ハニートラップ(ショート・ショート風)
B「A先輩、久しぶりの日本ですね。
どうしたんですか、元気ないですね?」
A「あぁ~」
B「赴任先C国ですよね。ハニートラップにでもあったんですか?」
A「そんなんじゃない。お前はどうなんだ?」
B「僕は大丈夫ですよ。しばらく国内ですから」
A「そうだよな。それに最近、奥さんをもらったとか言ってたな」
B「すみません。式にお呼びできなくて」
A「残念だったよ。あの時は、ちょっとトラブッてたからな。
今もその件を引きずっているんだ」
B「ひょっとして、噂になっているやつですか?」
A「どんな噂だ?」
B「情報がC国に筒抜けって噂です」
A「お前までしっているのか~
部内で調べているけど、確証が掴めないんだ」
B「大変ですね~まだ長引きそうですか」
A「でも、違うんだ。悩んでる原因は」
B「なんですか?」
A「部外のお前だから話すけど、秘密だぞ」
B「なんですか?」
A「実は妻が家を出て行ったんだ」
B「奥さんの実家はどこですか?先輩と同じ東京ですか?」
A「いや国際結婚なんだ」
B「えッ、どちらですか?」
A「実はC国なんだ」
B「C国!?」
A[ハニートラップされたんだ」
B「えッ」
A「大丈夫だ、彼女は。俺と彼女は愛し合っている。
彼女はC国を裏切ったんだ。逆にC国の重要機密を俺に提供してくれた。
それで俺は昇格した。それから俺たちは結婚したんだ。
今、機密流失の件で忙しくて、ほとんど家に帰れない。
彼女は一人で寂しかったんだろう」
B「…」
近々、昇格予定のBの顔は青ざめていた。
同じだった。
Aの妻と出会いと結婚までの経緯が同じだった。