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第166話 公爵派閥の悪だくみを暴露した

前回のあらすじ

とある貴族の悪だくみの事を伝えることにする

念話で王女様との謁見を申し込む

グラシア公爵も呼び出す

「ユーマ様、お待ちしておりました」

 メルリアさんに連れられて応接室の中に入ると、俺に気が付いた王女様が立ち上がり怒りの感情を言葉の端から漏らしながらも迎え入れてくれた。

 王女様が怒っている原因が俺にあるのでその怒りを苦笑いで受け止めつつ、促されるまま王女様の手前の席に座ろうとしたところで応接室の扉がノックされて扉を開けたメイドと共にグラシア公爵が入室してきた。


「遅れましたか?」

 入室してきたグラシア公爵は先に来ていた俺を見てそう言いそれに王女様が「いえユーマ様も先ほど来たところですので」と返した。

「そうですか」

 グラシア公爵はそう言った後、王女様と俺の斜め前の席に座る様にメイドに促されて席に着き座るタイミングを逃していた俺も席に着いた。


「それでユーマ様、私たちに話があるようですが?」

「ええある貴族が俺と王女様を排除して公爵に王になって貰おうと計画しているみたいなんですよ」

「ちょっちょっと待ってくれ?! 私はそんな大それた事などする気はないぞ!」

 俺が公爵に王権を移譲いじょうさせる計画があるとお道化どけた様に伝えると行き成りそれを聞かされた公爵があわてた様子で謀反むほんの意思は無いと声を大にして王女様に訴えた。

 グラシア公爵のその言葉を聞いて王女様が何かを言おうとしたがその前に俺が口を開いた。


「ええ分かってますよ。公爵にその意思が無いと思ったのでここに呼ぶように王女様に頼みました。それでですが公爵の派閥の数名が公爵を王にするために邪魔な王女様を排除するためにまず牢に入れられている貴族連中を脱獄だつごくさせてそれを理由に王女様の信用を落とし、俺にはあの扉を呼び出したのが俺だと嘘の情報を流して国民の目を俺に向けて俺を排除させる作戦のようです」

 俺がそう言い切ると対面に座っていた王女様が身を乗り出し口を開いた。


「ユーマ様ッ! それは本当ですか!」

 鬼気迫ききせまる王女様の問いに俺は透視盗撮と集音盗聴のスキルの合わせ技で録画録音した魔石を取り出して無言で王女様に手渡した。

 魔石を手渡された王女様はそれだけで俺が言わんとしている事を理解したのか直ぐに魔石に魔力を流して中に録画録音されたモノを再生した。


 暫くの間再生された映像を見終えた王女様とグラシア公爵は静寂に包まれた部屋の中で共に頭を抱えてしまった。

 頭を抱えたままの物言わぬ王女様たちを見ながら俺はどう声を掛けるか悩んでいると王女様がガバッと頭を上げて重い口を開いた。

「取りあえずッ、取りあえず脱獄の手助けをする者を捕らえなくてはいけませんね。はぁ」

 王女様はそう言うと大きなため息を漏らして傍にあったベルを鳴らした。そのすぐ後にメイドが一人部屋に入って来て王女様の傍まで駆け寄った。

 王女様はやって来たメイドに何かを伝え、それを聞いたメイドは焦ったように部屋を出て行き王女様は俺の方に向き直って話しかけてきた。


「さて、ユーマ様今回も重要な情報の提供ありがとうございます。彼らの脱獄を許せば王国に甚大な被害が出ていたところです。事前に手を打てたのはユーマ様のおかげですので何か褒美を与えるところなのですが……何か欲するものはありますか?」

 王女様は褒美と言ったところで言い淀み悩んだ後、俺に褒美に何が欲しいか尋ねてきた。

 急に褒美と言われた俺は今欲しい物か……と悩んだがどれも王女様では到底叶えられないようなモノばかりで返答に困った。


 現実的に考えるなら金銭が妥当なのだろうが金を一番使う衣食住は王城にいるおかげで無料タダだし、それに冒険者として稼いだ金もまだ残っているので貰っても使う機会が無い以上貰うだけ無駄な気もする。

 俺がそんな風に思い悩んでいると痺れを切らしたのか王女様がある提案をしてきた。

「今すぐに欲しい物が思い付かなければ保留でも構いませんよ」

 王女様にそう言われた俺は直ぐに「じゃあ保留で」と即答し、俺の即答に王女様は苦笑いを浮かべた。

 

「分かりました。では褒美に関してはまた後日という事で……。それでユーマ様、ここにグラシア公爵を呼び出したのは何か意図があったからですよね?」

 歩日の話が終わったと思ったら今度はグラシア公爵をわざわざ呼び出した事について訊ねてきた。

 ぶっちゃけグラシア公爵を此処に呼んだのは派閥の連中がバカな事をしてるから責任とって止めて来いと伝えるためだけで特に深い意味は無かったのだが馬鹿正直にそう伝えたところで信じて貰えるか。

 

「それは私からも聞きたいと思っていたところだ」

 俺が言い淀んでいる間にグラシア公爵も気を取り直してそう言い俺がなんと答えるのか注視してきた。

 誤魔化してそれらしいことを言おうか悩んでいたがここまで注目されている状態で下手な事を言うのは愚策だと考えた俺は素直に話すことにした。

「特に意味は無いです。ただ王女様に話してからまたグラシア公爵に話すのは二度手間になると思ったので。それにこの件は速さが重要だと思ったので呼び出しただけです」

 

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