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第152話 盗聴はスパイの基本です

前回のあらすじ

王女様に頼まれ広場で起こった事を話す

馬鹿貴族が広場で起こった事を俺等のせいにする

原因は異世界から誘拐を繰り返したお前らのせいだと言い返す

 俺が怒鳴って荒々しく椅子に座った後、王女様は俺の発言を理解してか顔を青くさせながらオロオロとして、周りの貴族連中は俺の言葉を理解して顔を青くさせる者たちと、俺の言った意味も理解せずに貴族じゃ無い俺に怒鳴られたという理由で怒り顔を真っ赤に染め上げている者たちの二つに分かれた。


 俺が周りの連中をそう判別し終えた所で顔を真っ赤に染め上げた連中の一人が肩を震わせながら立ち上がって口を開いた。

「我々の為に働ける名誉を与えてやってるのにそれを誘拐だと! 巫山戯ふざけるフガッ」

 最後まで言う前に空気を読んだ顔を青くしていた周りの貴族が俺に向かって文句を言ってきた貴族の口を塞いで取り押さえた。


 馬鹿な貴族が馬鹿な事をして重苦しくなった空気の中、姫姉がため息吐きながら口を聞いた。

「はぁ、本当は言いたく無かったけどあのダンジョン私たちの世界に繋がってるから」

 姫姉がたった一言そう言うと顔を青くさせていた貴族たちは更に顔を蒼くさせ、顔を真っ赤にしていた貴族たちも動揺の色を隠せずざわざわしだした。

 どうやらどちらの貴族たちも事態の重大さに気付いたらしい。


 このまま何もせずに無駄むだに時間を過ごせばダンジョンの向こうから俺たちの国の者たちがやって来る事、そして今まで誘拐を何度も繰り返してきた自分達が俺たちの国と友好的に話し合える可能性が低い事も理解したらしく、貴族たちは互いにどうするべきか話し合いを始めた。


 貴族たちが話し合いをする中、俺は悪いな〜と思いつつ三つの派閥に分かれた貴族のトップらしき人の側にいるマーキングしてもバレ無さそうな人にマークを付けてスキル集音盗聴を発動し、魔石に会話の内容を記録することにした。


 貴族同士が話し合っている間、今まで顔を青くしオロオロしているだけだった王女様が更に顔を蒼くさせながらも意を決してか姫姉に話しかけた。

「ヒメナ様、先程の言葉は本当ですか?」

 震える声で姫姉に質問する王女様に姫姉は首を縦に振り肯定した。

「そ、そう、ですか。もう一つ聞きたいのですが、ヒメナ様たちの国は我が国に攻め入って来る可能性はありますか?」

「さぁ、でもいきなり攻めて来ることは無いと思いますよ。たとえ相手が連続誘拐犯だとしても」

 王女様の質問に姫姉は皮肉たっぷりにそう答えた。


 姫姉の皮肉が刺さったのか王女様は言葉に詰まって罰の悪い顔をして黙ってしまった。

 王女様が黙り込んでしまったことで姫姉との話し合いが止まったので俺は派閥毎に分かれた貴族たちの会話の盗聴しておいた内容を確認する事にした。


「こうなったらやはり王族を彼らの国に渡すのが一番なのでは」

「だが王族がいなくなれば誰がこの国を纏める?」

「そこは前国王の孫に当たる公爵様が妥当では」

 

 少し再生しただけだがこの派閥は今の直系の王族を俺たちの国に犯罪者として身柄を渡して難を逃れようと考えている、らしい。

 ようは自分たちの身の安全を守る為に王族を切り捨てると。

 この派閥の方針は概ね分かったので次に行こう。

 

 さて次の派閥はローガン侯爵がいるのか……。


「向こうと交渉のテーブルについてからが勝負だ。まずその為にも勇者たちにこれ以上悪感情を抱かれない様に手を尽くす必要がある」

「そうですな、それに今こそあの馬鹿共を一斉に退かせるチャンス。奴らには何度煮湯を飲まされてきたことか」

「あいつらのせいでどれほど民に苦労をかけてきたことか。だがこの好機逃す訳にはいかない。奴らの罪を白日の元に晒し、勇者たちに少しでも好意的な印象を持って貰い少しでも我が国の有利に働くようにせねば」


 ローガン侯爵の派閥はどうやら馬鹿貴族たちに頭を悩ませていたらしい。俺たちの国がやって来るかもしれないと知って俺たちに少しでも好意的な印象を持って貰いたいのか、はたまた今までの恨みを晴らす為か、馬鹿貴族たちを一網打尽にしてくれるみたいだ。

 俺からすれば馬鹿貴族が減る事に越したことは無いので是非とも頑張ってもらいたい。その為なら少し位はサービスしても良いと思っている。

 

 さて残るは馬鹿貴族たちのいる派閥だが……あまり気乗りはしないが再生する。


「なぜ我々があのように言われねばならんのだ! 忌々しい!」

「そうです、ここはやはり平民共を煽動して勇者を殺させましょう! あの災害の原因は勇者たちが来たことが原因なのですから」

「それは良い、教会の連中も勇者が原因だと神託が下ったと言っていたな」

「そうと決まれば各自早急に平民共に噂を流せ。これでこの国は我々のモノだ」


 はぁ、聞くかどうか悩んだけど聞いといて良かった。どうやら馬鹿貴族の派閥は平民を使って俺たちを殺すように煽動する事に決めたようだった。更に教会が受けた神託を自分たちの都合の良い様に解釈して平民を騙すみたいだった。

 でも今ここで俺に盗聴されてしかもその内容を記録された時点でもう終わりだよな。

 やっぱり馬鹿貴族らしくどこか抜けている。


 さてこの会話が記録されている魔石をローガン侯爵の所にでも渡せばどうにかしてくれないかなぁと少し投げやり気味になりながら、やっぱりもう少しだけどうするか自分で考える事にした。



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