第102話 二度目の尋問2日目終了
前回のあらすじ
寝坊をして姫姉に起こされる
ウォレンさんに体の心配をされる
俺が提案した方法で尋問をする
「何とか終わりましたね。前の時の尋問よりも早く裁けました。もう一度このやり方で尋問をして問題が無ければ今後もこのやり方でいきたいと思います」
罪人たちが騎士たちに連れて行かれた後、王女様は今回の新しい方法の尋問についてそう評価し、もう一度行って問題が無ければこのまま続けると言った。
「そうじゃな、数人を同時に尋問することでその場で供述のすり合わせが出来て効率的じゃしの」
俺も今回の尋問は前の時よりも罪人たちが嘘を吐いていないし、スムーズに尋問が進んだ印象を受け、その事を王女様とウォレンさんにそのまま伝えた。
「そうですね、確かに罪人を一人ひとり取り調べをしていた時は嘘を吐いてばかりでしたが今回は嘘を吐いていませんね。ただこれだけで嘘を吐かなくなると判断するのは早計ですので……」
王女様は俺の素直な感想に理解を示したものの、やはり試行回数がまだ一回だけなのでこの方法が良いとも悪いとも言い切れずに言い淀んでしまった。
俺は王女様に明確な答えが欲しくて発言した訳では無いのだが……。
「まぁ確かに立場やその人の性格で変わってきそうだし……。そこは何回も熟し統計を取って調べるしかないですね」
言い淀んだ王女様をフォローするために俺はそう言った。
それを聞いた王女様は少しホッとした様子で「そうですね」と俺に返してきた。
俺たちの尋問の反省会に一段落着いたところで罪人たちを連れて行った騎士たちが新たな罪人たちを連れて戻って来た。
新たに連れられてきた罪人たちは見るからに新人らしい若い男三人だった。
王女様は罪人の男たちが座ったところで前回同様に尋問の開始を宣言して、ウォレンさんが男たちに質問をし始めた。
ウォレンさんの質問に最初に答える様に言われた男はどう答えるかで悩んでいるのか残りの二人の方に視線をやったりしていたが、観念したのか言葉を発し魔道具はそれを真実だと判定した。
その後、残りの二人も最初の男同様に質問に正直に答えて、魔道具もそれを真実だと証明していった。
それから前回の尋問と同じような質問を目の前の三人にもしていき、三人ともその質問に正直に答えていった。
全ての質問を終えたところでウォレンさんは王女様に判決を委ね、王女様は尋問の結果判明した彼らの罪状を読み上げた後、彼らに科す罰を言い渡した。それは前回の罪人たちと然程変わらない罰だった。
罰を言い渡された三人は後悔からなのか一様に項垂れていて、その状態のまま騎士たちにドナドナされた。
それから俺たちは二組の尋問を行い、その二組とも有罪と判断され王女様によって罰を科せられた。
「はぁ、疲れました。そろそろお昼ですし、皆さん昼食にしましょうか」
三組の尋問を終え太陽が頂点に近づいた頃、王女様は軽く体を伸ばしながらそう言った。
「俺はそれなりにお腹も空いてるし、良いんじゃないですか。ウォレンさんはどうですか?」
俺は王女様に言われて自分がそこそこお腹が空いているのに気付き、それを伝えながらウォレンさんはどうなのか訊ねた。
「そうじゃの、儂もそろそろ小腹が空いてきたしの」
ウォレンさんは俺の質問にそう答えながらお腹を摩っていた。
「それでは昼食にしましょうか。……昼食の準備をお願いします」
王女様は俺とウォレンさんの言葉を聞いて昼食にすることを決め、傍にあるベルを鳴らしてメイドを呼びそのメイドに昼食の準備をするように命じた。
王女様がメイドに昼食の準備を頼んだ数分後、メルリアさんがやって来て俺はメルリアさんの案内で自分の部屋に戻って来た。
部屋で十分ほど休んでいると再びメルリアさんがやって来て、俺と姫姉と田中さんと少女は連れ立って食堂に向かった。
食堂にはまだ誰も来ておらず、俺たちが一番乗りだった。俺たちはいつもの席に座り少し経つとウィンダムさんたちが来て、その後ウォレンさんと王女様が入って来た。
王女様が着席したところでメイドたちが俺たちの前に昼食を手早く配膳していきそれが終わったところで王女様が口を開いた。
「本日も昼食を食べる事が出来る喜びを神に祈りましょう……。それでは頂きましょう」
王女様がそう言うとウォレンさん、ウィンダムさんたちは王女様と一緒に神に祈りを捧げ、祈りが終わると皆は食事を始めた。
俺たちは「いただきます」と手を合わせて言ってから食事を始めた。
それから特に何事もなく食事は終わり、俺たちはメルリアさんに連れられ自分たちの部屋に戻って行った。
その後俺は再び尋問に使う部屋までメルリアさんに案内して貰い、王女様たちと尋問を再開した。
再開後も特に問題が起こることなくスムーズに判決を下すことができ、合計で78人の罪人に罪にあった罰を科した。
尋問が終わった後、俺は一度部屋に戻り、それから姫姉たちと一緒に食堂に行き、王女様たちと一緒に夕食を食べた。
その後はいつもと変わらず部屋に戻り、風呂で汗を流してからそのままベッドにダイブした。
心身ともに疲れていた俺はそのまま襲ってくる睡魔に身を委ね、眠りについた。