第17話 スライムの楽園に行こう
前回のあらすじ
ついに親友が現れた。つーか出るの遅くね。
今日はスマホの目覚ましよりも早くに目が覚めたみたいだ。
窓から入り込む日の光がいつもより少ない。
「ピキィー」
俺が起きたと気付いたのかスライムが鳴いた。
「おはよう。お前に名前を付けてやらないと呼びにくいな」
さて、どんな名前が良いかな。水色だし、よしレインかな。
「お前の名前は今日からレインだ」
「ピキィーピキィー」
嬉しそうにレインが鳴いた。
ちゃんと反映されているかレインのステータスでも確認してみるか。
名前 レイン
性別 なし
年齢 0
種族 スライム
レベル 1
HP 5/5
MP 3/3
スキル
耐性系スキル
物理耐性Lv.1
補助系スキル
吸収Lv.1、消化Lv.1
称号
ユーマの従魔
よしちゃんと名前がレインになってる。
「これからもよろしくなレイン」
「ピキィー」
元気よくレインが返事をしてくれた。
「さてまだ早いけど朝食でも食べに行こうかな」
そう思いベッドから出るとやはり今日も姫姉が俺のベッドに潜り込んでいた。
「もうあきらめよう。いちいち言うのもめんどくさいし」
俺は手早く着替えを済ませ、食堂にやって来た。
「ユーマ様、おはようございます。本日はいつもよりお早い起床ですね」
食堂に入るとメルさんが出迎えてくれた。
「おはようございます、メルさん。なんだか早く目が覚めちゃって、朝食ってもう食べれますか」
「はい、食べれますよ」
「じゃあお願いします」
「では席に着いてお待ちください」
それから俺が朝食を食べ終わる頃に姫姉が食堂にやって来た。
「おはよう優君。今日はずいぶん早いんだね」
「ああなんだか朝早くに目が覚めちゃって」
「ふーん、それより今日はどうするの?」
「そうだな、今日は街を探索でもするか」
「そうだね、昨日は酷い目にあったし今日はおとなしく街でも散策しよっか」
そんな感じで姫姉と会話をしているとメルさんが会話に入って来た。
「ユーマ様、ヒメナ様。街を散策なされるのでしたら南の区画にあるスライム愛好会の集いに行かれてはいかがでしょうか」
「スライム愛好会の集いって何ですか?」
「あそこはスライムを飼っている人が集まってスライムと戯れるところです」
なんか面白そうなところだな。
「面白そう。優君、行ってみようよ」
「そうだな特に予定もないし行ってみるか」
こうして俺たちは朝食を食べたのち南区画にあるスライム愛好会の集いに行くことになった。
王城から馬車に乗り南区画まで行くとそこは色んな店が立ち並んでいた。
「この南区画は商業区で様々な商店があります。スライム愛好会の集いはここから少し歩いたところにあります」
俺たちはメルさんの案内に従いついて行くとそこには冒険者ギルド並みに大きな建物があった。
「ユーマ様、ヒメナ様こちらです」
メルさんに連れられて中に入ると、中には色とりどりのスライムたちが楽しそうに飛び跳ねていた。
「いらっしゃいませ、スライムの館へ。本日はどういったご用件でしょうか」
頭に青いスライムを乗せた初老の男性が話しかけてきた。
「今日はこちらのお二人がスライムをテイムしたのでこちらにお連れしました」
メルさんが初老の男性に俺たちの事を紹介していた。
「これはこれは、新たな同志ですか。初めましてユーマさん、ヒメナさん。私はここの支配人のスライクというものです」
「初めまして、俺はユーマです。こっちは俺がテイムしたスライムのレインです」
「初めまして、ヒメナです。こっちの白いスライムが私のテイムしたハクです」
俺たちは自分とスライムの自己紹介をスライクさんにした。
「ノーマルなスライムのレインにホワイトスライムのハクですか。新たな仲間を歓迎しますよ。ではこの館について少し説明しましょう。ここは身分も人種も問わずスライムを愛する者が意見交換やスライムの研究をする場です。スライムは多岐にわたる進化をするためまだまだ謎が多いのです。私たちは日々研究を重ね人の役に立つスライムを育てるのが夢なのです。とまぁそれは置いといて、もしスライムの事で何か困ったりしたことがあれば気軽にここに居る人たちに声をかけて下さい。彼らは皆スライムが大好きですからね。話はこれ位にして施設を案内しますよ」
スライクさんの話を聞き終わり俺たちはまず奥の部屋に案内された。
「此処はスライムとくつろげるスペースとなっております」
この部屋ではスライムとその飼い主が一緒に寝転んだりしている姿が見られる。
次に案内されたのは裏手にある庭だった。
「ここはスライムたちが自由に走り回れるようになっています」
スライクさんの言葉通りスライムたちが庭を駆けている。
「まぁ大体はこんな感じですね。他にも食事もできますよ」
そんなことを言うスライクさんに連れられ俺たちは最初の部屋に戻って来ていた。
「一通り見て貰いましたが何か不明な点はありませんでしたか?」
「特にありません」
「私も」
「ではごゆっくりお寛ぎください」
スライクさんはそう言い残しどこかに行ってしまった。
「優君、今日はここでゆっくりしていこうよ」」
「そうだな、昨日の疲れを癒すにはちょうどいいかもしれないな」
こうして俺たちはスライムの館にて楽しいひと時を過ごすのであった。