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第143話 ガネトリー、穴に落ちる

前回のあらすじ

昼食を食べる

ガネトリーの処刑を見届けに行く

地震にあう

 地震が多かった日本で育って慣れていたからこそ俺は直ぐに頭上を確認し、頭上から落ちてくる物が無いことを確認してからその場で揺れが収まるのを待った。

 だが揺れが収まる前に異変が起きた。

「GURUAAAAA!」

 耳をつんざく人では無いモノの叫び声が広場の方からとどろいた。

 俺は叫び声のした方に目を向けるとそこにはひび割れて出来たかの様な少し先ですら見通せない程に真っ黒な穴が地面に空いていた。

 しかもその穴からさっきとはまた別の叫び声が断続的に聞こえてきた。


 それから少しして地震は収まったが黒い穴から未だに叫び声が聞こえてきて、更にその声はだんだんではあるが近付いてきている様にも聞こえた。

 そしてその声聞いていてさっきまで地震の揺れで動けなかった人たちがようやく揺れが収まった事に気付き、「天罰だ!」「悪魔がやって来る!」等と叫びながら我先にと広場の黒い穴から出来るだけ離れる様に走って行った。


 俺は国民たちのそんな様子を見てそういえばと思い王女様に目を向けた。

 案の定、王女様は頭を抱えてうずくまって震えていた。

「か、神様の怒りに触れてしまった。もうこの国はお終いです。どうすればどうすれば良かったのですか? 神様、どうかお許しを。どうかお許しを」

 心が壊れたかのように王女様はそう何度も呟いて話が出来そうに無い状態だったのでとりあえず王女様は放って置く事にして、俺は黒い穴の正体を探る為にスキル鑑定を使ってみた。



時%@の¥/

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 予想はしていたが文字化けのオンパレードで鑑定では何の情報も得られそうに無かった。

 だがこうなるとこれからどうするべきか、俺はそう悩みながら黒い穴を見つめているといきなり穴から何かが飛び出してきた。


「GURUAAAAAA!」

 飛び出してきたモノは叫び声を上げ地に降り立った。

 その姿を見た者たちは口々に「ド、ドラゴン!?」と降り立ったモノの正体を言い当て、ある者は腰を抜かし、ある者は「逃げろッ!」と叫んで逃げ出し、またある者は「民を逃すまで時間を稼ぐ! 俺に続け!」と言ってドラゴンに立ち向かって行った。

 俺もドラゴンが出てくるとは思わず吃驚びっくりして思考が一瞬停止したが直ぐに気を取り直し、無限収納アイテムボックスから魔銃デュアルガンドを取り出していつでも撃てる様に構え、スキル透視盗撮でドラゴンの体内にある魔石を探した。


 俺が魔石を探している間、ドラゴンは向かってくる者たちと激しい戦闘を始めていた。

 と言ってもやはりドラゴンの方が優勢の様で立ち向かっていく者たちの剣では鱗を斬り裂く事が出来ず、槍も鱗を貫く事が出来ずに穂先が欠けたり弾かれたりしていた。

 そんな中、唯一ドラゴンに効いたのはファイアボールやサンダーボールなどの魔法だけだった。

 ドラゴンに立ち向かって行った者たちもそれに気付いたのか魔法使いたちを攻撃の要とする様に前衛がドラゴンの気を引き、魔法使いたちにドラゴンの攻撃が行かない様に立ち回った。


 そんな感じでドラゴンに向かって行った者たちの連携が出来上がりつつあった頃、俺は漸くドラゴンの魔石の位置を探し当て直ぐ様ドラゴンの魔石にスティールを発動した。

 何回かする必要があるかと思っていたが結果は拍子抜けで、一発でドラゴンの魔石を奪い取る事に成功し俺の右手にはドラゴンの魔石が握られていた。


 魔石を奪われたドラゴンは糸が切れたかの様に動きを止め、大きな音を立てながら地に倒れ伏した。

 ドラゴンと戦っていた者たちは初め急に倒れたドラゴンをいぶかしんでいたが、近付いても動かないドラゴンを見てドラゴンに勝ったと喜びの声を上げ出した。


 だがその喜びの声の最中、喜びとは別の悲壮な叫び声がどこからか聞こえてくる。

「おい! 誰でも良い私を助けてくれ! 早く!」

 声のする方に目を向けるとそこには処刑台のある地面の一部が穴によって無くなって今にも穴に落ちそうなって必死に助けて貰おうと叫んでいるガネトリーの姿があった。

 だが死刑が決まっているガネトリーを助けようとする物好きはおらず誰も助けに行こうとはしなかった。


 俺はこの状況をどうにかするべき存在であるはずなのに未だ頭を抱えて蹲りぶつぶつと譫言うわごとを呟いている王女様に近付き頬をビンタをして黙らせてから話しかけた。

「王女様、滑稽こっけいなのでとりあえず起きてください」

「痛っ、何をするのですか!」

 俺のビンタで正気に戻った王女様は何故ビンタされたのか分からず俺に突っかかって来た。

「泣き言ばっかり言っていて五月蠅うるさかったのでつい。ですが王女様、それよりもあれをどうするか決めて下さい」

 俺は突っかかってくる王女様にそう言って未だに助かろうと必死に叫び続けているガネトリーを指差し王女様にアレをどうするか判断を迫った。

 王女様は俺にそう言われ広場の方に目を向けて初めて現状を理解したのか目を見開いた。


「一体これは、どうなって……。何故ここにドラゴンが? それにあの穴は? こんな事見た事を聞いた事も無い……」

 どうやら王女様はドラゴンと穴に目を引かれてガネトリーにまで目がいってない様なので俺はもう一度分かるようにガネトリーをどうするのか尋ねる事にした。

「王女様今はそんな事どうでもいいんで、取り敢えずガネトリーをどうするか決めて下さい」

「えっ、ガネトリー卿? そういえばガネトリー卿は……あそこですね」

 王女様は俺の言葉でやっとガネトリーの事を思い出したのかガネトリーを探し始め、直ぐにガネトリーを見つけたようだった。

 俺もガネトリーの方に目を向けるといつの間にかガネトリーの傍に誰かが立っておりその誰かはガネトリーの背中を蹴った。

「えっ」

「あっ」

 王女様と俺が驚きの声を上げたが何かが変わるわけでもなく、ガネトリーは蹴られた衝撃で穴に落ちていった。

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