フリュートレーネは春を連れ、10
attention
・この話は、本好きの下剋上の二次創作です。
・作者の独断で書き散らされており、読んだ後のクレームは受け付けません。自己責任でお願いします。
・以前の作品である『フェアドレーオスが燼滅す。』の後日談的な作品なので、まだの方はそちらを先にご覧頂くことをお勧めします。
・フェルディナンドを中心としたエーレンフェストに厳しめな作品となっております。
・コルネリウスとレオノーレにも厳しめな作品となっております。
・王族勢にも厳しい作品です。
・フェルディナンドとローゼマインが心から結ばれる可能性はゼロにございます。
・細かい矛盾や人物などへの解釈違い等はスルー検定でお願いします。
・誤字脱字もスルー検定でお願いします。
・こまけぇ事ぁいいんだよ!という歴戦猛者の兵な紳士淑女の皆様のみお読み下さい。
・考えるな!感じろ!
以上を踏まえて、お楽しみ下さい。
アレキサンドリアのアウブ・ローゼマインに仕える側近たるクラリッサは、夫ともども自他共に認める主の信奉者である。
家族友人や同僚など、それ以外の存在がどうでも良いというわけでは決してないが、優先順位としても過去現在そして未来も、堂々の第一位がローゼマインである事は変わりがない。
自分のことをきちんと大切にしてくれている夫がいる今でも、比べるまでもなくローゼマインのほうが大切だ………それを口にしてしまえばローゼマインは少なからず悲しむだろうから、口にしないだけで。
もっともそれは、夫であるハルトムートにも同じことが言える。
有事の際には自分よりもローゼマインを選んでくれると信頼している。
これでもし夫が『ローゼマイン様よりもクラリッサのほうが大切だ』とでもほざくような凡愚なら即刻夫婦関係の解消に乗り出すところであるが、幸いにして夫は聡明で、自分と同等かもしくはそれ以上にローゼマインの素晴らしさを理解出来る稀有な存在なのは喜ばしい限りだ。
仕える主はこれ以上望むべくもない至高の存在であり、
夫はその主に共に侍るに足るだけの有能な側近であり、
戦友である同僚たちの中には二心を抱く不埒者ももういない。
飛ぶ鳥を落とす勢いのアレキサンドリアの本拠地たる城の一室。
クラリッサは主が以前発表した楽曲を口ずさむほどに上機嫌だった。
さて、常になく喜色を露にするクラリッサには、それなりの理由がある。
その理由とは、以前より格段に改善されていく主であるローゼマインの環境改善に他ならない。
以前までの主の苦境を思えば自然と眉が寄せられそうになるが、それを表に出して他者に悟られるような愚を犯してしまえば側近として主の質を落としてしまうし、何よりも主の心労の元となる。
ゆえに鉄の自制心で極力表には出さないようにはしていたが、それでも主はこちらの心を慮り何度も労ってくださった。
『耐えられるという事と、なんの負担にも感じていないという事は別物なのですよクラリッサ』
そう言っては、自分こそが最も辛い立場だというのに自分よりも側近や専属をはじめとする下々の者ばかりを労るローゼマイン。
主に気遣われるのが嬉しくもあり不甲斐なくもあったが、それよりも勝ったのは己を苛立たせ大切な主に負担をかける有象無象たちへの憤りだった。
どこに出しても傍から見れば恥ずかしいが本人は恥じ入るつもりは毛頭無い主馬鹿たるクラリッサではあるが、主の持つ優しさが時として彼女の弱点になりうるのも理解している。
皮肉なことに、主に最も助けられただろう者たちこそがこぞって主を食い物にしようとしていたのには何度も憤懣遣る方無い思いを抱いていた。
主を本人が望まぬ領主一族に取り込んでおきながら、幾度も受けた恩恵を無視して終始問題児扱いしていたジルヴェスター(領主一族)。
王族問題に巻き込んでおきながら、ここぞとばかりに主に謂れのない負担ばかりを強いて楽をし続けようとしたエグランティーヌ(王族たち)。
ローゼマインの足元にも及ばぬくせに、ローゼマインの隣が自分の居場所よと嘯く身の程知らずな無能ども(アウブ配立候補者)。
その中でも最も罪深いのはジギスヴァルトで、ローゼマインの隣に自分が赴くのではなく、ローゼマインをあわよくばアウブの座から引きずり下ろし、未だに自らの領地のアウブ配に据えようと虎視眈々と蠢いているのだとか。
『現在のエーレンフェストの領地順位と王族へのローゼマインの貢献、更には女神の化身という付加価値を加味すれば、この私の第一夫人の座を与えるのも吝かではありません。
元中位の末席領地の、たかが上級貴族のしかも第三夫人から生まれた子からすればこれ以上望むべくもなく過ぎたる栄誉でしょうに。
一体なにを勿体ぶっているのやら。
ああ、もしやこちらから更なる利でも引き出したいのでしょうか?』
………この報告を受けたハルトムートともども耳にしたクラリッサの目の前に、幸運にも、不運にも、前述の寝言をほざいた張本人は居合わせなかった。
