第101話 二度目の尋問2日目
前回のあらすじ
王女様とウォレンさんは元第四師団団長の悪行に憤りを感じていた
尋問の仕方を変えようと提案した
夕食が美味しかった
「優君、朝食の時間だから早く起きなさい!」
翌日俺は昨日の疲れもあり、いつもなら起きていたはずの時間に目覚めず寝過ごしてしまい、部屋に俺を起こしに来た姫姉によって叩き起こされた。
「ぅん、姫姉? ……姫姉っ! もしかして俺、寝坊?」
「はぁ、うん、さっさと起きて着替えてね。メルリアさんも待ってるから」
姫姉はそう言い残して部屋を出て行き、俺は手早く着替えを済ませて姫姉を追うように部屋を出た。
部屋の外では姫姉や田中さんやメルリアさんに少女が待っていた。
「すいません、寝坊しました」
俺は待たせていた田中さん達に頭を下げて謝ると、田中さん達は気にしていないと言って許してくれた。
それから俺たちはメルリアさんの案内で食堂に移動した。
食堂に入ると俺たちが最後だったらしくウィンダムさんたちや王女様たちも座って待っていた。
「お待たせしてすいません」
俺は先に来て待っていた王女様たちに寝坊で遅れたことを謝罪した。
「いえ連日ユーマ様には予定外の事で働いて頂いていますので、気にしていませんよ」
「儂も気にしてはおらんよ。それよりも体調の方は大丈夫かの?」
王女様は俺の謝罪に気にしていないと言い、ウォレンさんは俺の体調の心配をしてくれた。
「ありがとうございます王女様。体調の方は大丈夫です、ウォレンさん」
俺が王女様とウォレンさんに感謝を伝えた後、今度はウィンダムさんが話しかけて来た。
「ははは、君は連日活躍しているからね。今回の寝坊くらい気にしてないよ」
ウィンダムさんも笑って許してくれて、その後アリシアさん達も気にしていないと俺の寝坊を許してくれた。
それから俺たちはメイドが運んできた朝食を食べてそれぞれ自分たちの部屋に戻った。
部屋に戻って少しすると部屋の扉をノックする音が聞こえ、その後メルリアさんが声をかけて来た。
「ユーマ様、お迎えに参りました」
俺は扉の向こうにいるメルリアさんに「今行きます」と返事して部屋の扉を開け、慣れた廊下をメルリアさんの案内で歩き尋問に使う部屋までやって来た。
「失礼します、王女様。ユーマ様をお連れしました」
「どうぞ、入ってください」
メルリアさんは部屋の中にいる王女様に声をかけ返事が返って来てから、メルリアさんは俺を部屋の中に入るように促し、俺はそれに従って部屋の中に入った。
「本日はユーマ様の提案通りにやってみたいと思います。そのためにも事前に質問の内容をある程度決めたいと思います」
王女様は尋問を始める前に事前の準備として、ウォレンさんが罪人に対してする最低限の質問の内容を俺とウォレンさんと相談して一通り決めた。
「……ではそういう方向でウォレン老師には質問の方をお願いします。ユーマ様も何か気になることや気が付いたことがあれば言って下さい」
「分かりました」
「了解じゃ」
俺とウォレンさんは王女様にそう返事をし、その後王女様は鉄格子の向こう側にいる騎士たちに罪人を連れて来るように命じた。
数分後、騎士たちが三人の罪人を連れて戻って来た。連れて来られた罪人は鉄格子の前に設置された椅子に座らされ、罪人たちが座った椅子の後ろに騎士たちがもしもの場合に罪人を直ぐに取り押さえられるよう陣取った。
「これから貴方方の尋問を開始します。質問はウォレン老師が行いますので、左の貴方から順番に質問に答えて下さい。質問と関係のない事を言ったり嘘を吐いたりした場合、判決に不利に働くこともあるので発言には気を付けて下さい。それでは老師、お願いします」
王女様は罪人が座った事を確認してからこれから行う尋問について罪人に説明をした後、ウォレンさんに尋問の主導権を渡した。
「分かりました、王女様。では質問を始める。お主たちは二日前の早朝、王城にいる者たちを襲い監禁した。お主から順に答えろ」
ウォレンさんは王女様からこの場を引き継ぎ、普段とは違う声色で罪人に最初の質問をして、俺たちから見て右にいる罪人を指を指して答える様に命令した。
「私は第四師団団長に賓客の中に犯罪者がいるから捕らえるために使用人たち被害が出ない様に閉じ込めておけと命じられてそれに従いました」
「俺もそいつと一緒に命令されてそれに従った」
「私も同じです」
罪人たちの答えに魔道具は全て青く光った。俺とウォレンさんと王女様はそれを確認して頷き合った。
「次に元第四師団団長が行っていた悪行は知っているか?」
ウォレンさんは事前の話し合いで決めていた元第四師団団長の事を罪人たちに聞いた。
「噂ならいくらでも聞いたことがありますが私がそれを見たことはありませんでした」
「俺も噂は聞いてたし疑ってもいたがそんなとこは一度も見たことが無かった」
「私も同じです」
罪人たちは元第四師団団長の悪行を噂でしか知らないと言い、それを裏付けるかのように魔道具は全て青く光った。
それからもいくつか質問し、罪人たちは後悔しているのか嘘を吐かずに正直にそれに答え続けた。
「これで尋問は終わりだ。王女様、判決の方をお願いします」
「はい、貴方方は過去に元第四師団団長の悪行に加担したことは無く今回も命令をされて仕方がなかったとはいえ、貴方方が行ったことは犯罪で国に反旗を翻したと言っても過言ではありません。貴方方は財産の没収と今後三年間の強制労働とします。これで宜しいですかユーマ様、ウォレン老師」
王女様は自身の判断で判決を決めた後、俺たちに異議がないか最終確認をしてきた。俺とウォレンさんはそれが妥当だと判断し王女様に異議は無いと返した。
「それでは貴方方の罰は財産の没収と今後三年間の強制労働となります。騎士の皆さん、彼らを連れて行って下さい」
王女様は罪人達に決定した罰を伝え、その後騎士達に罪人達を退室させるように命じ、罪人達は騎士達に連れられて部屋を出て行った。