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勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている  作者: まる
【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている⑫ ~Road of Refrain~】
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【第十一章】 無気力な王


 特にトラブルも無く入国を済ませた僕達は用意されていた馬車に乗って船着き場を離れていく。

 過去に、といってもそう古い記憶ではなく少し前の話だけど、僕は一度この国に来たことがあるので目新しさはそこまでない。

 とはいえグランフェルトやシルクレア王国、サントゥアリオ共和国の都市に比べるとやはり文明の差は感じざるを得ないところだ。

 外から見た通りお世辞にも大きな国ではない。

 その鎖国主義ゆえか、相応に文明や文化という意味でもそれに比例して発達が進んでいないことが一目で分かるぐらいには物寂しい光景がどこまでも続いている。

 そもそも町が複数存在せず城の周囲に人口が集中していて、左右にひたすらに家屋の群れが四方に広がっているのだが、そのほとんど村や集落と言っていい程に木や藁で作った様な家ばかりだ。

 店らしき店も家の数に見合わぬ少なさで、人口自体がどの程度なのかは聞いたことがないが人通りも少なければ賑わいの欠片もなく、どこか静けさばかりが耳からではなく目からも伝わってきそうな勢いだった。

「…………」

「…………」

 これまた比例して、というわけでもないのだろうが……馬車の中もついでに静けさに包まれていた。

 相変わらずナディアは僕の腕を抱いてはいるが雰囲気に充てられてか特に口を開くでもなく、どこか不安そうに反対の腕を隣にいるエルの腕に絡ませている。

 それもそのはず、何故かそのエルとエーデルバッハさんが今にも殴り合いを始めるのではないかという勢いで睨み合っているのだ。

 そういえばこの二人は以前、初対面の時にも口論していたなぁとそうなってから思い出したわけだけど、一体何がそうさせるのだろうか。

 まぁ、そりが合わない相手っていうのは誰にでも存在するもんだしね。そういうこともあるさ。

 と、我関せずを貫く情けない僕なのだった。

 だってエーデルバッハさん怖いもん。

 エルは『がるる……』とか聞こえてきそうな勢いだし、エーデルバッハさんもこめかみをピクピクさせているし、もう互いに睨み殺さんばかりの雰囲気。

 ナディアのみならずウェハスールさんも万が一にも飛び掛からない様に抑えているし大丈夫でしょ……うん、きっと

 乗り込むなり『何を睨んでいるチビ助』だの『生意気なガキめ』だの『うるさい変な服』だの『お前が喧嘩売ってるんだろ細眉毛』などと罵り合いが始まったわけだけど、当のエーデルバッハさんもレイラに一喝されて口だけは閉じているので暴力沙汰にはならないさ。

 とまあそんな感じで巻き込まれちゃたまらんと二人を見ない様に窓の外を眺めることしばらく。

 これまた何が起きるでもなく城に到着すると門番が居ないからか開かれたままの門を潜って馬車は城内へとそのまま進んだ。

 国の大きさ、文明レベルの差か王の居住する城も大国とは全然違っていて、サントゥアリオのスコルタ城塞ぐらいの規模しかない小さな城だ。

 そのまま建物の傍にまで近付くとようやく馬車は停車し、全員で馬を下りて今度は徒歩で城内へと僕達は進んでいく。

 以前と同じく城内には侍女の姿こそあるが兵士や官吏の様な人間は一人としていない。

 まだ若干機嫌が悪そうなエーデルバッハさんが先導し階段を上がると、二階にある玉座の間へ繋がる扉を開いた。

 中には既に玉座に腰掛ける男の姿が見えている。

 名はメフィスト・オズウェル・マクネア。

 やはりボサボサの髪と無精髭が不潔感を抱かせる悪い言葉で形容するならばどうしても『だらしのないおっさん』という風貌をしているが、顔立ちから思っている程年を食っているわけではないらしいこの男こそがこの国の王だ。

 メフィストという部分は名前の一部ではなく国王が冠する称号の様なものだと聞いた覚えがあるけど、詳しい話や意味合いなどはよく分からない。

 格好は記憶のままフカフカのファーみたいなのが付いたマントこそ羽織っており、それでいて服装自体は茶色い七分丈の上下であることも国王らしからぬ印象に拍車を掛けている謎多き男というのが最終的な印象だろうか。

 そしてその脇には二人の女性が控えている。

 一人は背が低く華奢で、見た目だけで判断するならば僕より歳が下だと思われるものの特殊な事情で素顔が半分見えないという変わった風貌をした女の子だ。

 背中には柄が長く刃の部分がやけに大きな物騒極まりない鎌を背負っていて、ワンピース型で黒主体のゴスロリ風のメイド服を着ており、頭にはそれぞれ右が髑髏、左が十字架の形をした金属製の髪飾りが、そしておかっぱというのかボブというのかというスタイルの髪はセミリアさんとは少し違う銀髪ではなく白髪で、ここまででも外見は既に特徴的にも程があるのだが、その中でも一際目立つのは顔の部分だろう。

