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第123話 ギルドマスターはグランドギルドマスターだった

前回のあらすじ

ミダリーのせいで俺が衛兵に捕まりそうになる

騒いでいるとギルドマスターが上階から降りて来る

ミダリーが勝手な判断をしたとしてギルドマスターに怒られる



「お主、そんな事しとったのか……。それにしても王女様も王女様じゃな、お主にそんな権限を与えるとは……。一つ聞くがお主、何か王女様の弱みでも握っておるのか?」

 ギルドマスターは俺が王女様と交わした契約の内容を聞くや否や俺に向かってそう言い、やれやれといった様子で頭を振った後、俺が王女様を強請ゆすっているともとれる質問をしてきた。

 俺は当たらずとも遠からずなその質問に苦笑いを浮かべどう返そうか悩んだが良い案は思いつかずはぐらかすことにした。


「それはまぁご想像にお任せします。でも俺はこれを使って悪さをするつもりとかはないんで安心してください」

「はぁ……わかった。今は何があったか、深くは詮索せんさくはせん。そのかわりと言ってはなんじゃが今回の件はワシの方で処理させて貰うぞ」

 はぐらかした俺の返答にギルドマスターはため息を吐いて今は追及をしないと言ってくれたが、その交換条件として今回のミダリーとそのストーカーが起こした問題をギルドマスターが預かると言って来た。

 俺からすれば副ギルドマスターの時の事やこの間お世話になった事もあったので、安心して後処理をギルドマスターに任せられると思い口を開いた。

「ええ、ギルドマスターにはお世話になりましたし、それで構いません。それにギルドマスターなら誰かさんと違って正当に処分を下してくれますし」


「お主にそう言って貰えて助かる。じゃがそうかそうか、フフッ、誰かさんはお主らを不当に扱ったか」

 ギルドマスターは俺の返答に礼を言った後、俺がついでとばかりに口走った誰かさんの話を聞いて笑い、俺が言った誰かさんの正体に確信したのかギルドマスターは言葉を続けた。

「まぁその誰かさんは玉座を簒奪さんだつしたとはいえ、未だに正式に王位にはついておらんからな。周りの者たちの目もあってそういうことになったんじゃろうて。だからと言ってその誰かさんを擁護ようごする気にはなれんがの。じゃがある意味お主に与えられたその権限はその誰かさんの思惑おもわく通りかもしれんがの」


「あはは、誰かさんはそこまで考えられませんよ。考えているとしたらそれは誰かさんの傍に居る人位ですよ」

 俺はギルドマスターの察しの良さと思慮しりょ深さに感嘆かんたんしつつも、俺の見立てではその誰かさんではそこまで考え付いていないとその誰かさんを見て知った俺の思ったままの意見をそのまま口にした。

「そうかそうか、傍に居る奴か。まぁそうかもしれんのぅ。奴ならその位の事はやってのけるじゃろうて。それでお主はこの後はどうするんじゃ?」

 ギルドマスターは俺の見解を聞き納得した様子でうなずきそう言った後、俺がこの後どう動くのか尋ねてきた。

「そうですね……向こうから何か仕掛けてこない限りは待ちですかね。まぁでもどこかの人達は何やら準備を整えているようですので、近いうちに何かあると思いますよ」


 俺は謁見の間に集まっていた貴族たちの中でも特に俺たちに敵愾心てきがいしんをむき出しにしていた連中が何かやりそうだなと思いその事をギルドマスターに伝えるとギルドマスターが悪い笑みを浮かべある提案をしてきた。

「そうじゃな、もしも何かが起こって困ったことがあれば王城の連中よりも先にワシのところに来い。お主の権限とワシのラグアシア王国冒険者ギルド総轄そうかつグランドギルドマスターの権限があれば赤子の手をひねるも同然。それに王城の連中よりは迅速に動いてやる」

「それは頼もしいですね。でもその前に一つ良いですか、グランドギルドマスターって何ですか?」

 俺はギルドマスターの言葉に頼もしさを感じつつ、ギルドマスターが言ったグランドギルドマスターという名称に疑問を持ち本人に尋ねた。

「そうかお主は知らぬか。グランドギルドマスターとはラグアシア王国など冒険者ギルドが複数ある国でそこにある冒険者ギルドのマスターからその国代表として一人選ばれ、他のギルドマスターよりも強い権限を持ったギルドマスターのことじゃ。つまりワシじゃな」


「まさかそんなに凄い人とは露知らず、お力添え頂ける事、誠にありがとうございます」

 俺はギルドマスターがグランドギルドマスターという存在だったことに驚きつつ、そんな人が力を貸してくれるというこの絶好の機会を逃すまいと、思いっきりへりくだって感謝の言葉を口にしてみた。

 するとグランドギルドマスターは渋い顔をしながら不満そうに口を開いた。

「お主よ、急に遜りすぎではないか。流石にそこまでされると気持ち悪いからはよう素に戻せ。それとワシがグランドギルドマスターなのは信用のおける口の堅い者しか教えとらんからの。分かっておるな」


 ギルドマスターから気持ち悪い者を見るような目で見られ態度を戻せと言われた俺はやりすぎだったかなと思いながら元の口調に戻して返事をした。

「あっはい、わかりました。それじゃこれからもグランドギルドマスターの事はギルドマスターと呼ばせて貰います」

「うむ、それでよい。ではワシの方でも準備をしといてやるからの」

 グランドギルドマスターは俺の返事に満足そうにそう言って階段を上って行ってしまった。

 残された俺はこの後はどうしようかと悩みながら冒険者ギルドを後にした。




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