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第137話 姫姉には勝てない

前回のあらすじ

メイドたちが尿意で羞恥顔

メイドたちの事でメルリアさんが謝ってくる

メルリアさんは姫値も巻き込む

「はぁ、優君。なんでそんなに受け取りたくないの? 何かやましい事でもあるの? っていうか何飲ませたの?」

「あはは、いやー別に何も疚しい事なんて……。俺は全然気にしてないのにさ、お金まで払うって言ってきてさ。あはは」

 姫姉の怒涛どとうの質問攻めに俺はたじろぎ、苦笑いを浮かべながら何とか誤魔化そうとしたが長年の付き合いである姫姉には通用せず、姫姉はヤンデレのように瞳のハイライトを消して追及してした。

「優君、何を隠してるの? 優君がその顔をした時って決まって何か隠し事あるよね? それにまだ何を飲ませたのか言ってないよね? 何飲ませたの? ねぇねぇ答えてよ」

「怖ッ言う、言うから! 姫姉それ止めてくれ」

「え~どうしよっかな。そうだなぁ、ホントの事全部言ったら止めてあげよっかなぁ♥」

 レイプ目にハートマークを付け、甘えた声でそう言われた俺の心は陥落し、姫姉の質問に悔しいでも答えちゃう。

「メイドたちに飲ませたのはコーヒー牛乳でお金の受け取りを拒否したのは集られた意趣返しにお手洗いに行きたくなるまで飲ませて恥辱の表情を無理矢理引き出して罪悪感があったからです、はい」

 俺が洗いざらい白状すると姫姉は瞳を元に戻して呆れた顔をしながら口を開いた。


「はぁ、そんなのメイドたちの自業自得じごうじとくでしょ。優君が気にする必要ないでしょ。全くしょうがないんだから。優君は謝罪をして貰ってお金を受け取ればいいの、分かった?」

「はい」

「よろしい。メルリアさんもこれで良いですよね?」

「はいありがとうございますヒメナ様」

「それじゃこの話はこれでお終い。それじゃあ急いで食堂に行かないと」

 姫姉の言葉を聞いて俺は初めて夕食の時間だった事を思い出した。

 それはメルリアさんも例外ではなかったようでメルリアさんはハッとした表情を見せ、今まで存在をまったく感じられなかった田中さんが「取りあえず移動しませんか?」と声を発した。

 田中さんの一言でメルリアさんは落ち着きを取り戻し、俺たちは食堂までいつもより足早に移動した。


「遅れてすいません」

 大幅に遅れて食堂に着いた俺たちはそう言い中に入ると、食堂内にはいつもとは違い王女様とウォレンさんが席に着いていた。

 俺たちが来るのを待っていたのか王女様たちの前にはまだ料理は運ばれてない様だった。

 俺は遅れて来たことの弁解でもした方が良いかと思い口を開こうとするとそれより先に王女様が口を開いた。

「お待ちしておりました、ユーマ様方。どうぞ席にお着きになってください」

 俺たちに気を利かせてか王女様はそう言い、俺たちは王女様に「ありがとうございます」と言って席に着いた。


「では全員揃ったところで夕食にしましょう」

 王女様がそう言うとメイドたちが料理が乗ったワゴンを押して食堂に入って来て俺たちの前に手早く配膳していった。

 全員分の配膳が終わったところで王女様たちは食前のお祈りをし、俺たちは頂きますをして食事を始めた。

 それから食事は恙無つつがなく過ぎていき、デザートまで堪能たんのうした俺が食後のコーヒーを嗜んでいると同じく食事を終えた王女様が強張こわばった表情で声をかけて来た。

「ユーマ様、少し宜しいですか?」

「はい、何ですか?」

 王女様が一体何の用だ? また面倒事か? だったら嫌だなとか考えながらも表情に出ない様にしつつそう返事をした。


「メルリアからお聞きしているかと思いますがメイドたちが無礼な働きをしたという事で申し訳ありませんでした」

「あぁその事ですか。それなら謝罪と金銭を受け取って水に流すことになりましたよ」

 どうやら王女様の用件はあのメイドたちの事だったようで、俺はメルリアさんとの話し合いで決まった事を王女様に伝えると王女様の強張った表情が見る見るうちに安堵あんどの表情に変わった。

「そうですか、それは良かったです本当に……。ありがとうございますユーマ様」

 王女様はそう言って話を切り上げ、その頃には全員食事を終えていたため食後の挨拶をして王女様は先に食堂を出て行った。


 それからウォレンさんやウィンダムさん達も続々と食堂を後にし、俺も姫姉たちと一緒にメイドに連れられて食堂をを後にしようとしたところでメリルリアさんに呼び止められた。

「ユーマ様、この後少々お時間宜しいでしょうか?」

 俺はあの事だよな、出来ればこのまま部屋に帰って謝罪も金銭もなし崩し的に無かったことにしてしまいたかったな、いやこのまま聞こえなかったふりで帰ろうかなと馬鹿な事を考え一歩踏み出そうとすると姫姉が笑顔で俺の前に立ち塞がった。


「優君、メルリアさんが呼んでるよ。どうせ優君の事だからなあなあにして無かった事にでもするつもりだったんでしょ。でもダメ、さっさと行ってきなさい」

 俺の考えていることはバレバレだったようで、姫姉が目だけが笑ってない満面の笑みで釘を刺してきた。

「はい」

 俺は姫姉のその表情に条件反射的にそう答えて、メルリアさんの方を向いた。

「ユーマ様、メイドたちを呼んできますのでこちらでお待ちいただけますか?」

 振り向いた俺にメルリアさんはそう問い掛けて来たので俺は「はい」と返した。

「くれぐれも逃げないでくださいね」

 どうやら姫姉が俺に釘を刺すために言った言葉はメルリアさんにも聞こえていたらしく、メルリアさんからも釘を刺された。

 逃げ場がないと悟った俺は消え入りそうな声で「はい」と返してその場に立ち尽した。

 

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