表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/267

第100話 二度目の尋問1日目終了

前回のあらすじ

最初の尋問開始

元第四師団団長の悪事が露わに

最初の罪人の判決が決まった

「まさか騎士団長ともあろう人があんなことをしていたとは……」

 罪人が騎士に連れて行かれ静かになった室内で王女様がそう呟いた。

「そうじゃの……。じゃが王女様、今ここであれこれ考えても仕方がない。今は切り替えて尋問の続きを」

 ウォレンさんは思考の海に沈みゆく王女様にそう声をかけ、尋問を続けるように促して、王女様はそれに従うように部屋に戻って来た騎士に次の罪人を連れて来るように命じた。


 それから俺と王女様とウォレンさんは次にやって来た罪人を尋問し、元第四師団団長だいよんしだんだんちょうの先程とは別の悪行を聞かされて、それにいきどおりを感じつつもなんとか罪人に判決を下した。

 それを数回繰り返し、肉体的にも精神的にも疲労が溜まってきたところで王女様から「昼食にしましょう」と提案され俺とウォレンさんはそれに諸手を挙げて賛成した。


 俺たちは遅めの昼食を食べるために食堂に向かった。

 食堂に入って直ぐにいつもの席に着くとすでに用意されていたのであろう、サンドイッチと温かいスープが俺たちの前に配膳はいぜんされた。俺たちはそれらを無言でき込むかのように素早く平らげた。


 食事を終えて一息つく暇もなく、俺たちは尋問に使っている部屋に戻り罪人達の尋問を再開した。

 その尋問は夕食の時間まで続いたが、そのおかげで今日一日で40人の罪人を裁くことが出来た。

 しかし今回の騒動に参加していた騎士や兵士、協力者は合計で400人近くいるらしいので、あと十回はこれらを繰り返さないといけないと思うと先が思いやられる。


「王女様、提案なんですが尋問を分担してやりませんか?」

 俺はあと十回もこれを繰り返すのは面倒というか、やりたくないので王女様に尋問の分担を提案した。

「分担、ですか?」

「はい、この部屋で罪人を複数人呼び出してウォレンさんが罪人に尋問を。そして俺が魔道具を見ながらそれをサポート。王女様は俺たちの尋問の結果で罪人の罰を決めるって感じでどうです?」

 俺は王女様に具体的に誰が何をするのかを踏まえて分担作業の内容を伝え王女様の反応を待った。

「そうですね……。確かにこのままでは時間が掛りすぎてます。分かりました、明日それを試して正常に判決が下せれば以降はその方法でやりましょう。ウォレン老師もそれでよろしいですか?」

「儂はかまわんよ。儂もこれがあと十回も続くのは堪えるしの」

 王女様とウォレンさんそう言って俺の提案を受け入れてくれて、明日から実験的にではあるがやってみる事になった。

「では今日のところは尋問はこれ位にして、夕食に向かいましょうか」

 明日の尋問について話が一段落したところで王女様はそう言い部屋を出て、俺とウォレンさんもそれに続いて部屋を出た。


 食堂に着くと姫姉たちやウィンダムさんたちが先に席に着いていて、俺たちが来るのを待っていたようだ。

「皆様、お待たせしました」

 王女様はそう言って一番奥のお誕生日席に座り、俺とウォレンさんはメイドさんにうながされていつもの席に座った。そして俺たちが座ったのを見計らってメイドたちが料理を乗せたワゴンを運んできた。


 まず俺たちの前に前菜として配膳されたのは緑色野菜まばらに盛られ、その真ん中に薄く切られたローストビーフが何重にも折り重なり薔薇のようになったサラダだった。

 サラダにはワインビネガーの酸味とほのかに感じるマスタードの辛みと甘味がマッチしてローストビーフの味を引き立たせていた。

 気が付けば俺は前菜をぺろりと平らげており、姫姉たちも同じように食べ終えていた。


 次に出てきたのは黄色みがかった白いスープだった。

 俺は最初何のスープか分からず失礼とは思ったがスキル鑑定を使って何のスープか確認し、その結果じゃがいものポタージュだと分かった。

 俺はスープの味を確かめる様に飲んでみると、確かにじゃがいもの味を感じれた。


 全員がじゃがいものポタージュ飲み終えたところで、メイン料理の白身魚のクリーム煮が運ばれてきた。

 白身魚のクリーム煮を一切れ食べると口の中で身が解れ、白身魚の淡白な旨味とクリームソースの味が口の中一杯に広がった。

 俺はそんな白身魚のクリーム煮に舌鼓を打ち、食べる手が早くなって周りよりも少し早くに食べ終わった。


 俺は白身魚のクリーム煮の味の余韻に浸っていると他の人たちも食べ終わり、最後のデザートが運び込まれてきた。

 デザートとして出されたのはシナモンの香る焼きたてのアップルパイだった。

 俺はナイフとフォークでアップルパイを切り分け一切れ口に運んだ。焼かれて甘味と香りが増した林檎のジューシーな果汁が口の中一杯に溢れ口と鼻の中を満たした。

 俺は「美味い」と漏らしたあとアップルパイを味わうように無心で一言も話さず食べ進めた。

 五回ほどそれを繰り返すと皿に乗せられていたアップルパイは綺麗に無くなっていた。

 俺はそれを惜しみつつも味の余韻を楽しみ、他の人たちが食べ終えるのを待った。

 数分も経たないうちに全員がアップルパイを食べ終え今日の夕食は終わった。


「それではお先に失礼します。ユーマ様、明日もよろしくお願いします」

 夕食が終わって直ぐに王女様はそう言って食堂を出て行った。

 その後、ウォレンさんやウィンダムさんたちが食堂を後にし、俺たちもメイドさんに連れられて自分たちの部屋に戻った。

 部屋に戻った俺は明日に備え風呂で疲れと汗を流し、ベッドに入り眠りについた。

ついに100話突破しました

今後もよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