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第104話 元第四師団団長の尋問

前回のあらすじ

寝坊して睡眠耐性スキルが成長していた

下っ端の尋問が終わった

明日からの元第四師団団長の尋問が始まる

 俺は朝いつもと変わらない時間に目覚め、着替えを済ませると丁度メルリアさんが来た。俺たちはメルリアさんの案内で食堂に行き王女様たちと朝食を食べて一度部屋に戻り、再度呼びに来たメルリアさんと一緒に尋問に使う部屋までやって来た。

 部屋に入り定位置となった席に座ると王女様が俺の方に向き直り口を開いた。

「ユーマ様本日も宜しくお願いします。それではこれより元第四師団団長だいよんしだんだんちょうたちの尋問を行いたいと思います」

 王女様がそう言うと鉄格子の向こう側の扉が開き、そこから元第四師団団長が両手を拘束された状態にもかかわらず騎士を怒鳴りつけながら部屋に入って来た。


「離せッ私を誰だと思っている! こんなことをしてタダで済むと思うなよ! お前ら如きなど私のような選ばれた人間の道具でしかないくせに! こ、これは王女様、助けて下さい私は無実なのです。何もしていないのにいきなり捕らえられて何も聞かされぬまま此処まで連れて来られたのです。どうか、どうか私を助けて下さい!」

 元第四師団団長は部屋に入ってからも騎士を怒鳴りつけていたが鉄格子の向こう側に王女様がいる事に気が付くと態度を一変させて王女様に取り入り始めた。どうやら俺が居る事に気付いていないのか、はたまた居てもどうにかなると思っているのか、まだ王女様に取り入れると考えているらしい。

「黙りなさい! 彼方は先日脱走をし挙句の果てに王城に攻め入りました。それだけでも大罪なのに他にも色々やっていると先に尋問を終えた兵士たちから聞いています。今更言い逃れができると思わないでください!」

 王女様は元第四師団団長の手の平返しっぷりに苛立ちを見せ言葉の端々に怒りが見え隠れしていた。

 

「違います! 私はそんな大それた事やっておりません、王女様は騙されているのです! 私はこれまで一生懸命この国に忠を尽くしてきました。そんな私を快く思わない者たちによる陰謀なのです! 騙されてはいけません王女様! 今すぐ私を助けて一緒に真の敵と戦いましょう!」

 元第四師団団長は王女様の剣幕にも負けず、話の論点をすり替えて何とか助かろうと必死に王女様に訴えていた。それを呆れた様子で聞いていたウォレンさんが未だに王女様に縋りつく元第四師団団長に話しかけた。

「そうか、そこまで言うなら真の敵とやらについて何か掴んでいるんじゃろう」

「ウォレン様、勿論です。一緒に真の敵を倒しましょう! そのためにも私をここから出してください、お願いします!」

 元第四師団団長は話しかけられてやっとウォレンさんがここにいる事に気付いたのか、今度はウォレンさんに縋りつき始めた。

「出してやっても良い。じゃがその前に、一つ儂の質問に答えるんじゃ。お主は騎士として国民を守れるか?」

「そ、それは……。私は国に忠尽くしていますので国民だけを守れるかは断言できません」

 ウォレンさんの質問に元第四師団団長はどちらとでも取れるような曖昧な返答をし魔道具は嘘とも真実とも判定しなかった。

「そうか、なら質問を変えよう。国民を奴隷だとは思っておるまいな?」

「も、勿論です」

 元第四師団団長の返答に魔道具が赤く光った。


「嘘か……」

 ウォレンさんがそう呟くと元第四師団団長は血相を変えて喋り出した。

「嘘ではありません! そうだ、その魔道具が壊れているんです、だから赤く光ったんだ! 壊れていない魔道具でならちゃんと判定されるはずです! もう一度チャンスを!」

「そこまで言うのであればチャンスをあげましょう。老師、魔道具をこちらに」

 王女様は元第四師団団長の必死の懇願を受けてかそう言って、ウォレンさんは王女様に魔道具を手渡した。

「ではウォレン老師、貴方は男ですか?」

 王女様は手に魔道具を持ちながらウォレンさんにそう質問し、ウォレンさんは王女様の行動の意味を瞬時に理解しその質問に「はい」と肯定を示した。その結果、魔道具は真実と判定し青く光った。

「次にウォレン老師、貴方は女性ですか?」

 今度の王女様の質問にもウォレンさんは「はい」と答え、今度は魔道具が嘘だと判定し赤く光った。


「さてこれで魔道具が壊れていない事が判った所で、もう一度あなたに問います。貴方は国民を奴隷だと思っていますか?」

「……」

 元第四師団団長は魔道具が壊れていないと判ったタイミングから徐々に顔色を悪くしていき、王女様の質問にだんまりを決め込んだのかうつむき口を開かなくなった。

「答えられませんか? では質問を少し変えましょう。貴方は国民を奴隷だと思っていますか? 十秒以内に答えないと肯定とみなします」

 だんまりを決め込んだ元第四師団団長に王女様は最後のチャンスとしてもう一度同じ質問を今度は時間制限付きでしたが元第四師団団長は俯いたまま答えず10秒が経った。魔道具は予想通り青く光り、元第四師団団長が国民を奴隷としか見ていなかったと魔道具がそう判定した。

「やはりそうですか……。元第四師団団長、何か申し開きはありますか?」

「……さい。何が悪い! 私は選ばれた人間だ! 選ばれたこの私に逆らう奴等が悪いんだ! 平民など勝手に増える道具に過ぎない物をどう使おうが私の自由だ! 王女ッお前もそうだ! お前ら女は子供を産むための道具の癖に私の前に立ち塞がりやがってッ! 女は女らしく子供を産んで育てる事だけしていればいいんだよッ!」

「もういい、黙りなさいッ!」

 元第四師団団長の罵詈雑言に遂に王女様がキレた。

「誰がお前のようなお飾りの言う事など聞くか! こんな茶番は終わりだ、私をここから出せ! そして私の罪をもみ消せ! さもなくばお前をここで殺してやるッ!」

 元第四師団団長はキレた王女様をものともせず、逆に王女様を脅し始めた。

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