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王妃な王妃とツンドラ王と  作者: 神田 明理
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第23話

「ご報告が」


宰相の仕事は国王の政務のサポートをすることである。と言ってもリクハルドは政務も自分でこなすことがほとんどなので、仕事といえば提案のあった法案の一次審査的なものや、気がついた事のアドバイスしたり、いろいろな部署からの報告を取捨選択しリクに伝えたりしている。

自分ではちょっと政治に明るい秘書のようなものだと思っている。


「ビクトル、どうした?」


「王妃様関連なんだけど…」


今日はちょっと、というか大分イヤーな仕事だ。今まで避けて来たが、今日こそ言わなきゃいけない。


「なんだ。」


「落ち着いて最後まで聞いてよ。」


「分かったから早くしろ。」


「園遊会以降王妃様がエスターニャ公国のアルフレッド殿下と何度か連絡を取り合っているんだよ。」


「構わん。大した事じゃないだろ」


「非公式ルートで。」


顔が、顔が「大したことない」顔じゃないよ。


「…構わん。王妃は不義をやらかすような女ではない。」


いや分かるよ、分かるけど。王妃様がそんな方じゃないのは僕だって知ってるけど。


「本当に?良いんですか?ねぇ、連絡を取ってる事は事実なんだよ。 本人に確認しなよ。」


「うるさい。必要ない。」


「じゃあなんでそんなに機嫌が悪くなるんだよ。」


「なってない。」


「なってるじゃんか!」


あ、今ちょっとびっくりした。自分で機嫌が悪くなってることに気がついてなかったのか、重症だな。


「お前、内容見たのか。」


「見てないよ。」


「それで良い。」


「…本当に良いの?不義はもちろん、この国の情報を他国に漏らすこと自体立派な犯罪だよ。」


「王妃はそんな事はしない。」


もちろん、僕も王妃様の性格を知っているし、信頼していないわけでも無い。けど、疑われるような事が出てきたら、素直に疑う。

それに対してリクはそうはしない。なんでかしらないけど、何があっても王妃様を必ず信じるんだよね。それはそれで大したものだと思う。


「…分かったよ。」


「これからも黙認しろ。アルフレッドであろうが、誰であろうが。」


リクはこうなったら絶対に折れはしない。でもこんなに信頼してるのに、2人の仲はそこまで良く無い。ほんっとにもどかしいね。なんなの、いったい…


「…分かったよ。で、例のこないだ言ってた作戦はどうなの?」


「悪化の一途だ。」


「あぁ、そう良かったね…え!?悪化なの!?」


や、察してたけどね、てっきり上手くいってるふりをするかなって思ってた。あんまりにも素直すぎてどうしたもんかなこれは。


「どうも政治のようにうまくいかん。やり合うには相手が賢すぎる。」


「やりあうって…」


女の子との問題と政治とを同じくくりにするところがまた酷い。仕事人間の悲しい性だね…


「多分だが、俺は王妃を傷つけすぎている。」


「まぁリクがそう思ってるなら否定はしないよ。」


俺も実際そうだと思うしね。


「心にも思っていないような事を言い、それにも関わらず本心ではないと気づいて欲しいと思って中途半端な事をする。策士として最低のレベルだ。」


相当抱えてたんだな、これは。執務時間中に恋バナ相談スイッチ入る時点でもう精神的に大分やられてる。


「リク。もう白旗を揚げなよ。そろそろ素直になっても良いんじゃないの。」


「どうしろっていうんだ。」


「全て話すんだよ。自分から。」


最初からそうするべきだったんだ。


「そしたらどうなる」


「分かんないさ。受け入れられるかもしれないし、怒って国に帰っちゃうかもね。エスターニャに行くかもしれない。」


あ、エスターニャにはちょっと顔をしかめる。やっぱり嫌なんだな。


「でもこの先何十年もこのまま過ごすつもり?そしたら全員イライラしたままだよ。」


「分かっている。また考える。」


あー、出たよ『また考える』またっていつですが、何十日も粘るんでしょうね。


「はい。じゃあ王妃様ついでに報告書です。側室の方々の削減計画、退宮いただく方第一陣とその退宮日時がきまったようです。その後の生活についてまでまとめてあります。処罰としての退宮以外の方には名誉称号を授けたいそうです。」


「構わん。称号の名称や扱いも全て王妃に任せる。」


「分かりました。お伝えします。」


本当に信頼してるな。まぁ王妃様の有能さに関しては僕も認めるけど。


「ん?エルザ・ローレンス、ダニエル・ラドフォードに降嫁?あのラドフォードか?」


「…そうみたいだね、執行庁って書いてる。」


「なんだ、あいつ何も言ってこなかったじゃないか。」


「いやいや、今度陛下のご側室を妻に迎えることになりました。って普通言えないでしょ」


こういうところは相変わらず抜けてる。

リクは自分が王だという自覚に欠けることがある。他の多くの王族に見られるような固定観念に縛られず、平気で身分の壁を越えることもしばしばあるのだ。


「そうか。でも一体どういう事だ?ちょっと調べてくれ。」


「分かりました。」


自分で聞けばいいのに。と思ったけど、それが出来るのはもう少し先の話かな。





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