第128話 今日からガネトリーの尋問が始まるらしい
前回のあらすじ
夕食を食べる
白身魚のフリットが最高だった
明日からガネトリーの尋問が始まる
コンコンッ。
「ユーマ様、メルリアです。朝食の時間になりましたのでお迎えに上がりました」
数分前に目が覚めて寝惚けながら着替えをしていた俺に扉の向こう側からメルリアさんが朝食の時間だと知らせてきた。
俺はメルリアさんの声を聞いて欠伸を噛み殺しながらもうそんな時間かと思い「直ぐに出ます」とメルリアさんに返事をして着替えを急ぎ、数分かけて着替えと寝癖が無いかを確認してから部屋を出た。
身だしなみを整えた俺が廊下に出ると俺より先に田中さんが廊下で待っており、姫姉と少女は俺が部屋から出てきてからさらに数分後に部屋から出てきた。
廊下に全員そろった俺たちはメルリアさんとそれぞれ朝の挨拶を交わした後、メルリアさんの先導で食堂まで移動し、まだ誰も来ていない食堂で他の人達がやって来るのを座って待つことになった。
それから数分もしない内にウィンダムさんたちが食堂にやって来て俺たちと挨拶を交わした後、いつもの席に座って王女様とウォレンさんが来るのをウィンダムさんたちと話をしながら待った。
王女様とウォレンさんがやって来たのはウィンダムさんが来てから十分ほど経った頃だった。
食堂に入ってきた王女様は自分の席の前に立ったところで「皆様、お待たせして申し訳ありません」と一言言ってから席に着き、ウィンダムさんも「遅れてすまんの」と軽い口調で謝意を示してから席に着いた。
ウィンダムさんが席に着いたタイミングでメイドさんたちがワゴンを押しながら食堂に入ってきて、席に着いた俺たち全員の前にワゴンに乗った朝食を手早く配膳していった。
カリッとしたベーコンの上に目玉焼きが乗ったベーコンエッグと付け合わせのレタスとトマトにシーザーサラダドレッシングを掛けたプレートとコーンの香りが引き立つコーンポタージュ、そしてバスケット入った丸い白パンとバターとグレープジャムの入った小さい器二つが朝食として出された。
いつも通り王女様たちの食前のお祈りの後、俺たちも頂きますをして朝食を食べ始めた。
頂きますをした俺はまずバスケットに入った白パンに手を伸ばし手慣れた手付きで真中から二つに割いて下半分にレタス、トマト、ベーコンエッグ順で乗せてから上半分を被せてバーガーにして食べた。
焼きたての香しい白パンに瑞々しいレタスのシャキッと感、そこにトマトの酸味とドレッシングの旨味、そしてベーコンエッグの強い旨味が良い具合に合わさって美味い。
ベーコンから滲み出る肉汁も真ん中あたりまで食べ進めてトロッと出てくる半熟の黄身もどれも最高の味を出している。
俺はそんな感想を持ちながら半分まで食べ進めたバーガーを一旦皿の上に置き、今度はコーンポタージュを浮いていたクルトンと一緒にスプーンで掬って一口飲んだ。
濃厚なコーンの甘みとコーンポタージュを吸って少しだけふやけた外側はふにゃふにゃ中はカリッとしたクルトンが良い味を出していて最高に美味い。
さらに俺は白パンを新たに一つ手に取り三分の一ほどに千切って、それをさらに細かくしてからコーンポタージュに浸してそれをスプーンで掬って食べた。
コーンポタージュを吸った白パンはクルトンとはまた違ったふにゃふにゃ触感で口の中で軽く噛んだだけで溢れ出るコーンポタージュも相まって旨さに相乗効果が出ている。
コーンポタージュに入れた白パンを食べ終えた後、俺はまたバーガーに手を伸ばしそれを食べ終えた。
バーガーを食べ終えた俺は三分の二ほど残ったパンにバターとグレープジャムを塗って食べた後、少しだけ残ったコーンポタージュを惜しみつつ飲み干してご馳走様をした。
食事を終えた俺は他の人たちが食べ終わるまでのんびりと待つためにメイドさんに食後のコーヒーを頼んで持ってきてもらった。
朝なので特にミルクは入れずブラックのままコーヒーを優雅に嗜んでいると他の人達も続々と朝食を食べ終わり、最後に王女様が食事を終えたところで王女様たちが食後の挨拶をして俺たちはご馳走様をした。
食事も終わり今日は確かガネトリーの尋問をするんだっけかと思い出しながらカップに残ったコーヒーを啜っていると肩に力が入った様子の王女様が緊張気味に話しかけてきた。
「ユーマ様、昨晩お願いしていた通りこれからガネトリー卿の尋問の打ち合わせを行いたいと思います。宜しいですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
俺がそう答えると王女様はホッとした様子で肩を下ろして息を吐き、
「それでは後程、メルリアに案内をさせますのでお部屋にてお待ちください。それでは皆様、お先に失礼します」
そう言い残して王女様は食堂を出て行き、ウォレンさんも王女様に続いて「儂もこの辺で」と言って食堂を後にした。
その後ウィンダムさんたちも食堂を後にし、最後に残った俺たちも自分たちの部屋に戻った。
部屋に戻った俺は姫姉にコピーして貰ったガネトリーの不正の証拠書類をもう一度初めから読み、メルリアさんがガネトリーの尋問の打ち合わせに呼びに来るのを待った。
前回に続きまたしても食事シーンをついつい書いてしまいました。
次回こそはセリフ多めで行きたいと思います。(前回も同じようなこと言った気がする)
今年はなんだか早く過ぎていった気がします。
まだまだ力量不足ですが来年も執筆していきますのでよろしくお願いします。