幸運にも忠臣二人の目の前にいなかった事で生きたまま引き裂かれる結末から逃れた愚か者は、不運にもその報告がローゼマインの耳に入らなかったことで歯止め役不在となり、その事により二人から事の次第を聞いたその他の側近からも憎悪を向けられ更におぞましい末路を辿る可能性がある未来が約束された。
余談だが、かの報告をあげたハルトムート直属の情報担当の男は、二人に報告をあげる前にある決断をした。
ジギスヴァルトの動向を知るのが目的だと理解していた男は、主への報告を少しばかり削っていたのである―――ジギスヴァルトは前述のことを述べつつやれやれと苦笑し、『下位に属する中でもひときわかの者は身の程を弁えていませんね全く、下々の卑しい考えは高貴なる私では理解出来ようはずもありませんが』などと追加で火に油どころか爆弾を投げ込むような物言いをしていましたよ、という事実を省いたのである。
彼のその決断は、上司二人の他の領地殴り込みを阻止するという貢献をしたのだが、それを知る者は残念ながらいない。
ジギスヴァルトは救いがたい愚か者だが、あそこまで自分本位に生きられればさぞかし生きているのが楽しかろう。
幸せそうで大変結構なことである。その泥をローゼマインや自分たちに被せようとするのでなければ、勝手にやっていろと思うだけなのだが………。
閑話休題。
ジギスヴァルトをはじめとしたその他有象無象の腹立たしき存在は数多く存在していたが、あの手の有象無象は吐いて捨てるほど湧いて出てくる。
掃溜めに白く清浄な花が咲けばより一層その美しさが際立つように、汚泥に塗れた王族貴族に囲まれても、ローゼマインの根本的な強さ(甘さ)は変わらない。
有能に生まれたからにはある程度は周囲に蟲が湧くのは致し方ない事だが、その中でもハルトムートやクラリッサをはじめとする側近たちの多くが根底で憎悪する存在がいた。
その存在が、主を今この瞬間も利用して恥じないフェルディナンド。
認めたくはないが、主の―――第一夫である。
ローゼマインに教育を施して体調管理をしていたのが必要なことだったのは認めるが、それを差し引いても負に反転させてしまうほどに彼のやらかしはひどかった。
彼の傲慢や矛盾点を主本人に指摘しようと何度も喉元まで出かけたが、下手に言ってしまえば自分こそが主の不興を買ってしまうかもしれない。
罰を与えられるだけならまだ良いが、最も懼れるのは主に見放されて解任されてしまう事だった。
ある意味では神に等しき無二の主に見捨てられる………それは、想像するだけでも心胆を寒からしめるものがある。
それでも、本当に主を思うのならば言うべきだったとクラリッサは今でも後悔しているーーー例え自分たちがどうされようとも、主に進言すべきではなかったのかと。
もっとも目が醒める前のローゼマインにそれを指摘したとて、理解して貰えたかと問われれば分の悪い賭けだったと言わざるをえないのだが。
当時のローゼマインには、心の支えとなり得る存在がフェルディナンド以外にいなかった。
無論彼女を支えるための自分たち側近や専属をはじめ、貴族内にもハンネローレらなどの好意的な存在もいるにはいた。
しかし、側近達はあくまで部下で主の下の立場で『主に仕える立場』であり、支えはおろか少しも寄り掛かれる存在には到底なりえない。
貴族内にいる友人知人も悲しいかな『身内』とは言えず、最優先とするのは各々の自領の利益であるから十全の味方にはほど遠い。
―――そんな中で、唯一の支えだと思われていたフェルディナンドが獅子身中の虫であるとローゼマインが自覚してしまったら、果たして彼女は正気でいられただろうか。
主を思えばこそ、主を思うあまりに救うための手段を取れない。
すべき事は分かっていたが、当時の心ある側近たちは手をこまねいていた。
だがそんな中、カーオスフリーエの救いの手がついにローゼマインに差し伸べられたのか、突如として彼女は目覚めに至る。
目覚めてからの彼女の動きは、シュタイフェリーゼのごとく迅速かつ正確だった。
まずは獅子身中の虫であるフェルディナンドと壁を作る事に成功し、主を主として扱っていたとは言い難いコルネリウス夫妻(側近モドキども)の駆除に成功する。
コルネリウス夫妻の裏切りを主は想定していたようで、その辺りのやり取りでほんの少し夫であるハルトムートともども心の臓が縮みあがったが、後顧の憂いを絶つためと思えば最善だったと言えよう。
それにより確実に図に乗っていた者どもの焦燥感を煽るのと同時にエーレンフェストの領主一族と距離を置き、かねてより頭痛の種だったジルヴェスターを廃棄できたのも嬉しい誤算だ。
養女時代のローゼマインを使い潰そうとしたのに味を占めて、アレキサンドリアの子々孫々に至るまで甘露をしゃぶり尽くそうとしたエーレンフェスト。
ジルヴェスターがもし今もなお生きていたとしたら、間違いなくアレキサンドリアとローゼマインにとって害悪にしかならない存在であり続けただろう。
「愚かなこと………程々で満足しておけば階段を昇ることも無かったでしょうに」
主を食い物にされるのは、前述のとおり側近にとっても腸が煮えくり返る思いだ。
だが以前ローゼマインが言っていた『有名税』という言葉が脳裏をよぎり、爆発しかけていた自分たちをはっとさせた。
