第119話 俺はストーカーじゃないぞ
前回のあらすじ
王女様と契約書を交わす
部屋に戻って寝落ちする
夕食をお代わりする
「眠れん」
夕食を食べ汗を流してさて寝るぞと意気込んでベッドに入り一旦は眠りについた俺だが夜中に目が覚め、それから変に目が冴えてしまい寝付けなくなってしまった。
昨日謁見の後に寝落ちしてしまったせいかと考えながら寝付けないので体を起こしてベッドに腰掛けた。
「さて朝までまだまだあるが、何しよう……」
俺はそう呟きながら部屋に備え付けられた灯りの魔道具を点けた。
灯りに照らされた部屋で俺は朝まで時間が潰せるものが無限収納を探ったが出てくるのは買い溜めしていた食べ物ばかりだった。
「はぁこれなら本でも持ってくるんだった」
俺は過去の自分に落胆しながらそうぼやいて、無限収納から取り出した食べ物を元に戻した。
無限収納がダメならスキル透視で外でも眺めて時間潰すかと思ったところで一つの案を閃いた。時間を潰せるスキルを手に入れればいいじゃん、と。
そう思い立ったが吉日、俺はすぐさまステータス画面を開き現在取得可能なスキルで時間を潰すのに有用そうなユニークスキルと魔法系スキル、そして生産系スキルを一覧にして表示した。
スキル一覧 取得可能のみ表示(Lv.Max取得済み非表示)
-ユニークスキル
集音 New 消費スキルポイント10
目に見える人や物などの発する音を聞き取れる
-魔法系スキル
火魔法 消費スキルポイント5
レベルアップ消費スキルポイント1
水魔法 消費スキルポイント5
レベルアップ消費スキルポイント1
風魔法 消費スキルポイント5
レベルアップ消費スキルポイント1
土魔法 消費スキルポイント5
レベルアップ消費スキルポイント1
雷魔法 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
光魔法 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
闇魔法 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
無属性魔法 消費スキルポイント5
レベルアップ消費スキルポイント1
影魔法 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
精霊魔法 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
死霊魔法 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
時魔法 消費スキルポイント20
レベルアップ消費スキルポイント5
生活魔法 消費スキルポイント1
-生産系スキル
料理Lv.4
レベルアップ消費スキルポイント1
裁縫Lv.2
レベルアップ消費スキルポイント1
金属加工 New 消費スキルポイント2
レベルアップ消費スキルポイント1
錬金術 New 消費スキルポイント10
レベルアップ消費スキルポイント2
「とりあえず新しく増えてる金属加工と錬金術がどういう事が出来るのか確認するとして、ユニークスキル、これは取っておかないと」
俺はユニークスキルの説明を見て言語翻訳の間違った使い方の盗み聞きよりも使い勝手が良さそうだと判断してすぐさまスキル集音を取得した。
ユニークスキル集音を取得した瞬間、脳内に声が響いて来た。
『ユニークスキル【透視】【集音】【念話】の取得を確認。ユニークジョブ【スパイ】が解放されます』
今までスキルを取得してもこんな声が聞こえたことが一度もなかった俺は突然の出来事に少しの間呆けてしまったがすぐに立ち直り、一体どういうことなのか職業画面を開いた。
職業
ファーストジョブ 異世界の学生Lv.42
セカンドジョブ 無職Lv.30
サードジョブ 剣士Lv.15
フォースジョブ 戦士Lv.15
変更可能職業一覧
異世界の学生Lv.42、無職Lv.30、見習い剣士Lv.Max、見習い槍士Lv.Max、見習い弓士Lv.Max、見習い戦士Lv.Max、剣士Lv.15、槍士Lv.1、弓士Lv.1、戦士Lv.15、スパイLv.1
確かに変更可能職業一覧にはさっき脳内に聞こえたユニークジョブ【スパイ】が追加されていた。
ユニークというからには他のジョブと違いがあるはずと思い、試しにフォースジョブをスパイに変更した。
すると急に感覚が研ぎ澄まされたかのように鋭敏になり、今までとは段違いに遠く、広く、鮮明に見え、窓の隙間からは葉擦れの音が聞き取れた。
だがあまりに鋭敏になりすぎた感覚にだんだん気分が悪くなっていき、一度スパイをフォースジョブから外したら一気に感覚が元に戻り、その反動で俺は倒れてしまった。
「あぁ気持ち悪い。確かにユニークに恥じないけどこの感覚に慣れるのには練習が必要だなこれは」
倒れてから少しして大分回復してきた俺はひとりごちながら体を起こし、変更可能職業一覧に表示された【スパイ】をもう一度フォースジョブにセットした。
今度は最初から心構えが出来ていたこともあり拡大されていく感覚に酔うことも無く、徐々に感覚の調整も出来る様になっていき一時間ほどかけてなんとか感覚を調節できるようになった。
「よし、だいぶ慣れて来たしどこまで見えるか試してみるか」
俺は感覚の調節が出来る様になった勢いでスキルとの同時使用を試みる事にし、まずは透視からと息込んでスキルを使おうとしたがなぜかスキルが発動しなかった。
