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第132話 ガネトリーの尋問開始ッ!

前回のあらすじ

法廷は異世界でも同じような作りだった

ガネトリーが伯爵だったことに国の先行きが心配になった

ガネトリーに侮辱されたので黙らせる

「やめろッやめてくれギャァァァ、っあ……グアッ」

 俺に切り殺されると思ったガネトリーは命乞いをしながらみっともない叫びを上げて両手で頭を守るように体を丸めたがいつまでも痛みが襲ってこないことを不思議に思ったのか間抜けな声を出して頭を上げた。

 俺はそのタイミングで無防備になったガネトリーの土手っ腹に蹴りを食らわせた。


 さてこれで少しは静かになってくれるといいんだが。

 そんな事を考えながら綺麗に決まった蹴りで少し溜飲を下げた俺は蹴られた腹を押さえているガネトリーに近づきささやくように話しかけた。

「次俺の事王女の情夫とか言ったら今度は本当に斬るからな」

 俺は腹を押さえてうずくまるガネトリーの耳元でそう告げてから無限収納アイテムボックスに刀を仕舞って壇上の席に戻った。


「ユーマ様……」

「なんですか王女様」

 気後れした様子で王女様がそう俺に声をかけて来たので、俺は至って冷静に何事も無かったかのように普段話すような口調で俺はそう返した。

「……なぜあのような事を?」

「なぜって、王女様が言ったからですよ」

「なっ、私は黙らせる様にとは言いましたがあそこまでしろとは言ってません!」

 俺が王女様の命令で動いたと主張すると王女様は驚いた表情を見せながらやりすぎだと反論してきた。


「そうでしたっけ? 俺はてっきり実力行使でアイツを無理やりにでも黙らせろと命令したんだと思って黙らせにいっただけなんですけど。それにこの通り静かになったじゃないですか」

 俺は結果という事実をもって自分の行動の正当性を主張した。

「確かにそうですが」

「ならいいじゃないですか。それじゃあさっさと始めましょう王女様」

「ぐぅ、分かりました」

 俺に上手く丸め込まれた王女様はそれから兵士たちに色々と指示を出していき数分後、やっとガネトリーの尋問を始められた。


「これよりガネトリー卿への尋問を始めます。罪人のガネトリー卿は前へ」

 俺に蹴られた腹がまだ痛むのか腹を押さえたガネトリーが壇上の前までゆっくりと移動してきた。

「まず初めに尋問の進行方法を説明します。ガネトリー卿には質問に対して簡潔に答えて貰います。嘘を吐いても魔道具があるので通用しないと思って下さい。次に質問は主にウォレン卿が行います。私たちは問題が起こらない限りは質問をしません。最後に判決は尋問の結果をみてこの私が決めます。それではウォレン卿よろしくお願いします」

王女様はそう言った後ウォレンさんにアイコンタクトを送ってそれを受け取ったウォレンさんは口を開いた。


「ここからは儂が質問をしていく。なんと答えようとお主の勝手じゃが黙る事だけは許さん。ではまず初めにお主はガネトリー・ダイカーンで間違いないか?」

 そこからウォレンさんの質問が始まった。

 ガネトリーは初めウォレンさんの質問に「酔っていて覚えていない」「昔の事すぎて思い出せない」などと言ってとぼけたり、「税収の誤魔化しに加担したか」という質問に「私は前任者から引き継いだだけで悪いのは前任者と嘘の書類を出した者たちだ」と答えたり「違法奴隷を所持していたか」という質問には「奴隷商人から奴隷は買ったが違法奴隷とは知らなかった」と言って自分は騙されていたという方向に話の論点をすり替えたりして魔道具の判定からどうにか逃れようとしていた。


 そんな事が何回か続きこのままだと無駄に時間が過ぎるし聞いていてイライラした俺はその場で席を立ち、無限収納アイテムボックスから刀を出してガネトリーを無言で睨みつけながらガネトリーに一歩近づいた。

 すると今までの饒舌じょうぜつっぷりは何だったのかと思うほどにガネトリーは急に黙り込み、また一歩俺が近づくと「分かった、話す! 正直に話すから殺さないでくれ!」と懇願こんがんしてきたので俺は渋々席に戻った。

 その後の尋問はさっきまでとは打って変わってスムーズに進んでいき、用意していた全ての質問をし終えたその結果、事前に打ち合わせていた時に予想していた以上の罪が浮き彫りになった。

 

「本日の尋問は此処までとする。王女様、よろしくお願いします」

 判明した罪の多さにあたまを悩ませながらも今日はこれ以上出来ることが無いので尋問を此処で終えるとウォレンさんがそう言い、王女様に閉廷の宣言を求めた。

「これにてガネトリー卿の尋問第一回を閉廷します。兵士の皆さんはガネトリー卿を牢に移してください。それから……ではよろしくお願いします。ユーマ様お疲れさまでした、この続きは明日行いますのでよろしくお願いします」

「わかりました」

 俺は明日の予定を伝えて来た王女様に了承のいを込めてそう返した。

「それではメイドに部屋まで案内させますのでまた夕食までお休みください」

 王女様がそう言い終えると一人のメイドが俺の前までやって来てお辞儀をし、「部屋までお連れします」と言って俺を部屋まで案内してくれた。


 無事部屋に戻った俺は夕食の時間までの間、今日の尋問中に判明したガネトリーの罪を忘れないうちに地球に戻った時に入れっぱなしにしていて最近までその存在を忘れていた新品のノートに書き記しておいた。

 その後、俺は食堂でみんなと夕食を食べ、部屋に戻ってお風呂に入り明日のガネトリーの尋問の二回戦に備えて眠りについた。


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