有名であることで生じる一定の義務を課せられるのであれば、有能であることで課せられる『有能税』もあるのだろう、と考えを改めたのだ。
よくよく考えると、目障りではあるがジルヴェスターは狡猾ではなく処分しようと思えばいつでも処分できる存在だ。
ゆえにアレキサンドリア領設立とともに手を引いておけば、『痛い勉強代ではあったな』と思いながらもジルヴェスターを見逃してやる可能性もあった。
だが、アレはつくづく愚かであった。
アレはアレキサンドリア領設立後もこちらに手を伸ばし続け、ローゼマインだけに飽き足らずフェルディナンドをはじめとするエーレンフェスト出身の者たちにも手を伸ばしてきた。
無知と傲慢の織り成すその所業は何度もアレキサンドリアのアウブ主従に煮え湯を飲ませてきたが、ジルヴェスターの処分と同時にエーレンフェストとの断絶に踏み切れたのはアレの愚かさのお陰でもある。
ジルヴェスターの死地において繰り広げられた不敬な言動の数々を口実に、エーレンフェストの領主一族とのほぼ縁切りに成功したのだ。
これまでの不運をドレッファングーアが鑑みて、何かしらの加護を授けてくれたように思えてならない。
善きことは更に続き、ローゼマインの前に第二夫が現れたのも僥倖だった。
二人の関係性の詳細は杳として知れないが、それが信頼に値するものであるのは感じ取れる。
第二夫は、決してローゼマインから搾取しようとはしなかった。
最初こそ側近たちは彼を警戒したが、彼は側近たちの態度に不服を漏らすようなことはしなかった。
側近たちの度重なる、一歩間違えば彼に対し不敬と取られかねない『試し行為』も甘んじて受け入れ、一度も咎めだてもせず、ローゼマインに縋ろうともしなかった―――後になってから、第二夫はローゼマインからの取り成しの申し出をあえて辞退したと聞く。
フェルディナンドがしたように、側近に不満があるのならその主たるローゼマインに言えば良かったものを。
それにより主に部下の不手際の責任を取らせたり、その側近に攻撃を加えるなりそれを足掛かりにローゼマインに対して有利な交渉も出来たはずだが、彼はそれを一切しようとはしなかった。
一度、ハルトムートが彼にその理由を聞いたことがある。
彼の答えは以下の通りであった。
「其方たちの言動に一筋でも私欲が混じっていれば、それなりの措置を取らせて貰うつもりだった。
だがどんなに耳をすませても、其方たちから発せられるのは主のための言動でしかない。
主と側近という立場に分かたれていようとも、其方らは紛れも無くローゼマイン様の戦友だ―――ならば、彼女と添い遂げる者として疑われようとも必要な確認行為だと受け入れたまでのこと。
其方らが私を疑うのは、ローゼマイン様の来歴からするにやってしかるべき必要最低限の用心だ。
こちらに探られて痛い腹は無いので、其方らが私を信用に足ると判断出来るまで疑って貰って構わぬ。
―――疑って、疑って、疑う余地がなくなって、いつかローゼマイン様を共に守る仲間だと認めて貰えると嬉しいがな」
照れたように笑った彼は、今に至るまでローゼマインを裏切るどころか彼女を献身的に支え続けている。
彼自身の貢献度もさることながら、目を見張るのは彼の周囲の素晴らしさだ。
アレキサンドリアでの貴族や技術者からなる協力者の大半が、彼からの力添えが少なからずあってのものと後々発覚した時には仰天した………彼はそんな事は一言も言わなかったのに。 初手でその札を自分たちに明かしておけば、もっと彼への疑いや追及は和らぎ優位に立てたはずなのに、彼はあえてそれをしなかったのだ。
彼の魔力はローゼマインに劣り、個としての能力もフェルディナンドには及ばぬ。
だが必要な時に必要な人材を配置し、それを使いこなすことに長けていた。
アレキサンドリアという彼の出身領地にいるからこその有利と事情を知らぬ者は謗るだろうが、そういった愚か者は、あの(・・)旧アーレンスバッハでこれだけの人材を失わず守り抜いた彼の手腕と先見の明こそが彼の最大の武器であるとは一生気付くまい。
そしてある時、彼とフェルディナンドの決定的な差に気付いてしまう。
彼は、己になんの利も無くとも、例えローゼマインの好意を得られずともローゼマインのために動ける人物なのだと。
今までローゼマインを望んできた男たちは、第一に自身の望みがあった。
フェルディナンドさえも例にもれず、『ローゼマインに愛されたい』という見返りが目的だったように思う。
彼なりにローゼマインを思ってはいたのだろうが、それはフェルディナンド自身とその兄という彼の中での絶対的な優先順位を覆すには至らなかった。
フェルディナンドを真実思いやっていたのはローゼマインだと理解はしていたようで、ジルヴェスターに『エーレンフェストに戻れ』と言われても戻らなかったのは評価してもいい………と当時は思っていたのだが、よくよく考えてみればその時の自分たちもだいぶ毒されていたと言える。
第一、フェルディナンドがローゼマインの元に残ったから?
