリックバターの量を控えたガーリックトースト


苺とラズベリーとたっぷり生クリームのミルフィーユ仕立て

 ラズベリーの大きさに合わせて苺を半分に切ってパイ生地の上に乗せ隙間を生クリームで埋めてサンドし一番上のパイ生地には軽くキャラメリゼをしてから苺とラズベリーを乗せたミルフィーユ

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