第158話 会議に参加する事になった
前回のあらすじ
夕食のミネストローネが深い味わいだった。
ティラミスは濃厚なクリームチーズが美味かった。
明日の会議に参加する事になった
全員がデザートまで食べ終えて各々が食後のコーヒーや紅茶などを楽しんでいると王女様が口を開いた。
「皆様、晩餐をお楽しみ頂けたでしょうか。本日の食事は名残惜しいですがここまでとします。それとユーマ様、少し宜しいでしょうか?」
全員に向けての言葉の後に王女様が俺に向かってそう尋ねてきたので俺はその問いに「ええ、大丈夫です」と返した。
「それでは、明日の緊急会議なのですが本日ユーマ様方からお教え頂いた情報を他の貴族の方々にも見せたいので会議に参加して頂けませんか?」
どうやら王女様はあの情報を他の貴族たちに見せたいらしい。俺からすれば見せたところであの貴族連中が信じるとは思えないが王女様が見せると判断したからには何か意図があるんだろう。
そう考えた俺は王女様の頼みに「良いですよ」と返した。
俺のその答えを聞いた途端に王女様はあからさまにホッとした様子を見せた。
「それは良かったです。ではまた明日の朝食の際にお声掛けしますので宜しくお願いします。では私はやる事が残っていますのでお先に失礼します」
王女様はそう言った後一礼してからお付きのメイドを連れて軽やかな足取りで食堂から出て行った。
王女様が退室した事でウォレンさんやウィンダムさんたちも食堂を後にし、俺たちもメルリアさんに連れられて自分たちの部屋に戻った。
部屋に戻った俺は明日の会議で必要になる動画を見返してから風呂に入って眠りについた。
翌日、心地よく差し込む朝日を浴びて目覚めた俺は顔を洗い着替えてから朝食の時間まで軽く運動をして待っているとメルリアさんが扉をノックして朝食の時間だと伝えてきた。
俺は軽く汗を拭い着替えてから部屋を出て、先に待っていた姫姉たちと共に食堂に向かった。
食堂にはウィンダムさんたちが先に来て座っており、俺たちが座ったタイミングで王女様とウォレンさんが食堂にやって来てそれに合わせるようにメイドたちが朝食を運んで来た。
運ばれて来た朝食を前に王女様たちはお祈りをし、俺たちは頂きますをしてから朝食を食べ、一時間も掛からずに朝食を食べ終えた。
俺が食後のコーヒーを飲んでいると同じように食後の紅茶を飲んでいた王女様が俺がカップを置いたタイミングで話しかけて来た。
「ユーマ様、この後の事ですが会議は午後から開始する事になりました。ですのでユーマ様には午後の会議に出て頂き、あの映像を皆に見せて頂きたいと思います」
俺は特に問題も無かったので「分かりました」と返した。
「ありがとうございます。ではまた昼食後、会議室までの案内にメイドを遣わせます。それでは皆さまお先に失礼します」
王女様は俺に向かって迎えを寄越すと言った後、全員の方に向き直り全員に聞こえるようにそう言って足速に食堂を去って行った。
その後を追うようにウォレンさんも退室し、ウィンダムさんたちも食堂を後にして最後に残された俺たちも食堂を出て自分たちの部屋に戻った。
部屋に戻った俺は会議までの間、暇な時間が出来たので暇潰しがてらに使い熟せていないスパイ関係のスキルの練習をして時間を潰した。
思った以上に熱中していたのかメルリアさんが昼食の時間だと声を掛けてくるまでずっとスキルの練習をしていたみたいだった。
集音盗聴スキルや透視盗撮スキルの魔石に録音録画した音声や映像の任意の所から再生する方法も理解したし、なかなかに有意義な時間を過ごせたと一人喜びながら部屋を出て姫姉たちと一緒に食堂に行き、王女様たちと昼食を食べた。
食後直ぐに王女様から「後程よろしくお願いします」と言われ、その言葉に「分かりました」と返し、それを聞いて安心したように王女様は食堂を出て行き、他の皆も食堂を出て自分たちの部屋に戻った。
俺も部屋で迎えのメイドがやって来るのを待っていると部屋の扉をノックする音と共に「お迎えにあがりました」と声を掛けて来た。
俺は直ぐに部屋を出て迎えに来たメイドに連れられて会議が行われる部屋まで案内して貰った。
会議室の中に入ると疎だが貴族たちが集まって話をしていたが、会議室に入って来た俺を見た瞬間に時が止まったかのようにシンと静まり返った。
俺はメイドの案内に従って明らかに王女様が座るであろう上座のすぐ側の席に座ることになった。
それから新たに貴族が会議室に入って来るたび静まり返った室内の異様さに驚いた後、上座に近い席に座る俺を見て更に驚きながら割り当てられた席に座るという現象が続いた。
そして異様な静寂に包まれた会議室に誰もが居心地の悪さを感じながらも何も言えない雰囲気の中、それを打ち破る存在がやっと会議室にやって来た。
最後に会議室に入って来た王女様は会議室の異様な静けさに少し困り顔をしつつ、この場で一番の上座である俺の隣の隣の席に座った。因みに俺と王女様の間はいつも通りウォレンさんが座っている。
王女様が座った事でやっと会議が始まると貴族たち全員がホッとした様子で彼女の方を向き、その雰囲気を感じ取ったのか王女様は会議の始まりを告げる為口を開いた。