だから何だというのだ?
上位領地のアウブの唯一のアウブ配を下位の者が目の前で奪い去ろうなど、本来のアレキサンドリアとエーレンフェストの順位差を考えればあり得ぬほどの非礼である。
その非礼にいの一番に怒るべきだったのは、他でもないアウブ配たるフェルディナンドのはずだった。
いかに出身領地であり元家族であろうとも、そこで愚か者と袂を分かちアウブへの忠誠を示すべきであっただろうに。 そうすれば彼の覚悟を自分を含む側近たちは多少なりとも評価出来たはずだ。
だが彼はそれをするどころか、曖昧に否定するばかりで決定打を打とうとはしなかった。
それほど不誠実な態度を取り続けたフェルディナンドだが、いざローゼマインから別離の可能性を示されたのは余程堪えたらしく、その後は内心はどうあれ主に物申す様子もない。
(それだけ執着するのであれば、最初から誠意を示しておけばいいものを)
ローゼマインが公私ともに素晴らしく得難い至高の存在であるのは当然であるが、掌をくるりと翻したフェルディナンドの態度にクラリッサは長らく疑問を感じていた。
―――その疑問は、後日開かれた『慰労会』にて明らかにされる。
―――そしてローゼマインが開催する慰労会当日。
晴れ渡る青空に引き立つように、典雅でいて風情のある外観と調度品で統一された上流階級御用達の食事処。
慰労会の当日、クラリッサは盃を片手に会場をそれとなく見渡していた。
前回の招集の時とは違った趣きではあるが、ローゼマインが手配した宴会場はこれまた素晴らしいものだった。
主の側近となってから舌がだいぶ肥えた自覚はあったが、今回齎された美味の数々はその舌が予想していたものを遥かに超える逸品ばかり。
立食式の会場には点在するテーブルに所狭しと皿が卓の余白を埋めており、下品でない程度に敷き詰められ調和されていたそれらは、このアレキサンドリアが誇る新鮮な魚介を主とした目と口を楽しませてくれる料理たち。
少し離れた場所には給仕とともに種類豊富な酒精入りの飲み物や茶が、今か今かと招待客の舌を唸らせようと待ちかねている。
先日開かれた疑似慰労会も十分に身に余る幸せであったが、ここまでくるともういっそ『ローゼマイン様は我らをどうなさりたいのですか!?』と問い詰めたくもなる。
不敬にあたるので実行はしないが。
今日この日が設けられたのは他でもない、主たるローゼマインからの労いが発端である。
先日の疑似慰労会での会話に出ていた『またいずれ慰労会を』という言葉を、クラリッサたちの主は覚えており本当に執り行ってくれたのだ。
多種多様な料理と共に届けられた、主が料理人と相談の上で差し入れてくれた軽い、しかし上物の酒精入りの飲み物を揺らしながら主の慈悲深さに感涙しそうになっていると、一人の同僚の姿が目についた。
残念ならが、それは夫たるハルトムートではなかったが。
今日ここにハルトムートはいない………今頃は自分の分までローゼマインのために張り切って職務を全うしてくれている事だろう。
慈悲深い主は「折角の夫婦なのだし、この機会に共に」と言って、このアレキサンドリアで最も尊く貢献しているはずのローゼマイン本人はそもそも慰労会に出ないのに、クラリッサ夫婦を二回に分けて開かれる慰労会のどちらかに揃って組み入れようとしてくれていた。
不測の事態に備えて全員で一気に慰労会を設けることは無理だとローゼマインは諦めてはくれたが、それでも最大限の思いやりでハルトムートとクラリッサを一緒の日に労おうと提案をしてくる。
主の優しさを無碍にするのは非常に心苦しかったが、その上で自分と夫のどちらとも主の傍に控えられない憂いと苦痛はその心苦しさを上回った。
困り顔のローゼマインを夫と二人がかりでなんとか説得した結果として、本日一回目の慰労会に参加となったクラリッサの隣に、夫の姿は今は無い。
ここに夫たるハルトムートがいないのは寂しいものが無いではないが、最優先事項たるローゼマインの安全には変えられぬ。
気持ちを切り替え、ここは普段話をする機会がない面子と話をするのも良かろうと会場内の面々を見渡すと、渋い顔をしたフィリーネが目に留まった。
今はまだ側近内位ではあるが、上級貴族から下級貴族が垣根を取り払って和気藹々と談笑出来るのはこのアレキサンドリアならではだろう。
