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第159話 会議と言う名の報告会

前回のあらすじ

朝食を食べる

スパイ系統のスキルの練習をする

会議室に入ると空気が重くなった

「皆の者よく集まってくれました。これより王城前広場に現れた扉に着いての緊急会議を行いたいと思います。ではまず今判っていることをウォレン老師より伝えて貰います」

 王女様がそう言った後ウォレンさんが立ち上がり話し始めた。

「まず皆も知っての通りあの扉は神が作りし物。そしてあの扉の向こうにはダンジョンが広がっていると予測される。なのでまずは騎士団から選抜した者たちであのダンジョンの中を調べようと思う。ここまでで何か質問はあるか?」

 ウォレンさんのその問いにおずおずと手を上げる者が数人いてウォレンさんはその中から一人を選びその貴族の名前を言って立たせた。


「では質問させていただきます。騎士団から選抜すると言いましたがそれはどの団から選ばれるのですか? 選抜基準などはあるんですか?」

「第5、第6師団から選抜する。選抜基準はこの場に第5、第6師団と関係者がいる以上、不正を防止するためにも答えられない」

「そうですか、分かりました」

 質問をした貴族はウォレンさんの返答に少し恨めしそうな表情を一瞬見せたが直ぐに表情を戻し、納得した風にそう言って座った。


「他に質問のある者はいるか?」

 さっきまで手を上げていた貴族たちも同じことを聞きたかったのか誰も手を上げる者はいなくなった。

「いないなら話を続ける。選抜された者たちにはダンジョン内の情報を出来る限り集めて貰いそれを報告して貰う。全体への報告は一旦此処までとする。侯爵以上の爵位を持つ者と神託を受けた司祭殿、そしてユーマ殿にはこの場に残って貰い他の貴族たちには一度退室して貰う」


 ウォレンさんの一方的な指示に貴族たちは自分が除け者にされて俺が残されたことに不満を持ち態度や言葉に出す者やこれから中で何が行われるのか好奇心を隠しきれずにそわそわしながら周りの者と予想をし合う者、上の指示にただ黙って従う者などがいたが大っぴらに歯向かってくる者は流石におらず会議室を出て行った。

 そして王女様とウォレンさんに侯爵以上の爵位を持つ貴族数名と俺が会議室に残されたところで扉の前に待機していたメイドたちも会議室を出て扉を閉めた。


 会議室内に部外者が居なくなったところでウォレンさんが口を開いた。

「人払いが済んだところでユーマ殿、例の動画を皆に見せて貰えるか?」

「分かりました」

 俺はウォレンさんの要請に応じて無限収納アイテムボックスから動画の入ったスマホを取り出して1番の動画を選択して司祭と貴族たちに見える様に画面を向けた。


 1番の動画が始まってから司祭と貴族たちは一言も発することなく一瞬も見逃せなと言わんばかりに目を見開いて動画に集中し、動画が終わったら途端に俺の方に向き直り各々が口を開いた。

「これはいつのものなんだ?」

「この内容は事実なのか?」

「あの扉は貴殿の国と繋がっているのか?」

「貴殿の国では神のご尊顔を拝する事が容易に出来るのか?」


 次々に飛んでくる質問の嵐にやれやれと言った様子でウォレンさんが待ったを掛けた。

「お前たち少し静かにしろ。質問があるのは分かるが一遍に言っても何を言ってるか分からん。少しは落ち着きを持て」

 ウォレンさんにそう言われ司祭と貴族たちはやっと冷静になったのか自分たちの失態に気付き、それぞれ俺に「すまない」と謝罪の言葉を述べてきた。

 特に悪意を持ってのことでは無かったので俺は司祭と貴族たちの謝罪を受け入れた。


 司祭と貴族たちの謝罪を俺が受け入れたところでウォレンさんが口を開いた。

「ふぅ、ユーマ殿、一人ずつ質問を言わせるので答えて貰えないか?」

 特に断る理由が無かったので俺はウォレンさんの頼みに「ええ良いですよ」と返し、それをきいたウォレンさんと司祭と貴族たちはホッとした様子で肩を下ろした。


「ではまずグラシア公爵、貴殿から質問を」

「分かりました。ではユーマ殿、ユーマ殿が持っているそれで見たものは本当の事なのか教えてほしい」

「俺自身が実際に見たわけでは無いので断定は出来ませんが事実だと思います」

「なぜ事実だと思うのかその根拠は?」

 俺の曖昧な回答に公爵がさらに質問を重ねてきたので俺はそれにも素直に答えることにした。

「これを送りつけてきたのが俺たちがこっちに召喚された時に迎えに来た俺の父親である凪滝宗弥が送り主だからですよ」


 俺が公爵の質問の答えに父親の名前を出した途端、貴族たちの顔から血の気が引いて行き侯爵は明らかに動揺した様子で「そ、そうか。なら信用しよう」と声を震わせて呟いた。

 公爵の明らかな態度の変化に俺は父が何をしたのか少し気になったがいい大人が震えているのが不憫に思えて流すことにした。

「私からは以上だ」

 公爵がそう言ってから次はお前の番だと言わんばかりに隣に居る者に視線をやった。


 急に質問の権利を渡された公爵の隣に座っていた貴族は一瞬驚きの表情を見せたがそこは大貴族、直ぐに気を取り直して口を開いた。

「私からはその動画? がいつのものか教えて頂きたい」

「ちょっと待って下さいね今調べます……。あぁ昨日ですね」

 次に貴族からの質問に俺はだいたいの予想はついていたが念のため動画の詳細を調べ、予想通りの日付にそうだよなと思いつつ質問の答えを伝えた。

 だが貴族はその答えに驚きを隠せずに「き、昨日ですと!?」と素っ頓狂な声を上げた。

「はい昨日です。扉が現れてからの動画なので」

「な、なるほど……、分かりました。質問に答えて頂きありがとうございます。私からは以上です」

 俺がそれらしい真っ当な理由を付けて説明すると貴族は納得した様子で俺にお礼を言った後、質問の順番を次に譲った。


誤字があったので修正しました。

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