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第120話 久しぶりの休み

前回のあらすじ

夜中に目覚める

時間つぶしにスキルを探す

ステータスにストーカー扱いされる

「もう朝か……」

 暇潰しのスキルを取るつもりがスキル選択と確認だけで結構な時間が経っていたのか、朝日が窓から差し込んできた。

 俺はそれを見ていつも通りならあと一時間もしない内にメルリアさんが「朝食の時間です」と起こしに来るなと思い寝間着から普段着に着替え、王城内をスキルでボーっとのぞながめてメルリアさんが来るのを待った。


 それから一時間経つか経たないかした頃に俺の予想通り、俺の部屋の扉をメルリアさんがノックした。

「ユーマ様、起きておられますか? 朝食の時間ですのでお呼びに参りました」

 俺は扉の前でそう声をかけて来たメルリアさんに一言「今行きます」と告げてすぐに部屋を出た。

 部屋から出て来た俺にメルリアさんは一礼した後「おはようございます、皆様にもお声がけしますので少々お待ち下さい」と言って田中さんのいる部屋と姫姉たちが居る部屋に声をかけに行った。

 田中さんも姫姉たちも起きていたのかメルリアさんの呼びかけに直ぐに返事をして部屋から出て来た。

 俺が部屋から出て来た三人と挨拶をし終えるとメルリアさんが「では食堂までご案内します」と言って俺たちを食堂まで誘導した。


 食堂に入ると今日は俺たちが一番乗りだったようでまだ誰も居らず、先に席に座って待っていると十数分もしない内にウィンダムさん達が現れ、そのすぐ後に王女様とウォレンさんがやって来て朝食が始まった。

 俺たちと王女様との間に少々ギスギスした空気が漂っていたが食事中は口を開くことが無かった為、恙無つつがなく朝食が終わり皆がホッとしたのも束の間、王女様が俺の方を向いて口を開いた。

「ユーマ様、本日はガネトリー・ダイカーン卿の不正の証拠を精査せいさする予定ですがユーマ様はどうされますか?」

 俺は何を言われるのかと思ったがどうやら王女様はこれから行うガネトリーの不正の証拠の書類の精査に同席するのかたずねて来ただけだった。


 俺からすれば書類の内容はほとんど知っているし、姫姉のスキルでコピーも取っているので今更同席して読む必要もないしまた絡まれても面倒だと判断し王女様に「同席はしない」と告げた。

 俺の返答を聞いた王女様は何処かホッとした様子で俺に「分かりました」と告げ、全員に挨拶をして食堂を後にした。

 その後はウィンダムさん達が先に食堂を出て行き、俺たちは最後に食堂を出てメルリアさんの案内で自分たちの部屋に戻って行った。


 部屋に戻った俺は夜中に目覚めてからずっと起きており食後という事もあって、微睡まどろみにまどわされそのまま寝落ちた。


 どれほど眠ったかは分からないが気分良く目覚めた俺は眠っている間にり固まった筋肉をほぐすように、そして少しだけ残った眠気を吹き飛ばすように腕を天井に向けて伸びをした。

「ふぁ~、よく寝たぁ……さてどれくらい寝たかなぁ」

 俺は欠伸を漏らした後そうつぶやきながらスキル透視盗撮を使って目に付いた厨房ちゅうぼうを覗き、そこをスキルマーキングでマークしてからスキル集音盗聴を使って料理人やそこへやって来る使用人たちの話し声から情報を集め、今がまだ昼食まで一時間以上前であることが分かった。


「さて昼食まで時間があるみたいだし、スキルの練習がてらもう少しその辺でも覗いてみるか」

 俺は考えていることを口から漏らしながらスキルを使い覗き見を続けた。

 特にこれといった収穫も無く時間がだけが過ぎて行き、昼食の時間となりメルリアさんが迎えにやって来た。

 メルリアさんに声をかけられて全員が部屋から出てきて食堂に向かう道中、俺は昼食後の久しぶりにのんびり外に行きたいなと思い、その予定を伝えるついでに姫姉たちはどうするのか尋ねた。