ローゼマインからの酒類やらの差し入れはあったが、嬉々として深酒をするような愚か者はいない。
それを見越した上での差し入れに含まれていた酒精無しの盃を揺らしながら、フィリーネは物思いにふけっていた。
「こちら宜しいですか、フィリーネ」
「………あぁ、クラリッサですか、どうぞ」
声をかけられて一瞬驚くものの、信頼する側近仲間であることを確認したフィリーネはほっと肩で息をついた。
「以前の付き添いで、あなたはエーレンフェストの前アウブの末路を目にしたと聞きました。
………やはり文官たるあなたには衝撃が大きかったでしょうか?」
「………いえ、それ自体に衝撃を受けたわけでは無いのです」
どこか沈んで見えた理由にあたりをつけるも、少しばかり外れていたらしい。
「ローゼマイン様がいかに蔑ろにされていたのかを再確認し、口惜しさを感じていただけです。
そしてそれを止められなかった自らの不甲斐なさにも」
「と、いいますと?」
「わたくしの実家のことはご存じですか」
「………ええ、一応は」
突然会話が飛んだことに驚きつつも、何かしらの意図があるのだろうとクラリッサは相槌を打つ。
フィリーネはエーレンフェストでは下級貴族に属していおり、その家では日常的な虐待が行われていたらしい。
はじめは虐待よりもやや大人しめの冷遇止まりだったようだが、日を追うごとにその苛烈さを増し、しまいには命に係わるような子供用の魔術具を取り上げられるまでに至ったのだとか。
一応耳にはしているものの、それに付随するローゼマインの慈悲深さや機転の速さのほうが記憶に鮮明に残っており、フィリーネには申し訳ないが、当事者たちのことは気の毒には思うもののそれ以上の感情を抱くに至らなかった。
「先日、エーレンフェストの元父親からの陳情が手元に届きまして」
「まぁ」
「『色々と不幸な行き違いはあったが、我が家の危機はもう去ったので、今後はあるべき家族の姿に戻ろうではないか』とのたまっておりました」
「………こう言ってはなんですが、シュラートラウムの御加護が随分と篤くていらっしゃるのですね。
それは腹立たしいことですが………それはそうとローゼマイン様の冷遇とどのような因果関係があるのです?」
いまいち要領を得ないクラリッサに苦笑し、フィリーネは続ける。
「アレの様子を見るに、元父は自分の依怙贔屓が後妻を増長させた自覚も無ければ、夫としての自分を優先して実子をみすみす妻に殺されかけ………親として我が子を見捨てた自覚をしていないのだな、と空しくなったのですよ。
そういった心情が溢れ出る手紙を読んでいたのですが、ふいに思ったのです。
『まるでフェルディナンド様たちのようだ』と」
「フェルディナンド様たち………?」
「元父や元継母からの謝罪が来たのは、全てが終わって取り返しがつかなくなった後なのです。
自分たちの望みを何一つとて譲らず、その為にわたくしたちを散々苦しめた後で、『そんなつもりは無かった』『良かれと思って』『こんな事になるならば』などとね。
わたくしと弟は何度も、それこそ何度も当時の前後に問題を訴えていたにも関わらず。
そして既視感を覚えたのですよ―――その都度自分たちの都合を曲げずにローゼマイン様に押し付け、自分の望みを譲るという発想すら持ち合わせぬくせに、事が終わったあとであれやこれやと責任転嫁の言い訳や叱責を重ねる彼らを見て、まるでエーレンフェストでフェルディナンド様たちがローゼマイン様にとっていた態度のようだ、と」
事後報告とは、場合にもよるが相手を最大限に軽視した行為にもなる。
それでいてそういった行為を何度も起こす者は、後先の始末を自分がするなど考えてはいない。 自分がことの発端のくせに当事者意識もなく責任感も無いので、尻ぬぐいをさも『これはお前の仕事だ』と言わんばかりに平然とこちらに押し付けてくる。
自分で始末をしないものだから身に染みず反省なぞするはずもなく、幾度となく繰り返される問題行動。
一度ならばまだしも、何度もされれば誰でも嫌気がさすだろうに。
「以前ローゼマイン様が仰っていたのですが」
「ローゼマイン様が!!」
主の名前を聞いた途端にキラリと輝いた瞳に苦笑し、フィリーネはゆっくりと語りだす。
