第131話 何処の世界でも法廷は似たようなもの
前回のあらすじ
スペアリブは柔らかくて旨かった
デザートも最高に美味しかった
ガネトリーの事を忘れて食事を楽しんだ
「ユーマ様、食後直ぐで申し訳ないですが準備が出来次第ガネトリー卿の尋問を行いたいと思いますので一緒に来て貰えますか?」
全員が食事を終え、一服着いたところで王女様が俺にそう尋ねてきた。
俺はその問いに「良いですよ」と短く返事をした。
俺の返事を聞いた王女様は立ち上がり「では参りましょう」と言って食堂を後にし、王女様を追うようにウォレンさんと俺が連れ立って食堂を後にした。
食堂を後にした俺たちは王女様の先導で十分ほど王城内を歩き、閉ざされた大きな扉の前で止まった。
王女様はその扉を傍に控えていた人たちに開けさせて中に入り、ウォレンさんも中に入って行ったのを見て俺も中に入った。
部屋の中に入って俺は驚いた。
今まで尋問は鉄格子で区切られた部屋だったのにこの場所はこれまでとは大きくかけ離れた法廷と呼ぶに相応しい場所だった。
「ユーマ様どうかしましたか?」
前回の尋問の時との違いに呆けているとそんな様子の俺に気付いて王女様が声をかけてきた。
「あっいや、前の時とはだいぶ違うなぁと」
俺は王女様から掛けられた言葉にポロっと思っていた事を洩らした。
「ああそう言うことですか。んんっ、では少し説明しましょうか。ここは爵位を持った貴族の中でも位の高い者たちを裁くときに使う場所です。私たちが正面の壇の上の席に座り、その手前に罪を問われる者が立たされます。その後はいつもの尋問と同じ手順で私たち壇上の者が質問をします。そしてガネトリー卿も伯爵ですのでここで尋問をすることになります」
俺のそんな発言を聞いた王女様は意外そうな顔をした後、咳ばらいをしてここがどういう場所なのかを説明をし、最後にガネトリーが伯爵という思いがけない新情報を出して言葉を終えた。
「へぇ、あっわざわざ説明して頂きありがとうございます。それにしてもこういうところ、ちゃんとあったんですね」
ガネトリーが伯爵だという事を聞いた俺は心の中であんなのが伯爵で財務のナンバー3とかこの国もうダメだろと思いながらもその事は噯にも出さず、王女様に説明して貰ったお礼を言って裁判所における法廷に位置するこの部屋の中をぐるっと見回した。
部屋の中は特に目立つ物も無く本当に裁判をする為だけといった印象を受ける内装で調度品も審議を判定する水晶と公平性を示すかのような天秤があるだけだった。
一通り法廷内を見終えた俺に王女様が話しかけて来た。
「ユーマ様、そろそろガネトリー卿が運ばれてきますのでこちらの席に」
既に壇上の真ん中の席に座っていた王女様はそう言って自身の右側の一番端の席に座るように言い俺はそれに従って王女様の右隣に座っているウォレンさんの横の席に腰を下ろした。
俺が席に着いたのを見計らってか誰かが法廷の扉をノックし、そのすぐ後に兵士が扉を開けて鎖に繋がれた男を連れて来た。
「この無能王女が! 私にこんな仕打ちをして許されると思ってるのか! この阿婆擦れが! どうせそこの程度の低い頭の悪い男に誑かされてるんだろ! 流石は無能、男の見る目も無いクズだ!」
腐りに繋がれた男は王女様の顔を見るなり周りの兵士の制止も聞かずに王女様に詰め寄りそう怒鳴り散らし、ついでに俺を見て俺の事を王女様の情夫とかぬかしやがった。
姫姉一筋の俺に対して王女様の情夫発言に俺は苛立ちを覚えながらも震える腕を必死に抑えて堪えた。
「黙りなさい! ガネトリー卿、今すぐユーマ様に謝罪を、そして今後そのような発言は慎みなさい!」 王女様もガネトリーの発言に怒りを覚えたのかはたまた俺が怒りに震えているのに気が付いたのかガネトリーに今すぐ俺に謝るように命令した。
だがその王女様の発言をあざ笑うかのようにガネトリーは今度は俺に口撃を仕掛けて来た。
「はっ、誰がお前のような無能のいう事など、そんな見た目もまだまだガキな奴がお好みとは流石は無能王女だ! そんな奴を庇うなんて本当に誑かされてるらしいな! そんなにそいつとの逢瀬が良かったのか? 顔の出来が悪いわりに言葉は巧いのか? それで国も体も明け渡したのか?」
「今すぐガネトリー卿を黙らせなさい!」
王女様がそう叫んだのと同時に俺も飛び出していた。
あまりの発言に怒りがピークに達していた俺は無限収納から刀を取り、一気にガネトリーの傍まで移動してガネトリーの首筋に刃先を突き立てていた。
「おい、俺がなんだって?」
「ひっ、おおおおいお前! わわ私にこんな事して、たタダで済むとおお思うなよ!」
「そうか遺言はそれだけか。なら死ね」
「待って下さい!」
ガネトリーのくびに突き立てていた刀を上段に構え一気に振り下ろそうとしたところで王女様が待ったを掛けた。
だが俺は王女様の制止を無視して刀を振り下ろした。