第147話 地球で神が降臨してた
前回のあらすじ
MITSULINの段ボールが届く
手紙の内容が短い
姫姉に会いに行く
(姫姉今からそっちに行くからそこで待ってて)
俺はユニークスキル念話通信を使い姫姉に一方的に念話を送ってから全域マップを開き姫姉に付けたマーキングを頼りに姫姉のいるところまで急いで移動した。
「姫姉、言いたいことは色々あると思うけど一旦何も言わずに着いて来て」
俺がそう言って姫姉の手を握ると姫姉はちょっと不機嫌そうになりながらも何も言わずについて来てくれる様で、俺は自分の部屋まで姫姉と少女を連れて足速に移動した。
全員が部屋に入った所で部屋の鍵を閉めて俺は話を切り出した。
「落ち着いて聞いてくれ、父さんたちが迎えに来れない可能性がある」
俺はそう言いながら無限収納の中に仕舞っておいた父さんからの手紙を見せた。
姫姉はクシャクシャになった手紙を嫌そうに受け取り、手紙の内容を見て少し頬を赤らめた後口を開いた。
「んんっ、それでこの手紙に書いてあるスマホはどこにあるの?」
「それならここに」
姫姉にスマホが何処にあるか聞かれて俺はすぐに無限収納から取り出して見せた。
「内容は確認したの?」
「いや、手紙にも姫姉と一緒に見ろって書かれてたからまだ見てない」
「他にも色々聞きたいことはあるけど取り敢えずまずはスマホを早く見ましょ」
「わかった」
俺はそう言ってスマホの電源ボタンを押した。
スマホの画面に光が灯り電源が入り、すぐにロック画面になった。ホームボタンを押すとロック画面からホーム画面に移動し、ホーム画面の左上にはコレを見ろと書かれたフォルダがあり、フォルダの中にはメモ帳とギャラリーのアプリが入っていた。
「どっちから見る?」
「取り敢えずメモから」
俺の質問に姫姉はそう答え、俺はメモ帳を開いた。
メモ帳の中には1件のメモが入っていてそれを開くと中にはこう書かれていた。
『お前たちがこっちに帰ってくるにはそっちに現れてる扉に入ってそのダンジョンを攻略しろ。そうすればこっちに繋がる扉が開かれるはずだ。今の所それしかこっちに帰ってくる方法がない。俺たちの転移魔法は制限が掛けられてしまったからな。文句はそっちにいる勇者召喚を多用した奴らに言ってくれ。それじゃ二人で仲良く帰ってこいよ』
「なんか軽い感じですごい重要な事書かれてた気がするのは俺だけ?」
「ううん、私も今同じ気持ちだから気の所為じゃ無いと思うよ……。「はぁ……、はぁぁ」」
俺と姫姉は同時にため息を吐き、顔を見合わせてまたため息を吐いた。
「取り敢えずギャラリーの方も見てみる?」
重苦しい空気の中、俺は気分を変えるべくコレを見ろフォルダのギャラリーを見ることを姫姉に提案した。
「そうだね、見ろって書かれてる以上見るしかないよね」
姫姉の同意も得られた所で俺はギャラリーのアプリを開いた。ギャラリー内には複数の動画が保存されている様で丁寧に動画ファイルにナンバリングがされていた。俺はその中から1番の動画をタップして再生した。
動画が始まるとすぐに見るからにお偉いさんだと思われるおじさんがお辞儀をしてから口を開いた。
「これより政府より重大な発表があります、質問に関しましては話の最後に時間を設けておりますのでまずは、心して聞いて下さい。まずはコチラをご覧ください」
おじさんがそう言ったタイミングで画面が切り替わりたまにニュースで見る各国の首相や大統領が一同に会するサミットの映像が流れ出した。
映像が始まってすぐにサミット会場の中心が眩しく光り、光が収まるとそこには出る所は出ていて引っ込む所は引っ込んでいるスタイル抜群なのが鎧の上からでも分かる女性が後光を放ちながら立っていた。
「図が高いぞ人類、私は女神アテーナーである」
訂正、神を自称する頭のおかしい女がサミット会場に現れた。
「女神である私がお前たち人類にとって重要な事を伝えてやる。数日中に全て大地が揺れ、新たな扉が開かれる。扉の向こうには試練が、そして試練を越えし者には新たな世界への道が開かれる。伝えるべき事は伝えた。私は帰るぞ」
言うことだけ言って帰ろうとする自称女神アテーナーだったが、何処からか急に現れたこれまた美しい女性に頭を叩かれて自称女神アテーナーは頭を押さえて、頭を叩いた相手に食って掛かろうとしたが相手の顔を見て悔しそうな顔をして黙った。
「すいません、この娘は気が強くてそれに色々ありまして、話は私の方からさせて貰います。私はレアーと言います、どうぞレアーとお呼びください。それでですが先ほどこの娘が言いましたが数日中に世界各国で地震が起きます。此処とは別の世界よりこの世界へ干渉した事による影響で世界同士を隔てる壁が崩壊してしまうのが原因です。本来なら世界同士がぶつかり世界は崩壊してしまう所ですが我々全ての神、そして別世界の神々がその神力を賭して世界の崩壊だけは阻止します。その結果として向こうの世界とこちらの世界を隔てる壁の役割をする扉が世界各国に出来てしまいます。その扉の先には途方もなく長い道のりと幾つもの試練がありますので気をつけて下さい。その他の詳細はこちらをご覧ください。それでは私たちも顕現できる時間が限られてますのでこれにて」
新たに現れた自称女神レアーは自称女神アテーナーと共に光に包まれ、光が収まるとそこには誰もいなくなっていた。
サミット会場にいた各国の代表は何故か誰一人としてこの状況に声を出さず映像が終わり、会見の映像に切り替わった。
「えー、この映像は加工などは一切しておりません。全て本当に起きた事実に御座います。そして皆様もお気付きかもしれませんが日本の北海道、東京、大阪、長崎、沖縄に現れた扉は先ほどの映像で女神様が言っていた物です」
ここで1番の動画が終わった。