「ユルゲンシュミットの貴族の多くが腐敗していますが、その中でもエーレンフェストの腐敗は群を抜いていると」
「ええ、確かに」
ダンケルフェルガー出身たるクラリッサは、弱肉強食の実力主義な風潮が強い環境で育ってきた。
謀り事が出来ぬわけではないが、好んで行う者は矮小よと軽視される傾向の強い領地出身だ。
所詮は弱小よとエーレンフェストを軽く見ることはあっても、嫌悪感を抱くまでとは思わなかった―――ローゼマインの元に至るまでは。
どちらかといえば外様から出発したクラリッサは、度々『どうして自分はエーレンフェストに生を受けなかったのだろう』と己の不運を嘆くことすらあったが、結果的には今の生まれで良かったのかもしれない。
ローゼマインに出会えればどこの生まれであろうと必ず馳せ参じたという自負はあるが、もしも最初からエーレンフェストに生まれてしまっていたなら。
ライゼガング派の家に生まれていれば両親ともども家を乗っ取られた挙句にその命を散らしていたかもしれない。
旧ヴェローニカ派に属していたとしても、いつヴェローニカとその取り巻きどもの不興を買って階段を登らされていたのかも分からないのだ。
どちらの派閥に属していたとしても、他の領地に生まれていた………下手をすれば負け組領地に生まれていたほうがまだマシだった可能性すらあるほど、かつてのエーレンフェストの惨状は目を覆わんばかりであった。
権力抗争が激しく、上の身分ならば常時狙われ、中下の貴族であれば身を守る術もなく乗っ取りや捨て駒にされて殺されかねないかつてのエーレンフェストの状況は、その当時を実際に目にしたわけでもないクラリッサから見ても心胆を寒からしめる。
もっとも、そんな地獄のような中で生き抜き、己だけでなく部下や専属さえも守り切ったローゼマインの素晴らしさを思うたびに凍り付いた恐怖が蕩かされ、狂信にも似た熱気がかえって身体を熱くする。
主に守られているという温もりを伴った実感は、他領の出身である自分よりもフィリーネのほうが強かろう。
あまつさえフィリーネは、実の親からも与えられなかった庇護を主から与えられたのだから。
それは自身だけでなく弟も守らねばならず孤軍奮闘していたフィリーネにとってどれだけ救いの光となっただろうか。
「貴族としてのある程度の謀り事は仕方のない事ですし、嗜みでもあります。
けれどまさか………」
「まさか?」
「心根どころか記憶力まで腐れているとは思いもしませんでした。
それと同時に確信しました。
わたくしや弟に対するあの冷遇は、ほんっとうに何も考えていなかっただけなんだろうと。
弟を間接的に殺そうとしておきながら、今更ローゼマイン様への口利きやアレキサンドリアからあわよくば利を掠めようとする愚かぶりですもの。
もっとアレらが知恵者であれば、上位アウブに庇護されているかつての虐げた子供に陳情し、怒りをかおうなどと思いつきもしません。
―――そんな計算が出来ない愚かな元父親だからこそ、今更繋がりを持とうと働きかけてきたのでしょうが」
かつて親に切り捨てられた事実をそうやって自らも切り捨てると、その当時に思ったことを続ける。
より鮮明に思い出そうと伏せられた彼女の睫毛を、クラリッサは邪魔をしないよう静かに見守った。
「当初、わたくしはフェルディナンド様がなにを考えてあのような態度を取られているのか、分かりかねた部分がありました」
「………フェルディナンド様が、ですか? エーレンフェストの領主一族ではなく?」
無論今に至ってはクラリッサはフェルディナンドを信用してはいないが、それでもエーレンフェストより真っ先ににフェルディナンドの名前が槍玉に挙がったのを意外に感じた。
こういう時に槍玉にあげられるのは、大抵は前アウブのジルヴェスターやその劣化複製品であるヴィルフリートだからだ。
「あの自業自得の代名詞どものことは、業腹ですが底が知れています。
ローゼマイン様への畏敬の念も感謝も持ち合わせていない下衆、先のことを見越せずその場限りの感情や自己利益にしか目が向かわぬ凡愚ども。
苛立ちを覚えた事はあれど、いつまでも恨むことはありません。 そんな価値は彼ら(アレら)にはありません。
周囲を飛び回る五月蠅い羽虫のことなぞ、本気で怒ってみても仕方が無いでしょう?
