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第167話 公爵派閥の捕縛作戦会議

前回のあらすじ

王女様との話し合いの場にグラシア公爵を呼び出す

公爵派閥の悪だくみをばらす

グラシア公爵を呼び出した真意を問われる

「そ、そうですか。二度手間ですか……確かにそうですね」

「うむ、確かに言っている事は間違ってないが……」

 俺の回答に王女様とグラシア公爵は苦笑いを浮かべながらも理解はしてくれたみたいだった。

 

「とりあえずこの事は分かりました。それでユーマ様、今回の件はこちらに任せて頂けるという事で宜しいですか?」

「ええ、俺の前まで来なければこちらからは手出ししませんので王女様と公爵様に任せます」

 俺がそう返すと王女様はあからさまにホッとした様子で肩を落とした。

「分かりました。彼らの脱獄は絶対に阻止して見せます。公爵は派閥の者たちの方をお願いできますか?」

「元より身から出たさび、こちらは私が責任を持って対処いたします。ユーマ殿にも迷惑が掛からぬようにいたします」

 

 それから俺は王女様とグラシア公爵の公爵派閥捕縛作戦の内容を聞きながら良い案があればそれを提案したり作戦の抜け穴になりそうなところを補強したりを昼食の時間だとメイドが呼びに来るまで続けた。


「皆様、昼食の準備が整いましたのでご案内します」

「もうそんな時間でしたか。ユーマ様、グラシア公爵、会議は一旦中断にして昼食にしましょう」

 王女様のその言葉に俺とグラシア公爵も同意して呼びに来たメイドに連れられて俺たちは食堂まで移動した。



 食堂に入ると姫姉たちやウィンダムさんたちにウォレンさんも先に席に着いていて遅れてやって来た俺はいつも通り姫姉の横に案内され、初めてこの場に来たグラシア公爵はウォレンさんの隣の席に案内されていた。

 そして最後に王女様が席に着いたところでメイドたちが全員の前に料理を運んできた。


 メインの皿にはこんがりと揚げられてきつね色をした揚げ物に角切りにされて煮詰められたトマトのソースが掛かった物と付け合わせのレタスとブロッコリー、スープとして賽の目にされた具材がゴロゴロと入った物、そして見慣れてきたふっくらと焼かれた香り高い白パンが全員の前に並べられた。


 料理が全員の前に提供されたところで王女様が食前の挨拶をし、その後王女様たちはお祈りをして俺たちは「いただきます」をしてから料理に手を付けた。


 俺はまず湯気が立ち昇るスープに手を付けた。

 スープには様々な野菜が使われているのか野菜同士が複雑に絡み合い深いコクを生み出していて美味いとしか表現できない自分が恨めしい。

 そのまま飲んでも美味しいし軽くパンを浸して食べても美味しい。


 次に俺はメインの揚げ物のど真ん中にナイフを入れると中からとろ~っとチーズが零れだし紅いトマトソースの大地の一部を白く染めた。

 そして俺は揚げ物を一口大に切り、零れだしたチーズとトマトソースを付けて口に運んだ。


 口に広がるトマトの酸味と旨味にチーズの濃厚なコク、そしてそのチーズを挟んでいた脂身の少ない鶏胸肉が見事にマッチして全ての味を調和させていて最高に美味かった。

 鶏胸肉だけではパサついていてあまり食べたいとは思わないがチーズとトマトソースを合わせるだけでこんなにも美味しく仕上がっているのはまさに奇跡と言っても過言ではない。


 そんな鶏胸肉のチーズはさみ揚げを今度は上下に割ったパンの間に付け合わせの野菜と共に挟んで食べた。

 これもまた最ッ高に美味しかった。

 鶏胸肉のチーズはさみ揚げが美味しいのは勿論の事、そこから溢れ出したチーズとトマトソースがパンと一緒に食べても本当に合っていて食べ応えがあった。


 出された料理を食べることにむちゅうで無言になりながら出された料理を全部平らげた俺は大満足で「ごちそさま」をした。

 他の人たちはまだ食べている最中だったので俺はメイドさんに食後のコーヒーを貰って他の人たちが食べ終わるのを優雅に待った。


 俺が至福の一杯を飲み終える頃、一人また一人と食事を終えて遂に全員の食事が終わり、メイドたちが全員の前から食器を片付け終えたところで王女様が口を開いた。

「皆様食べ終えたようですので昼食会はお開きにしたいと思います。ユーマ様とグラシア公爵には先ほどに引き続き例の件で話し合いをしたいと思いますので後程使いを向かわせます」

 王女様のその言葉に俺とグラシア公爵は「わかりました」と返し、それを聞いた王女様は「では」と言って先に食堂を後にした。


 それからウォレンさん、ウィンダムさんたち、そして姫姉たちの順番で食堂を後にして俺も姫姉たちと一緒に移動しようとすると一人のメイドに呼び止められた。

「ユーマ様はこちらでグラシア公爵とお待ちください」

 メイドにそう言われて俺は先に食堂を後にする姫姉たちを見送り、入れ違いで入って来るメイドに声を掛けられた。

「ユーマ様、グラシア公爵様、お待たせして申し訳ありません。王女様のお待ちになる部屋までご案内します」

 どうやら思ったよりも早く準備が整っていたようで俺とグラシア公爵はそのメイドに連れられて王女様の待つ部屋まで移動した。


今回の昼食のメニュー

チキンコルドンブルー(鶏むね肉のチーズはさみ揚げ)のトマトソース掛け

キュルティバトゥール(野菜たっぷりのポタージュスープ)

ふっくらと焼き上げた丸い白パン


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