第149話 王女様の呼び出し
前回のあらすじ
動画を見る
地球にも似たような扉が現れてた
地球の扉もダンジョンに繋がっているらしい
「動画はこれで全部見たいだね」
「そうみたいだな」
動画を見終えた俺と姫姉は互いに顔を見合わせ。これから帰るまでにダンジョンを攻略するまでの苦労を思い浮かべてナーバスな気分になっていた。
俺たち二人が落ち込んでいると状況をいまいち掴めていないが俺たちが落ち込んでいる事だけは察した今まで空気だった少女が心配そうに口を開いた。
「お兄さんお姉さん大丈夫?」
「大丈夫だよ〜。心配してくれてありがとう」
姫姉はそう言いながら心配そうにこちらを見つめて来る少女を優しく抱きしめて頬擦りした。
俺はそんな光景を見ててぇてぇとか思いながら癒されていると誰かが部屋の扉をノックした。
「ユーマ様、メルリアです。王女様が広場の件で話がしたいそうです。今、お時間ありますか?」
どうやら王女様が俺に話があるらしい。
「分かりました。今、行きます」
俺はメルリアさんにそう返事をして部屋を出ようとすると姫姉が立ち上がり「私もついて行くね」と何か考えがある時の笑みを見せながら言い、俺と一緒に少女を連れて部屋を出た。
「ユーマ様、お待ちしておりました。ヒメナ様、ユーマ様を少しの間お借りします」
メルリアさんは俺と一緒に姫姉たちが出てきたことに少しだけ戸惑いを見せたがあえて深くは触れずに姫姉に俺を連れて行くことの断りを入れた。
だがその言葉に姫姉は笑顔で首を振って口を開いた。
「メルリアさん、私たちもついて行きたいんだけどいいかな?」
「えっヒメナ様たちもですか!? ……ちょっと確認してきますので少しの間お待ちください」
姫姉の着いて行く発言にメルリアさんは驚きの表情を見せた後、少しの間悩む素振りをしてから確認を取ると言って離れて行った。
暫くしてメルリアさんが急いで戻って来た。
「確認が取れました。ヒメナ様たちもどうか同席してくださいとの事です。ではご案内しますので着いて来てください」
良かった、どうやら姫姉と少女も一緒に行っても問題ないみたいだ。
俺は少しだけホッとしながらメルリアさんの後を姫姉たちと一緒に着いて行った。
少しの間歩き、メルリアさんは一つの扉の前で立ち止まった後、その扉をノックした。
「王女様、メルリアです。ユーマ様たちをお連れしました」
メルリアさんがそう言うと扉の向こうから王女様の声で「通してください」と聞こえ、扉が内側からメイドの手によって開かれた。
俺たちは扉を開けたメイドに促され部屋の中に入った。
部屋の中には王女様とウォレンさん、それに複数の貴族と思しき人たちが座っていた。その中にスライムの館で会った偉い貴族(名前は忘れた)の姿もあった。
「お待ちしておりました。さぁこちらにお掛け下さい」
王女様は部屋にはいってきた俺たちに向かって自分の横に用意させた椅子に座る様に言って来たので俺たちは王女様に言われるがままその席に腰掛けた。
そして勿論の事、周りの貴族と思しき者たちからはもの凄い勢いで睨まれたので俺も殺気を込めながら睨み返すと委縮したのか睨んでくる者の数が劇的に減った。
幾分か居心地がマシになったところで王女様に俺たちを呼び出した用件を再度確認のために聞いてみることにした。
「王女様、それで俺たちはなんでここに呼び出されたんですか?」
俺がそう口を開くと俺が睨み返して直ぐに視線を逸らした者の一人が文句をつけてきた。
「おいお前ッ王女殿下にその態度、不敬だぞ!」
それに追随するように他の者たちも「そうだ! そうだ!」「不敬だぞ!」と俺に向かって悪意をぶつけてきた。
始まる前からなんだか崩壊気味な空気の中、スライムの館で会った貴族がやれやれと言った様子で口を開いた。
「お前たちいつまで無駄口を叩いているつもりだ。これ以上騒ぐならこの場から立ち去れ」
スライムの館で会った貴族がそう言うと一瞬でその場は静まり返り、それから一番初めに俺に食って掛かって来た小物っぽい貴族がおずおずとした態度でスライムの館で会った貴族に話しかけた。
「ローガン侯爵。私は騒いでいるわけでは」
俺に突っ掛かって来た小物っぽい貴族はスライムの館で会った貴族の事をローガン侯爵と呼んだのを聞いて俺はああそう言えばスライムの館でローガン侯爵って名乗ってたっけ、と一人思い出しながらもう少しだけ話がどう進むのか眺めることにした。
「ではなんだ? 言ってみろ」
「私はただ王女殿下に対してあのような態度を取ったあの者に注意をしようと」
「そうかそうか、では彼の何が悪かったのか説明して見ろ」
ローガン侯爵にそう言われた貴族は何も考えていなかったのか何も言えずにその場で口を開閉するだけで言葉らしい言葉を発すること無く顔を俯けてしまった。
「はぁ、説明も出来ずにあんなことを言っていたのか。言い掛かりでしかないな。それで他にも騒いでいたが誰か説明できる者はいないのか?」
ローガン侯爵の問いに誰も答える者は無く無言の時間が流れ、少ししたところでローガン侯爵が再び口を開いた。
「誰も出て来ないのならこの話はこれで終いだ。王女殿下、お時間を取らせて申し訳ありませんでした。あの者たちに代わって謝罪いたします」
ローガン侯爵はそう言って立ち上がり、俺の隣に座る王女様に頭を下げて謝意を示した。
そんなローガン侯爵に続くように小物っぽい貴族や他の俺に突っ掛かってきた貴族たちも王女様に謝罪の言葉を述べてから頭を下げた。
俺は謝るならまず最初に俺に謝れよと心の中で思いつつ、王女様がどう対応するのか王女様に視線を向けた。