―――所詮は虫ですもの、虫相手に人の道理を説いたところで無駄ですわ」
他の領地の腐っても領主一族をして人どころか羽虫扱いをするフィリーネの涼やかな眼差しには捕らえたものを凍らせんばかりだったが、それを咎めぬクラリッサはさも当然とばかりに頷いて聞き流す。
―――主たるローゼマインの障害に対し、ローゼマインの側近たちが語る歯に着せる絹も麻も持ち合わせてはいない。
他の領地であれば、フィリーネは主の寵を競う相手としてクラリッサに密告され、いずれ叩き落されていた危険もあっただろうに。
その懸念を双方微塵も抱かぬあたり、エーレンフェストとはまた別の意味でアレキサンドリアは飛び抜けていた。
「以前のわたくしはローゼマイン様へのフェルディナンド様の態度の意味がよく分かっていなかったのです。
統合性が取れていないように見受けられまして。
あの領主一族とは違って、フェルディナンド様はローゼマイン様に教育を施していらっしゃいましたし。
………主の師である方が愚かであるはずがない、という願望交じりの先入観もあったのでしょうね」
「それは仕方がありませんわ。 あの時の貴女達の立場からすれば、大切な主を守り得る存在が愚か者だなんて思いたくも無かったでしょう。
………わたくしも、進言出来なかった一人ですし………」
かつての自らの体たらくに苦いものをおぼえつつ、クラリッサは過去を振り返る。
そんなクラリッサとは対照的に、フィリーネの本題はもっと深くフェルディナンドの深層を捉えていた。
「あの策略家であるフェルディナンド様が、ローゼマイン様に対する態度を変えたと思った時には本当に驚きました。
けれど、よくよく考えてみればあの方の態度は終始一貫していたのかもしれません」
「………あれだけ態度を変えたのに、ですか。
なんでも押し付けてもいい相手から、全ての女神扱いへと大層な変わりようだと思っていましたが」
「いいえ、クラリッサ。
彼は一貫して変わっていません。
ローゼマイン様は依然として人間どころか道具扱いのままですよ。
よく思い返してみて下さい。
最初から最後まで、フェルディナンド様はローゼマイン様に肝心なものは一つとして譲っていません(・・・・・・・)。
―――依然として都合の良い道具扱いのままです」
本意でないにしろ、敬愛するローゼマイン様をそのように評されて反射的にフィリーネを威圧しそうになるのを堪えるのに、クラリッサは季節始まって以来の忍耐力を駆使した。
クラリッサが必死に堪えたのが分かったのだろう、同僚は申し訳無さそうに、それでも続ける。
例えこの話題を続けることでクラリッサの忍耐を焼き切り自分が彼女に威圧されたとしても、フィリーネはローゼマインのために目の前の女性の理解を得ようと話を続ける覚悟だった。
それが、エーレンフェストにいた頃から自分たちを守ってくれていた主に対して出来る奉公だと信じて。
「わたくしがフェルディナンド様の態度に得心がいったのは、前エーレンフェストのアウブからの度重なる陳情に対するフェルディナンド様を見てからでした。
あの身の程知らず(ジルヴェスター)は、ローゼマイン様を下に見た内弁慶外交を仕掛けてきて、そして何度もフェルディナンド様だけでなく側近や専属に至るまでエーレンフェストに戻させようと圧をかけてきました。
それに対するローゼマイン様は毅然とした態度を取って下さりましたが、ある時それを見るフェルディナンド様の目を見てしまったのです。………あれは、わたくしの知る最も嫌いな人種の目でした。
自分の欲求のために他者を利用し、自己愛に浸ることを悦びとした者の目です」
「目、ですか」
あのフェルディナンドがそんな隙を他者に見せたことを意外に思いつつ、クラリッサは続きを促す。
話の方向性の意外さから怒りを諫めてくれた同僚に感謝の眼差しを向けつつ頷き、フィリーネは自らの所感を告げた。
自らの『女』を使い、父に取り入ってフィリーネ達を犠牲にしようとした元継母に、フェルディナンドが見せた目の中の光が酷似していた事を。
「あの元継母は、思えばこちらの提案を悉く無視して下さいましたよ。
元継母と元父には散々子を授かる時期を考えろと言っていたのですがね。
まるで見せつけるようにこちらを苦境に立たせる選択をして下さいました。
………ああ、あえて見せつけていたのでしょうね、今思えば。
『前妻の子たるお前たちを犠牲にするほど、後妻の自分は愛されている』と。
………きっと、フェルディナンド様も同じお気持ちだったのかと、ジルヴェスター様に抗議するローゼマイン様を堪能する(・・・・)悦に入った視線を見て得心しました」
本当に、一瞬だけだったのだろう。
自分たちより年嵩で経験値も能力値も高いフェルディナンドが、本来であれば内心の陰を垣間見せるはずもない。
常であれば。
けれどあの時のフェルディナンドは、非常に不安定な状態でもあった。
アレキサンドリアに来た当初の望みが叶って有頂天になった頃か、もしくはローゼマインに己の性根を察知されて事実上の三行半を突き付けられた頃なのか、恐らくはそのどちらかの時期であろうが。
その心の隙あればこそ、そしてフェルディナンドにとっては運悪く、そういった心の機微に敏感なフィリーネがその場に居合わせた。
「ジルヴェスター様の満足のためにローゼマイン様を献上し使わせて、己はジルヴェスター様からの口だけの感謝を得て悦に入っていたフェルディナンド様。