 両目その物が(ゲート)である彼女は右目には赤色の生地に白い薔薇が描かれた眼帯が、左目には青い生地に黒い十字架が描かれた眼帯がそれぞれ装着されており、どう考えても視界が完全に塞がれている状態なのだ。

 名はシルキィー・パーシバル。

 エーデルバッハさんやキースさんと同じく守護星の一人で、四番目の意味を持つ【四番星(テセラ)】の肩書を持つ女の子である。

 両目の門が目を合わせることで無条件に発動してしまうためこうして両目を塞いで生活しているのだが、僕は妃龍さんのアレ(、、)のおかげでその影響を受けず、それによって人の目を見て対話することがほとんど無かった彼女に思いがけず気に入られたというのがあの旅で最も強く残る印象だろうか。

 もう一人も同じく五番目である【五番星(ペンデ)】の肩書きを女性で名前はミューリス・ノワール。

 こちらは基本的にににこやかな表情をしていて、ウェハスールさんとはやや違ったおっとり口調の僕と同じ歳ぐらいの女性だ。

 明るい茶髪のロングヘア、胸元を強調するようなVネックで袖の短いピンクのシャツに黒いミニスカートとその下に膝上までのスパッツみたいなアンダーウェアを着ている、やけに今風の女の子みたいな格好をしている端正な顔立ちも含め随分と綺麗な外見をしている人だけど、だからといって性格まで穏やかという印象はあまりなく、どちらかというと他の人と同じで自由な言動が主体という印象しかない。

 玉座の前にまで歩くとナディアと僕、そしてウェハスールさんだけが頭を下げ、国の代表同士ということでマクネア王とナディアがいくつか挨拶のやりとりを交わしたところでその相貌が僕へと向けられる。

「や、久しぶりだねコウヘイ君」

「ご無沙汰しています。その節はお世話になりました」

「なに、お礼を言われる筋合いじゃないさ。助かったのはお互い様だ、マリアーニ王とキャミィちゃんを救ってくれたことに感謝してるよ」

「いえ、それこそこちらの都合でやったことですので」

「謙遜のし合いはガラじゃない、やっぱりお互い様ということで済ませるのが一番収まりが良いらしい」

「ではそういうことに」

「さて、と。エルも、随分と久しいね」

「……お前が勝手に避けてたんだろ」

「そうツンツンしないでよ。僕も君も、朗らかに昔話に花を咲かせられる立場じゃあないだろう? それを言ってしまえばきっとサミィ以外の誰もが似た様な心情や境遇で生きて来たんだろうけど、君に嫌な思いをさせまいと空気を読んでいたつもりなんだけどねぇ」

「……ふん」

 どういった意味を含む言葉なのか、エルはそっぽを向いてしまった。

 二人の過去にあった何かが生む会話ではあるのだろうけど、それに言及出来る空気であるはずもなく。

 その短い応酬で会話は終わり、再び僕の方へとマクネア王の視線がこちらに向いていた。

「この一団を代表はマリアーニ王だけど、率いるのはコウヘイ君だと聞いている。事前の取り決めに従って守護星を預けるけど、方針の様なものは既に定まっているのかい?」

「はい。出来得る限り諍いや戦闘を避け、最短のルートで最終目標である天帝を目指します。相手は天界の神、されど問答無用で敵対し争い合う必要はありません。敢えて全面戦争を繰り広げるメリットは無く、期限が設けられている以上は体力や時間を不必要に浪費するのはあまりに愚かですから」

「待て」

 これは指揮を執る立場を託される前から考えていたことだ。

 いつ、どの戦場に身を置いてもそれは変わらない。

 殺し合って解決することも、どちらかが滅ぶまで傷つけ合い続けることも、是とする主義や方針は僕にはあり得ない。

 そうならないための解決方法を、いつだって追及し続けて来た。

 言葉だけで争いが収まることなどない。

 止めようとして止められる程に簡単な話ではない。

 いつだって大勢が傷付き、倒れ、帰らぬ人となった。

 それでも可能な限り落としどころを探す。

 誰かが死んで解決という以外の道を探す。

 少しでも早く解決する方法を、戦う以外の道を探してきた。

 しなくてもいい戦いを、死なずともよい者が死ぬことを、避ける方法を求めて来た。

 そんな自分でも甘いと思わなくもない考えを貫くことをこの世界における自らの存在意義だと決めたからだ。

 本来この世界に居るはずのない僕がここに居る意味を、自分自身でそう定めたからだ。

 綺麗事で万人が手を取り合い、平和が生まれる世界なんてない。

 そんなのはどこだって同じ。

 国が、種族が、信ずる物が、欲する物が、価値観が、思い描く安寧や平和の形が、違えば争いは生まれ、それを繰り返すことこそが歴史であり発展のきっかけとなることも重々承知している。

