ねむりっぱなし。
がたたん、がたたん。
「次はーー駅、-ー駅」
がたたん、がたたん。
ごぉぉおおお・・・--。
いつまでも私はまどろみの中。
王子様のキスで目覚めるなんて嘘だった。
そもそも王子様なんていなかった。
ずっと待っていたけれど、現れてなんかくれなかった。
それでも世界はずっと廻っていた。
私だけを置いてけぼりにしたままで。
「ドアがーーます」
「お降りの際は足元をーー」
「ーーー忘れ物には」
「左側の扉がーー」
「--線にお乗り変えの方はーー」
ノイズなのか、何なのか。
声が止まらない。
でも何一つ頭には入ってこない。
がたたん、がたたん。
一体いつになったら。
私を目覚めさせてくれる王子様は現れてくれるのだろうか。