そして今度は自分が必要とされ取り合われる悦に入るためにローゼマイン様の手を煩わせていたフェルディナンド様。
自己愛に浸るために道具扱いしていた点は変わっていないでしょう?」
「………確かに」
「全ての女神だと称するのであれば、それ相応の対応をしませんと。
自己愛自己満足自己都合のために光の女神を使おうとするなんて、闇の神どころか精々が命の神でしょう。
―――もっとも、命の神は土の女神に『死んで結構』とばかりの粗雑な扱いなんてしないでしょうし、一緒にするのは命の神にすら失礼かもしれませんが」
長年胸に留めていた事をようやく形にできた解放感に息を吐きつつ、フィリーネは手にした盃を煽る。
そうやって喉の渇きを潤してから、クラリッサに視線を戻した。
ようやく得られた答えに理解はしたようだが、それは主を敬愛する側近としては受け入れがたいものだった。
「そしてその結論に至るとともに、つい並行して想像してしまったのですよ………成人前の病弱な女性に全力で寄り掛かり、言葉で詰ったかと思えば気分次第でローゼマイン様に戯れに囁くフェルディナンド様を。
念のために是非とも貴女の所感もお聞かせ願いたいのですが、如何?」
言われてクラリッサも、ついつい想像の翼を広げてしまう。
そして優秀な頭脳を駆使して今までのフェルディナンドがしていたそれらしい言動を思い出してみる。
言い方を絹を何枚も重ねるかのごとく柔らかに包んでても、それはごくごく控えめに言っても………、
『さぁローゼマイン、領主一族(私と兄上)のために働くのだ』
『ふぅ………君を娶れるのは私位なのだぞ? 分かっているのか?』
『黙りなさい、このシュミルめ』
『大変結構、よくやった』
………などと時には恫喝し、時には好き勝手に貶しつつ、気が向いたら満足気に頷き、全力で縋り付いてくる成人をとっくに過ぎた健康な男性に対する感想は。
「………う゛っ゛………」
―――気色悪い、のただ一言である。
ローゼマイン以外のことでは鉄の自制心を持つクラリッサも、あんまりにもあんまりな結論に、ついつい淑女に相応しからぬ声と表情をしてしまう。
その位に現状を冷静に考えてみたら、あんまりにもあんまりだった。
かつてフェルディナンドの有能さや冷徹ともいえる冷静さに畏怖に似た憧れと信頼を抱いていたが、その頃の自分に「目を覚ませ!!」とこれまた淑女らしくない勢いでもって往復平手したくなる程度には。
俯瞰した場所から見たほうが、間近で見るよりも物事の本質を把握出来る時もある。
なまじ今迄どおりローゼマインのほうだけを見つつ女神賛歌を唱えていただけでは思いつきもしなかった事だ。
(っ!! 今日の学びも、必ずローゼマインのお役に立てるはずです!!)
―――そう無理やりにでも思わないと、今味わった不快感が全く無意味なものになってしまう。
人が精神的負荷に負けぬように己を鼓舞する際に、有効な感情の一つが『怒り』である。
よって今日味わった屈辱も怒りも、全てをフェルディナンドとその取り巻きに向けることにした。
八つ当たりも多分に織り交ぜられたものであるが、そんな事は知ったことか。
今まで主ともども飲まされてきた煮え湯の数々に比べたら、クラリッサから怒りを向けられる程度は甘受すべきだ。
(おのれフェルディナンド、おのれユストクス、おのれエックハルト、おのれおのれおのれおのれおのれ………!!)
怒りと怨嗟を唱えつつ、クラリッサは底を尽きかけた忍耐力を絞り出し、なんとかローゼマインから賜った飲み物入りの盃を破壊しないように尽力した。
本日得た学びと改めて覚えた怒り、共有したい相手は遠い城の主の傍。
(ハルトムートの元に帰ったら、この納得と怒りを共有し消化するとともに今後の対策を練らなければ)
そう心に決めて、クラリッサも同僚にならい盃を煽るのだった。
~~~あとがきもどき~~~
お久しぶリンゴ。
こっそりとアップした次第にございます。
構想は元から温めていたものの、なかなか続きをUP出来ずにおりました。
いらっしゃるかどうかは不明ですが、もしこんな駄文を待っていてくださった奇特な方がいらっしゃった時のために、まずは謝罪をさせて下さい。
遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。
細かい側近ズの口調や性格に違和感をおぼえた方もいらっしゃるでしょうが、そこは「人間は経験と時間で色々と変わるよね」と自己完結して頂けると幸いです。
もっと短くしようかと思ったのですが、クラリッサの女神賛歌を止めるのは私には無理な相談でした。
もう疲れたよ、パ●ラッシュ………
頼むからハウス、クラリッサ………
この慰労会ネタはもう少し続きますが、今度はもうちょっと笑えるネタにしたいです。
………え?書くのはお前なんだから自力でなんとかしろって?
無理ですよ、狂信者が私の言うことを聞くとお思いで!?(見苦しい逆切れごめんなさい)
ちなみに表紙は、
慰労会が現代版だったら、飲み会のあと店から出たあとの風景ってこんな感じ?
………という、しょーもない理由だったりします。
ちなみに、クラリッサの心境の変化です。
↓↓慰労会前のフェルディナンドに対する意識
クラ「狡猾で有能で油断出来ない相手ですが………でも負けません!」
↓↓慰労会後
クラ「キッッッッショ!えんがちょ!主に近寄るな!つか見んなし!」
【ネクストコ●ンズヒント】
狂信者:オス + 純真無垢な脳筋 = ???