第133話 ガネトリーの尋問は続く
前回のあらすじ
ふざけた事を言ったガネトリーに恐怖を刻む
ガネトリーの尋問が始まる
言い逃れをするガネトリーに脅しをかける
「ユーマ様、本日もガネトリー卿の尋問を行います。後ほど部屋に迎えのメイドを向かわせますので宜しくお願いします」
翌朝、朝食を食堂で食べ終えた俺に王女様がそう言ってきた。
「わかりました」
朝食の余韻に浸っていた俺は少し水を刺された気分になったが用件が用件なだけに俺は顔色を変えずに返事をした。
王女様とそんな会話をした後、俺は姫姉たちと一緒に部屋まで戻り、迎えのメイドが来るまでの間昨日の内に纏めたノートと今日の尋問で使いそうな不正の証拠書類を見返しながらお呼びが掛かるのを待った。
十数分ほど書類と睨めっこをしているとお待ちかねの迎えのメイドがやって来て俺の部屋の扉をノックした。
俺はやっとかと思いつつ読んでいた書類を無限収納に仕舞い部屋を出て、迎えのメイドに案内で昨日事前の打ち合わせで使った部屋までやって来た。
部屋に入ると中には王女様とウォレンさんが座って待っていた。
「お待ちしておりました。ユーマ様もこちらにお掛けください」
上座に座っていた王女様は俺が部屋に入ると同時に対面に座る様に促して来て、俺は王女様に勧められるまま王女様の対面の席に座った。
俺が席について直ぐ、王女様は机の上に置かれていた書類を俺に見えるように向きを変えてから口を開いた。
「ユーマ様、本日はこちらの内容について尋問を行いたいと思います。内容については把握していると考えてよろしいですか?」
「……ええ、これなら読みましたよ。それからここまでは読んできています」
俺は王女様が提示した書類を見て今日読んで来た分よりも少ないなと感じ、遠慮されてるのかと思い至った俺は無限収納から今日読んだ分の書類を取り出してどこまで把握しているか分かりやすく伝えた。
「そこまで読んで……。(やはり昨日のうちに今日の尋問で使う部分の打ち合わせもしたほうがよかったですね)」
王女様は俺が思っていたよりも読み込んできていた事に驚きの表情を見せながら小声でそう呟いて少しの間一人の世界に入り込んだ。
だがすぐに俺とウォレンさんが待っていることに気付き、慌てた様子で口を開けた。
「すいません少し考え事を。改めまして、ユーマ様には二度手間になるかもしれませんが本日の尋問ではここまでの分について行います。それと今後はユーマ様に二度手間を取らせないように次回の分の尋問の範囲も打ち合わせていきたいのですがよろしいでしょうか?」
王女様は最初に提示した分の尋問だけをすると言ってから、今後は事前に次回の分の範囲も決めたいと申し出てきた。
「俺もそうしたいと思っていたので」
俺も次からはどこまで読んで来るべきか先に聞いておこうと思っていたので王女様のその提案に二つ返事で了承した。
「そうですか。では尋問の内容について話し合いを始めたいと思います。まずはこちらの……」
それから俺たちは午前中一杯を使って尋問の内容を話し合い、次回の尋問で扱う書類の範囲も話し合った。
「では質問の内容はこれで、明日の尋問の範囲はここからここまでで。宜しいですか?」
「ワシは問題なしじゃ」
「俺もそれで大丈夫です」
王女様の最終確認にウォレンさんと俺は異議無しと答えて午前中の話し合いを終えた。
「では、これで決まりという事で。ふぅ、もうこんな時間ですか。そろそろメイドが来る頃ですね」
王女様は予言者のようにそう言って少しするとメイドが昼食の準備が出来たと呼びにきた。
それから俺たちは食堂に行って皆と合流して昼食を食べて、その後俺は王女様とウォレンさんと一緒にガネトリーの尋問をする法廷に向かった。
法廷に着いて直ぐにガネトリーが連れてこられ、王女様が昨日に続き尋問を行うとガネトリーに告げ、ウォレンさんがガネトリーに質問を始めた。
ガネトリーは昨日とは打って変わって怯え切った様子で、初めからウォレンさんの質問にも嘘を吐かずに答えていき、思っていたよりも早くに尋問を終える事ができた。
尋問が早めに終わった俺は部屋に戻ってから今日の尋問で知り得た情報を覚えている範囲でノートに纏め、夕食を食べ汗を流して明日に備えて早めに眠りについた。
それから三日の間、俺は王女様とウォレンさんと共にガネトリーの尋問を行い、ガネトリーが犯してきた罪に頭を痛めながら尋問を続け、ついにガネトリーの処遇が決まる日がやってきた。
「ユーマ様、本日もガネトリー卿の尋問にお付き合い頂きありがとうございます」
朝食を終えていつものように事前の打ち合わせで使う部屋までやって来た俺に王女様がそう話しかけて来た。
「いえ俺も当事者なので」
「そう、ですよね。ユーマ様には多大なるご迷惑をお掛けしてます。ですがガネトリー卿の件が終わりましたら急ぎの予定は入っていませんし、今までのご無礼の分ユーマ様方を精一杯おもてなしさせて頂きます」
王女様がそう言ったところで何か忘れている様な気がしたが、思い出せないので大した事じゃないだろうと決めつけ、おもてなしに対するお礼を伝えた。
「わざわざありがとうございます」
「いえ、元を辿ればこちらの失態。ユーマ様方には謝罪の意も兼ねてますので、礼は不要です。では最後の打ち合わせを始めましょう」
王女様はそう言ってガネトリーの罪状を決める最後打ち合わせを始めた。
寒さに磨きがかかっていると思うこの頃。
執筆もパソコンからスマホに変えて布団の中で書いてます。
春が待ち遠しく思います。