第138話 メイドたちの謝罪
前回のあらすじ
レイプ目の姫姉も、良いッ!
メイドたちの謝罪を受ける事で話がまとまる
夕食に遅れる
メルリアさんは俺に釘を刺した後食堂を後にし、手持ち無沙汰になった俺はただ食堂内で待つことになった。
暫くの間待っているとメルリアさんが俺の着替えを手伝い、俺からコーヒー牛乳を集ってきたメイドたちを引き連れて食堂に戻って来た。
引き連れられてきたメイドたちは皆一応に反省を態度で示しているかのように俯きながら食堂に入って来て、俺の前に来るなり一糸乱れぬ動きで物の見事な土下座をしてきた。
「「「申し訳ありませんでした!」」」
行き成りの土下座謝罪に俺は吃驚して土下座をしているメイドたちとメルリアさんを交互に見てメルリアさんに目で助けを求めたがメルリアさんには首を横に振られ断られた。
メルリアさんの助けが得られない上に俺が何か言うまでずっとこのまま土下座し続けるであろうメイドたちを見てどうするか悩んだ末、俺はメイドたちに声をかけた。
「分かりました、とりあえず顔を上げて下さい」
俺がそう言うとメイドたちは一応顔を上げたが何故か正座したままで、何処か怯えた様子で俺を一心に見つめて来た。
「できれば立ってもらっても良いですか、そのままだと居た堪れないので」
俺がそう言うとやっとメイドたちはその場に立ち、メイドリーダーが代表して口を開いた。
「この度はユーマ様に多大なるご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。我々メイド一同、如何なる処罰でもお受けします。どんな辱めでも甘んじて受け入れます。ですのでどうか命だけはご容赦下さい」
昼間俺に集って来たドSメイドリーダーとは思えないくらいに低姿勢で最初別人かと疑ったが言葉の端々に挑発めいた発言が見え隠れし、しかもその発言の度にどうせできないだろと言わんばかりに少し口角を上げたのを見てやっぱりドSメイドリーダーだと疑いを消した。
そして俺はドSメイドリーダーに言われっぱなしで微妙に反省の色が見えないので少しやり返すことにした。
「そこまで言うのなら……今夜相手をして貰おうかな」
俺が意味深にそう言うとそれを聞いたドSメイドリーダーは一瞬驚いた表情を見せ頬を紅く染めたものの直ぐに硬い表情に戻し返答してきた。
「分かりました、では今夜お部屋まで伺わせて頂きます。ですがやはりユーマ様も他の男性と変わりませんね。夜伽を命じられるとは」
ドSメイドリーダーがメルリアさんと同じ騎士であることを鑑定で事前に知っていた俺はわざと勘違いをするように言ったがここまで簡単に引っかかるとは思わず内心ほくそ笑みながらどんな反応が返って来るのか楽しみにしつつその勘違いを指摘した。
「ん、何を言ってるのかな、俺は最近なまってるから剣の稽古の相手をして欲しかっただけなんだけど」
勘違いを指摘されたドSメイドリーダーはみるみる顔を紅く染め上げ、遂には肩をプルプルと震わせながら俯いて黙ってしまった。
「もうその辺りで許して頂けませんかユーマ様?」
沈黙が続く中その沈黙を見かねたメルリアさんが俺に向かってそう言って来た。
「俺としては普通に謝罪さえして貰えればそれで良かったんですけど。売られた喧嘩は買う主義なんで」
「はぁ、誠に申し訳ありません。彼女は許さなくても良いので他の娘たちの事は許して頂けませんか?」
俺がそう返すとメルリアさんはドSメイドリーダーが何をしたのか理解したのかドSメイドリーダー以外のメイドたちは許して欲しいと言って来た。
俺としては許すも何もやられたその場でやり返したので気にもしていないが、この場では言質が必要なので俺は「許します」と言って後の事をメルリアさんに丸投げした。
「はい、ありがとうございますユーマ様。後はこれをお受け取り下さい」
メルリアさんはそう言って小袋を手渡してきたので俺はそのまま受け取り中を透視してお金だと確認してから無限収納に仕舞った。
俺がお金をしっかりと受け取ったのを確認したメルリアさんはメイドたちに向き直り口を開いた。
「では貴女たちは持ち場に戻って良いですよ。ですがエスデス、貴女はここに残りなさい」
メルリアさんはそう言ってドSメイドリーダー以外のメイドたちを退室させた。
そして始まる説教タイム。
「まったく貴女は、その悪い癖を直せとあれほど言っているのに。今回はユーマ様だったから良かったものの、もしこれが融通の利かない大貴族ならあなたの命すら危うかったのですよ」
「うぐっ、でもあたしだって誰彼構わずやってるわけじゃ」
「ですから誰であってもするなと私は言ってるのです! 貴女が何か問題を起こせば隊全体、果ては騎士全員にまで迷惑が掛かるのですよ。その事を自覚しなさい!」
「うぅ、すいませんでした」
「まったく、謝るくらいなら最初から気を付けて下さい。それから……」
それからもメルリアさんはドSメイドリーダー改めエスデスに対して日頃の態度に言葉遣い、そしてサボり癖など色々出て来る悪い所についての説教が続く。
そして俺は食堂の扉の前で始まった説教で食堂を出るに出られなくなり、部屋に戻るタイミングを完全に失った俺はその様子をただただ見ているしかなく、椅子に腰かけ無限収納からコーヒーを出して飲みながらメルリアさんの説教が終わるのをただ静かに気配を消してじっと待つことにした。