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第169話 ウィンダムさんとアリシアさんを仲間に引き入れた

前回のあらすじ

作戦会議を再開

協力者を増やす提案をする

協力者にウィンダムさんとアリシアさんを推す

「という訳ですので私もウィンダム卿にお力添えをして頂くのが得策かと思います」

 グラシア公爵は未だに困惑している王女様へ決断を急がせるようにそう進言した。

 グラシア公爵の進言を聞き王女様は困惑した表情のまましばらくの間悩んでいる様子だったが結論が出たのか一つ溜め息を吐き口を開いた。

「分かりました。ウィンダム様にお力添え頂けるか尋ねましょう」

 王女様はそう言った後ベルを鳴らしてメイドを呼び出してウィンダムさんたちを呼んでくるようにと告げ、王女様の命を受けたメイドは一礼をして部屋を出て行った。


 メイドが出て言った後、王女様が「ウィンダム様方が来るまでの間、少し休憩をしましょう」と言い、俺とグラシア公爵もそれに同意してウィンダムさんたちが来るまでの間各々飲み物を飲みながら過ごした。

 束の間の休息を満喫していると部屋の扉をノックする音が聞こえ、それに王女様が「どうぞ」と返すと部屋の扉が開かれた。

 開かれた扉からウィンダムさんが部屋に入って来て数歩進んだところでその場に跪き、それに続いてアリシアさんが部屋に入って来たが椅子に座って珈琲を飲んでいる俺を見て一瞬驚いた表情で固まった後、ウィンダムさんの一歩後ろで跪いた。


「ウィンダム・ラグウェスト、王女様のお呼びにより参りました」

「アリシア、です。ウィンダム様と同じく参りました」

 ウィンダムさんは跪いた姿勢のままはきはきと王女様にそう言い、アリシアさんは緊張しているのか少しだけ言葉に詰まりながら王女様に向けてそう言った。

「二人ともよく来てくれました。まずはお二人ともこちらへ」

 跪いている二人に王女様はそう言って空いている席に座る様に促した。

 王女様に座る様に促されたウィンダムさんは直ぐに立ち上がり空いているグラシア公爵の対面の椅子に腰掛け、アリシアさんはぎこちない動作でウィンダムさんの横の席に腰掛けた。


 二人が座った事を確認してから王女様が口を開いた。

「お二人をお呼びしたのは協力をして欲しい事があるからです」

 王女様がそう言うとアリシアさんが小さく「えっ」と声を漏らして驚いた。

「ほぉ、王女様がこの老いぼれにお願いですか?」

 逆にウィンダムさんは表情を変えず弱者を装った言葉を王女様に返した。

「ええウィンダム様の事はこちらのお二人にお聞きしました。その上でラグウェスト元辺境伯であるウィンダム様にお願いしたいことがございます。お聞きして貰えますか?」

「王女様がそこまで仰るのなら傾聴しましょう」

 俺とグラシア公爵から色々聞いて知られていると理解したウィンダムさんは諦めて王女様の話を聞く姿勢を取った。

 

「ありがとございます。アリシア様も宜しいですか?」

 ウィンダムさんから言質を取った王女様はついでと言わんばかりにアリシアさんにも話を聞いて貰えるか尋ねた。

「ふぇっ?! は、はい大丈夫です!」

 ここで自分に話が振られると思っていなかったのかアリシアさんは素っ頓狂とんきょうな声を出しそれを誤魔化すかのように大声で返事をした。

 アリシアさんのその反応に俺とウィンダムさんは笑いをかみ殺していたがグラシア公爵は貴族らしく無表情を決め込み、王女様は微笑ましそうに笑顔を浮かべたあと口を開いた。


「お二人から良い返事が聞けたところで、お二人には王城内で脱獄の手助けをしようとしている者を捕まえるのに協力して頂きたいと思っています。ただ今のところその協力者について情報が無いためお二人には牢獄に怪しい人物が出入りしていないかの見張りをお願いしたいのです」

「それはまた難しい事を」

 王女様の依頼にウィンダムさんは難しい顔をしながらそう返したがそれに対して王女様が追い打ちをかける様に口を開いた。

「ウィンダム様にはその能力があると聞いています。なんでも護衛の方を撒くのが得意だと」

 王女様がそう言うとウィンダムさんは悪戯が見つかった子供の様にゲッとした顔をして俺とグラシア公爵を交互に見てきたので俺は笑顔を返しておいた。

 あの気配すら感じさせないウィンダムさんの実力なら誰にも見付からずに見張りをするなんてお手の物だろうだから俺の為にも頑張って貰いたい。

 

「はぁ、やはり知られておったか。分かりました王女様。その命、お受けします」

 素直に負けを認めたウィンダムさんは王女様の依頼を受けると宣言した。

「はい、よろしくお願いします。アリシア様にはウィンダム様のサポートをお願いできますか?」

「は、はい! 全身全霊を持って命を遂行したいと思います!」

 ウィンダムさんの色良い返事を貰えた王女様はアリシアさんにも協力を要請し、アリシアさんは緊張した様子でやはり大きな声で良い返事をした。


 これで一番重要な見張りに関しては問題が無くなったわけだが、これでもまだ後手に回っている。出来る事なら脱獄の決行日だけでも特定しておきたいところだが今の所公爵派閥の貴族連中は全員家から動いていないことをマーキングで把握している。

 早く尻尾を出して欲しい所だ。


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