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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ユウセン

作者: 石原健司

地下鉄に、その大男が最後尾から乗車したとき、特に注意を払うものはいなかった。


2メートル近くの背丈で、プロレスラーのように筋骨隆々だった。


その肩には、やけに小さく見えるゴルフバッグがあった。


乗車率は七分ほど。ほとんどの乗客が座っている。


列車が次の駅に向けて発車したとき、大男はゴルフバッグの中からバールを取り出した。


それが惨劇の始まりだった。


大男がバールを振るうと、列車の一番後部の席に座っていた若者の頭部が弾け飛んだ。


頭蓋骨はあっさりと粉砕され、中身が車窓に飛び散った。


乗客たちは、突然の出来事に対応できずポカンとその様子を見ていた。


若者の向いに座っていた中年男性にもバールが振るわれ、同じ運命を辿った。


大男は大股で歩き出し、車両の前方へ向かった。


あまりの惨状に、乗客たちは悲鳴を上げることも忘れて硬直していた。


車両の前方の端へ着くと、またもバールを振るい、並んで座っていた女子高生を叩き殺した。


車内に血の臭いが充満し、大男が次の車両に移動したとき、やっと悲鳴が上がった。


列車は長く狭い。


後方の車両でなにが起きているのか、前方の乗客たちに知るすべはない。それでも異変を感じ、車内がざわつき始めるが、それは何の役にも立たなかった。


大男の行動は素早かった。


一撃で殺し、すぐに次の標的に向かう。


一見無差別に見えるが、車両の両端の席に座っているものが標的になった。


だが、両端の席に座っているすべての乗客が標的になったわけではなかった。


老人は殺されなかったし、若いからといって殺されるというわけでもなかった。


明らかに狙いを定めている。


果たして、どのような法則があるのかわからないまま乗客は悪夢のような時間を過ごした。


列車がスピードを落とし、次の駅に到着したときには大男は先頭車両まで到達していた。


列車が止まると、大男は惨劇の舞台となった地下鉄から降りた。


あまりの早業に、乗客たちは助けを求める余裕もなく、為す術もなかった。


男はゆっくりとホームに立ち、血塗れのバールを片手に姿を消した。


クエッション。


この大男の目的はなんだったのでしょう?


アンサー。


優先席を資格もないのに占有していたものたちをぶち殺してやりたかったから。


教訓。


社会のルールはちゃんと守りましょう。



END

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