僕が異世界に来てからぶち込まれるまでの流れ
ちょっと気まぐれで書いてみました。適当にやりたいようにやっていくつもりです。よろしくお願いします。
異世界というものに来て、早一週間がたちました。日ごろから、高校の授業中にラノベを読んでいたおかげで、現状を受け入れることもできました。今もとても快適な生活を送っています。炭酸飲料を片手に、スマホでネットサーフィンをする日々。もう元の世界には帰りたくありません。ただ、一つ問題があります。じつは、僕が今いるのは王国が管理している牢獄の一室なんです。
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桜吹雪の舞う遊歩道は、まだ色の濃い制服を着た少年少女で満たされています。そんな中、私服で一人歩いていると、疎外感と同時に悲壮感を感じます。私服にパンパンにつまったリュックサックを背負う僕は、大学生に見えるでしょうが、実はただの浪人生です。浪人一年生です。
「あー、あの人は大学生か。いいなあ」
女子高生の悪気ない一言が、胸に突き刺さります。
「あー、異世界に行けたらいいのになあ」
僕はつぶやきます。
もう嫌なんです。現実にはほとほと愛想が尽きました。行きたい大学があるわけでもなく予備校に入るという矛盾した行動。もうやってられません。
「異世界で、ひきこもりてえなあ」
そうです。引きこもらせてくれればいいのです。このまま日本で引きこもらせるくらいなら、いっそ異世界に行ったほうがまともな人間になるかもしれませんよ。聞いてますか神様。
心の中で願います。
願ってみるものですね。次の瞬間、周囲の景色が一変します。とにかく広い草原。どうやら、異世界に来てしまったようです。ですが二つほど問題があります。
一つ、周りに建物が見えないこと。
二つ、スマホ以外何もなく、全裸であるということ。
「神様、話が違いますよ」
そうつぶやきましたが、神様が反応することはありませんでした。一回反応したきりで、不能になってしまったんですね。だらしない。
どうしようもないので、スマホをいじってみることにします。
以前から持っているものと同じ機種ですが、違和感があります。画面に入っているはずの蜘蛛の巣がないのです。それに、残量電池も電波の強さも表示されません。ですが、試しにインターネットにつないでみれば全然つながりました。
ホーム画面から地図アプリを開けば、見たことのない地図が広がっています。
どうやら、このスマホはチートアイテムのようです。神様からの支給品のようです。
そこで、試しに他の機能を探してみると、見たことのないアプリが入ってます。
ニヒルな笑い口の下には、アマゾンではなくアマゾソと書いてあります。これって大丈夫なんでしょうか。
アプリを開いてみれば、ページレイアウトは全くおんなじ。いつかテレビで見た可愛くないどら●もんが脳裏に浮かびます。
取りあえず服がほしいので試しに頼んでみます。ちなみに料金はすべて0円です。送料がかかるのかと思いきや、送料は無料です(ただし、離島は別料金がかかります)、と書いてあります。
どうせ、明日になら開ければ届かないだろうと思い、注文を確定した瞬間、目の前に商品が現れました。
「……」
異世界という設定に合わない、あまりに経済的に優しいチートアイテムがうれしい反面、世知辛い異世界に夢が冷める思いです。
「おい! そこのお前、今のはなんだ!」
急に怒鳴られました。
声の方向を見ると、甲冑を身にまとった美少年がいます。その甲冑には紋があるので、おそらく騎士として警備にあたっていたのでしょう。
幼い顔立ちから察するに、おそらく僕より年下でしょうか。年下に勤労精神を見せつけられるとやるせなくなります。
「今のは、何なんだ! なぜ急に布が現れた! お前、まさか呪術師だな! 怪しい奴め、ついてこい」
そういうと、少年は、僕の腕を紐で縛り上げ連行しよう押します。
「……あのー、ちょっといいですか?」
さすがにこの状態はやばい。
「なんだ! 口答えせずについてこい!」
「いや、今裸なんで服だけ着させてもらえないでしょうか?」
僕がそういうと、少年の頬が真っ赤に染まりあがります。おそらく、先ほどまでは急に服があらわれたことに気を取られ、僕の状態を処理できていなかったのでしょう。信じられない奇跡と、信じられない奇行を目撃すると、人のメモリはいっぱいになるようです。
「……早くしろ」
少年は、極力こちらに目を合わせないようにしながら言います。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
僕はそう言ってアマゾソで取り寄せた服を着ます。黒のTシャツに柔らかめのGパン、それにくるぶしソックスと靴。着心地もよければ動きやすさも兼ね備えています。さすがです、アマゾソさん。ですが、問題が一つありました。
パンツを注文するのを忘れていたのです。
人を待たせているので、急がねばなりませんし、パンツは慎重に選びたいのでノーパンで済ませるしか道はありません。ノーパンツノーライフなどという余裕はありません。それに、もう一度ズボンを脱ぐと目の前の少年が、叫びそうなのでノーパン一択しかありません。
結局、少年にノーパンのまま連行されました。騎士にノーパンのまま連れていかれる背徳感と、股間の風通しの良さ、冷涼感はとても新鮮に感じられました。
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その後、裁判にかけられ牢獄送りになってしまいました。何でも以前に、一人の呪術師が国の存亡を脅かしたことがあるらしく、疑わしいものは取りあえずとらえられるらしいのです。ですが、実際には被害がないので処刑するわけにもいかず、投獄されたものは普通の生活を送っています。中には、わざと呪術師だと申し出たものもいるそうです。
とまあ、こんな感じで僕は異世界で牢獄引きこもり生活を始めることになりました。
ギャグセンスのなさを痛感しましたが、仕方ない。その時の気分に任せて書いていこうと思います。クスリとでもしていただければ幸いです。