「あれおかしいな確かに透視を使おうとしてたはずなん……なんだこれ」
スキルが発動しなかったことを不思議に思いそう呟きながらステータスのユニークスキルを見てみるとそこにはとんでもない事が表示されていた。
ユニークスキル
言語翻訳、成長促進、無限収納、スティール、スキルポイント再振り分け、形状変化、武器スキル結合、☆透視盗撮、☆念話通信、☆集音盗聴、☆マーキング、☆全域マップ
そこには持っていたはずの透視、念話、集音のユニークスキルが消え、代わりにそれらの上位互換らしき透視盗撮、念話通信、集音盗聴が増えており、それに加えて新たにマーキングと全域マップがユニークスキルに追加されていた。
いきなり増えたスキルの名前に不吉なものを感じつつもスキルの詳細を調べた。
透視盗撮
スキル【透視】がユニークジョブ【スパイ】により進化したユニークスキルです。
スキル【マーキング】でマークをしたモノとその周囲を撮影できます。
撮影を行うには映像を記録しておく為の魔石が必要になります。
念話通信
スキル【念話】がユニークジョブ【スパイ】により進化したユニークスキルです。
スキル【念話】とは違い相互に念話を行えます。
集音盗聴
スキル【集音】がユニークジョブ【スパイ】により進化したユニークスキルです。
スキル【マーキング】でマークをしたモノとその周囲の音を録音できます。
録音を行うには音を記録しておく為の魔石が必要になります。
マーキング
ユニークジョブ【スパイ】により獲得したユニークスキルです。
視認したモノをマークしてその対象の位置を把握できます。
マップ系統のスキルと併用することで詳細な場所が判ります。
全域マップ
ユニークジョブ【スパイ】により獲得したユニークスキルです。
一度視認した事のある場所を細かく表示できます。
補助スキルの【マップ】と違い限界はありません。
「まさかのスパイチートだわ。っていうかユニークスキルが増えてるってことはもしかして他にも増えてるスキルがあるんじゃ……」
俺はユニークジョブ【スパイ】によるユニークスキルの獲得に驚きながらもしかしたら他にもあるんじゃと思い全てのスキルを確認してみると他にもスキルが増えていた。
闇魔法Lv.1
ユニークジョブ【スパイ】により獲得した魔法スキルです。
使用可能魔法
ハイディング 消費MP 10秒毎に5ポイント
気配を薄れさせることが出来ます
解析Lv.1
ユニークジョブ【スパイ】により獲得した補助スキルです。
対象の情報を調べることが出来ます。
鑑定と併用でより詳細に知ることが出来ます。
「闇魔法に解析か。闇魔法は効果は良いんだけど魔力の消費量が微妙だけど解析は鑑定と合わせて使えるて便利そうだし試してみるか」
俺は新たに手に入れたスキルの感想を呟きながら自分自身に鑑定と解析を使ってみた。
名前 ユーマ ナギタキ
性別 男
年齢 15
種族 人族
職業
ファーストジョブ 異世界の学生Lv.42
セカンドジョブ 無職Lv.30
サードジョブ 戦士Lv.15
フォースジョブ スパイLv.1
レベル 64
HP 370/370
MP 335/335
STR(筋力) 112
DEF(防御力) 117
AGI(素早さ) 122
DEX(器用さ) 147+35
INT(賢さ) 122
LUK(運) 40+60
スキル スキルポイント 35
ユニークスキル
言語翻訳、成長促進、無限収納、スティール、スキルポイント再振り分け、形状変化、武器スキル結合、☆透視盗撮、☆念話通信、☆集音盗聴、☆マーキング、☆全域マップ
戦闘系スキル
体術Lv.8 、剣術Lv.8 、槍術Lv.5、棒術Lv.5、弓術Lv.5 、投擲Lv.2
耐性系スキル
痛覚耐性Lv.4、麻痺耐性Lv.3、毒耐性Lv.3、混乱耐性Lv.3、睡眠耐性Lv.4
魔法系スキル
☆闇魔法Lv.1
補助系スキル
鑑定Lv.Max、算術Lv.6、気配察知Lv.5、幸運Lv.Max、豪運Lv.Max、器用さLv.7 ☆解析Lv.1
生産系スキル
料理Lv.4、裁縫Lv.2
称号
異世界人(ボーナススキル、鑑定Lv.Max、言語翻訳)
加護
八百万の一角の加護(ボーナススキル、成長促進、無限収納)
職業ボーナス
アルバイト(ジョブ枠が一つ増える)x3
就職(ジョブ変更が可能になる)
ボーナススキルポイント5x6
職業
ファーストジョブ 異世界の学生Lv.42
セカンドジョブ 無職Lv.30
サードジョブ 剣士Lv.15
フォースジョブ スパイLv.1
変更可能職業一覧
異世界の学生Lv.42、無職Lv.30、見習い剣士Lv.Max、見習い槍士Lv.Max、見習い弓士Lv.Max、見習い戦士Lv.Max、剣士Lv.15、槍士Lv.1、弓士Lv.1、戦士Lv.15 スパイLv.1
○○年6月23日に凪滝宗弥と凪滝雪那の子供として生まれる。
幼馴染みである星兆院姫菜とは同じ病院で産まれ、親同士も仲が良かった為赤子の頃から一緒に過ごす。
幼少期より幼馴染みである星兆院姫菜を好いており、ストーカーまがいの行為を繰り返す。
etc
「まてまてまて、事実無根にもほどがあるわ!」
俺は変更可能職業一覧の下に新たに増えた脚色された情報を見てそう叫びながらすぐに鑑定と解析を直ぐに解除して結果を閉じた。
予想の斜め上を行く鑑定と解析の結果に呆れながら今見たことを無かったことにして、今後も鑑定と解析の合わせ技はあまり信用しない様にと心に誓った。
そんな事をしていると窓からうっすらと光が差し込み始めた。
どうやらいつの間にか結構な時間が経ち、朝がやって来たようだった。