 だけどそれでも。

 世界平和をもたらすなんてことも、世の中から争いを無くすことも、一個人で出来るはずもないと理解した上で僕の周りに居る人達や僕を頼ろうとする人、僕を必要としてくれる人、僕を守ってくれる、助けてくれる人のために頑張るし、最後まで諦めない。

 己に課したその誓いだけは破らないと、決めて僕は今もここに立っている。

 のだが、言ってしまえばクロンヴァールさんを含め現実主義な方々にはあまり理解も賛同もしてもらえないのが悲しいところだ。

 僕の周りに居る人達はほとんど無条件で味方してくれるけど、まあ世の中そこまで平和ボケした人間ばかりじゃないということなのだろう。

 まさにそういった理由からか、瞬時に物申してきたのはエーデルバッハさんである。

「何でしょう」

「標的は天帝だけに留める、と?」

「可能な限り、と説明したと思いますが」

「何を温いことを。奴等はこの地上全てを消し飛ばそうとしたのだぞ、こちらがそんな日和った方針を掲げたところで敵が付き合ってくれるはずがない。問答無用で我々を排除しようとするだろう、その時に迎え撃つという選択を第一に持ってこれぬ輩が戦場で生き残れるものか」

「戦うなと言っているわけではありません。最終的にそうなるにしても、対面するなり殺し合おうというのは軽挙だと言っているんです。どちらかが仕掛ければ止まらなくなる、そうなる前に対話一つ挟むだけで他の方法が見つかるかもしれない。相手も望まぬ戦いを強いられている可能性だって無いとは言い切れない。そんな中で問答無用で殺し合ったところで踊らされた僕達を笑っているのは首謀者達だけでしょう」

「戯けた言い分だ。命令されてやっただけです、などという理屈であの騒動の責任を逃れられるとでも思っているのか?」

「ではその仕返しに片っ端から殺して回るんですか? そんなことをしたって負の連鎖は終わらない。当然の報いだと向かって来る敵全てを殺したとしても、いつかその恨みを晴らすためにとまた同じことが起きる。それでは永遠に報復合戦が終わらないじゃないですか」

「だから天帝一人殺せば済む話だと?」

「そこまでは言いません。ただ天界の勢力だって喜んで戦争をしたい人ばかりじゃないかもしれない、話が通じる人だっているかもしれない。ましてや臣民の全てが、複数いるという神の全てが賛同してのことだとは限らない。自分達を殺そうと向かって来る敵のことまで助けてやれとは言いません。だけど、そうしなくて済む余地があるなら頭には入れておくべきだと考えているだけです」

「絵空事を……」

「そうでもありませんよエーデルバッハ様」

 鋭い目付きに射抜かれて内心ドキドキの中でも主張を通すべく堂々としたふりをし続ける僕であったが、どうにも納得を得ることは難しいらしくエーデルバッハさんはより目に見える不満さを増している。

 そこで割って入ったのはナディアだった。

「……何を仰いたいのです」

「神の中にも地上との争い、ひいては天帝の方針への反対派はおります。もっと言えば現状七人いる神の中にも天帝に従順な者とそうでない者が確かに存在するのです。事実抗争思想が強い天帝に与する神も複数おりますが、賛成も反対もしない中立を貫く方もいれば明確に反対する神も、それどころか実際に付き合っていられないと神の座を降りた方さえも。つまりは間違っても全ての神がわたくし達を外敵と見なして襲い来るという状況にはなりません。そこに双方が歩み寄り、争いを終わらせる道がある。頂点に立ち、全ての絵図を描いた天帝さえ討てば双方に未来があるのです」

「…………」

 今語られたナディアにしか知り得ない情報は、なるほど確かに感情ではなく理屈の部分で僕の主張への正当性を訴えるには十分な中身だった。

 ゆえに返す言葉がすぐには出てこなかったのか、エーデルバッハさんは顔を顰めるだけで口を開けずにいる。

 それでも大層不服そうではあるのだが……この国に生きてきて、世界の多くから敵対的な目を向けられる中で戦うことをも役割の一部としてた彼女からすると逆に感情の部分で納得するのが難しいのかもしれない。

 戦争とは、抗争とはそういうものじゃないだろう。まるでそう思っているかの様に。

「これをわたくし達の方針、方向性として念頭に置く形にしようと考えているのですが、皆さんはどう思われますか?」

 次いで、ナディアは全体を見渡した。

 別に多数決で決まったりはしないだろうが、とはいえ過半数が否定派という状況で旅をしてもどこかで内輪揉めが起きたり足の引っ張り合いが生まれる可能性を考慮するとむしろ戦力ダウンになってしまうことだってある。

