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プロローグ
「はぁ‥はぁ…っっ」
私は両手で、この国では珍しい刀をぎゅっと握り、荒い呼吸をととのえようと小さく息を吐く。
目の前には羽のついた、魔物。目にかかる母ゆずりの茶色の少し混じった黒い前髪が鬱陶しい。…早く終わらせなきゃ。
そう思い、軽く地面を蹴り、声をあげ、刀を魔物に向かって振り下ろす。
「っ…はぁぁぁぁッッ!!!!」
ズルリ…と物を斬った感触が刀から伝わる。…いつものことながら、慣れないものだ。
魔物が断末魔のごとく叫びをあげ、絶命する。
タンッ!と地面に降りたち、刀についた魔物の血と体液を振り払う。後ろには、既に消滅した魔物の血と体液がその場に残っているのみ。
カチリと刀を鞘に収めると、私はその場を立ち去った。