「俺はこの後街の方に行くつもりだけど、皆はこの後はどうする?」

 俺がそう尋ねると姫姉が真っ先に答えてくれた。

「私はこの娘を最強のレディにするのに忙しいからパス」

 何か聞き捨てならない事を言っていた気がするが俺はあえてスルーをして、視線を田中さんの方に向け質問の返事を求めた。

「僕は書庫の方に用事があるから遠慮させて貰うよ」

 田中さんは俺の視線から逃れる様に顔を視線を上に向けてそう答えた。

 田中さんにも振られてしまった俺がガックリしていると俺たちは食堂に到着していた。


 食堂に入ると今回はウィンダムさん達が先に来て座っており、俺たちが席に座って数分もしない内に王女様とウォレンさんがやって来て昼食となった。

 昼食を食べている間は特に会話も無く、食べ終えてからも他愛たあいもない会話だけをしてこの場はお開きとなった。


 昼食が終わり姫姉たちは各々の部屋に戻り、俺は姫姉たちに振られたので一人で街に繰り出していた。

 特に計画も立てずに街に出て来た俺はとりあえずの目的地として冒険者ギルドを選び、その最短ルートとして王城前広場を通ろうとすると人だかりが出来ており騒々そうぞうしかった。

 俺は何か面白いもよおしでもやってるのかと思い人だかりが出来ている方に近づくと、そこには複数の男女が木の板の穴に手と頭を抜けない様に固定されてさらし者にされていた。


 晒し者にされている者たちはどうやら相当恨まれているらしく、周りにいる人たちから憎しみの籠った言葉とその場で拾ったのであろう石を投げつけられていて、顔はもう誰かもわからないくらいに腫れ上がり血と土塗れになっていて生きているのか死んでいるのかすら判らない状態だった。

 俺は晒し者になっているコイツ等が一体何を仕出かしてこんなことになったのか気になり、近くにいた比較的落ち着いている人に話を聞いてみる事にした。


「すいません、少しいいですか?」

「あぁ、なんだ兄ちゃん? 何か用か?」

 言葉の端々から苛立ちチラつかせていたが何とか話は出来そうだったので俺は続けて質問をした。

「はい一つ伺いたいんですが、彼らって何をしてああなったんですか?」

「ここに来てんな事も知らねぇのか、アイツ等は騎士の権力を振りかざして普段から冒険者や商人に絡んで暴力を振るって金を奪ってくのを繰り返してたクズ共だよ。だがこの前偶々たまたま絡んだ相手がメチャクチャ強ぇ奴で返り討ちにあって身ぐるみ剥がれて衛兵に連れてかれ、そっから今までの悪事がバレてやっと、やっと死刑になったんだよ。俺も含めてここに居る連中は皆アイツ等に恨みのある連中だよ」


 男は俺の質問に意外にも詳しく教えてくれて、俺はその話を聞いてアイツ等がスライクさん喧嘩を売ってボロ負けし、俺が同席した尋問で裁かれた第四師団の団長連中とその身内だと気付いた。

 俺が晒し者になっている連中の処遇に自業自得だなと一人で納得していると、質問に答えてくれた男が「もう用が無いなら俺は行くぞ」と言い残して晒し者に石や暴言を投げつけている人たちの輪の中に入って行った。

 俺は輪の中に入って行く男にお礼を言いそびれたことに気付き、聞こえるか分からないが「ありがとう」と叫んでから俺はその場を後にし冒険者ギルドに向かった。


 冒険者ギルドに着くまでの間どこもかしこも第四師団の連中が捕まった噂で持ちきりで、聞くつもりが無くても耳に入って来てそれは冒険者ギルドに入ってもそうだった。

 昼過ぎで殆どの冒険者は出払っていたが依頼が早く終わったのか、はたまたこれから依頼に向かうのか、それともただの飲んだくれなのか、十数人くらい冒険者が冒険者ギルド内にいて冒険者同士や受付嬢と第四師団の事を噂していた。


 俺は見るからに飲んだくれと分かるジョッキを手にし、噂話を酒の肴に騒いでいる連中を避けて人が並んでいない受付嬢に声をかけた。

「すいません、ギルドマスターに会いたいんですけど居ますか?」

 俺はギルドマスターには世話になったので挨拶だけでもしておこうかなと思い受付嬢にギルドカードを見せてそう伝えると怪訝けげんな顔をされた。

「ボソッ(Dランクか)……ギルドマスターは現在仕事が立て込んでまして、一応Dランク・・・・ユーマ様・・・・がいらしたことは事はお伝えしますが本日はお会いになれませんので後日いらして下さい」

 ギルドカードを受け取った受付嬢は怪訝な表情のまま小さな声で俺のランクを呟いた後、ギルドマスターに確認をしに行くことも無くギルドマスターは忙しいと言って、俺の名前とランクを周りに聞こえる様に強調して言いながら門前払いされた。


「はぁ、そうですか。ではギルドマスターに俺が会いに来て、貴女あなたが追い返したと伝えておいて下さいね」

 俺は受付嬢の対応にため息を吐き受付嬢にギルドマスターに俺が会いに来ていたと伝える様に周りにいる受付嬢たちにも聞こえる様に釘を刺して、俺は冒険者ギルドを後にした。


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