 それをさせないために身分や立場、肩書があって、女王であるナディアや指揮官みたいな立場になった僕がいるので普通はそういうこともないんだろうけど、とりわけ別の国の人達というだけあってどれだけの強制力がそこにあるのかは何とも不透明なのだ。

 といっても……その抑止力がレイラなのだろうし、そうでなくとも命懸けの戦いに挑む中で『気に入らないから従わない』だとか『私は私の好きな様にやる』なんて言い分が生まれるなんてことはさすがに無いと信じたい。

 サミュエルさんというまさに今の例えそのままの人がいたので、ぞんなことはあり得ないとはっきり言えないのが悲しいところなのだけど。

「別にいいんじゃねえの? リーダーは女王様とそこの兄ちゃんだ、余計な喧嘩はすんなってだけでどのみち向かって来る連中をぶっ潰して進むことに違いはないんだしさ」

 まず最初に同意なのか譲歩なのかの意思を口にしたのは僕達と共に並んでいるキースさんだった。

 すぐに他の守護星二人も同調する。

「私もどっちでもいいよ~。別に戦闘好きでも何でもないし、どうせ長旅になるならちょっとでも楽な方がいいじゃん? みたいな?」

 真剣な状態を見た記憶が無いノワールさんはイメージのまますんごい軽いノリで、むしろ本当に大した問題ではないと思っていそうな感じである。

 その横ではシロ……と今でも呼んでいいのかは不明だけど、眼帯の子が二度コクリと頷いていた。

 こちらは言うまでもないのかもしれないけど、ユノ一家に反対する者は当然いない。

「無論ですが、私は天子様とご主人様の御意に従います」

「ていうか、そもそも決めるのは姫と弟なんだぞ。ごちゃごちゃ文句言うならお前は留守番してろっ」

「何だとクソガキが……」

「お前に言われたくないもんねーだ」

「余程痛い目に遭いたいらしいな」

 またしても睨み合う二人。

 ほんとに水と油だな……お互いが『生意気』だとか『偉そう』という理由から何となく気に入らない、みたいな感じであるだけに基本喧嘩腰になるから解消の望みも薄そうだし。

「ハイハイ、二人ともその辺にしておきなさいよ。これから共に旅に出て、共に戦うことになるんだから」

 ウェハスールさんがエルの肩を掴んで抑え、レイラが手でエーデルバッハさんに制止を訴えたことで双方が詰め寄ろうとする動きが止まる。

 その瞬間を狙いすましたかの様にマクネア王がパンパンと手を叩き、張り詰めつつあった空気を暢気な声で打ち消した。

「キースちゃんの言う通り、決めるのはコウヘイ君とマリアーニ王だ。どうあれ天帝を討つという目的がある以上どこかに必ず避けられない戦闘はある。何も戦うなと言っているわけじゃなく、敵とそうじゃない者を見定める必要性と利点を説いているだけなんだから。そうだろうコウヘイ君」

「平たく言えば、そうなるかと」

「ね、ここは納得しておきなよ。キャミィちゃんの面目もあるんだしさ」

「ちっ、いいだろう。隊長の顔を立て、今は引き下がってやる」

「よし、これで話は一段落だ。本来ならば歓待の宴でも開くべきなんだろうけど、そんな時間も無い。それは帰ってからにするとしよう、そろそろ出立しないと向こうで中途半端に日暮れを迎えちゃ大変だ」

「そうですね、それではすぐに天門へと向かうことにしましょう。王子も構いませんか?」

「ええ、勿論」

「ああちなみに、あのおっかない女王様が居るから僕は見送りなんて行かないよ? あとはよろしくね」

「ふん、腑抜けた王め」

「おおう、酷い言われ様だね。とっくに慣れっこだけどさ」

 結構な暴言だった様に思えるけど、マクネア王はおちゃらけた顔で肩を竦めるだけで特に気を悪くした風でもない。

 ここの主従関係も中々に謎が多いものだ。

 単にエーデルバッハさんが誰にでもそうだという可能性もあるけど、キースさんも普通に『おっさん』とか言ってるしなぁ。

 そりゃ忠誠心を集められるタイプではないのは見ての通りなんだろうけども。

「というわけだコウヘイ君。少々手を焼くだろうけど、うちの四人のことよろしく頼むよ」

「全員で無事に帰るために、出来る全てを」

「期待しているよ」

 一礼と共に背を向ける僕に掛けられた最後の言葉。

 無気力な態度を見せてはいてもやっぱり悪い人ではないんだろうなと、そんなことを思いながら皆に続いて玉座の間を後にした。



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