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第二話「最期のポーランド双翼騎兵」

同年10月23日、ポーランド=ベラルーシ戦線の最前線、ラゴイスク上空


俺はアメ公に付与されたステルス戦闘機、F-35Aに乗りロスキー共を木っ端微塵にしている最中だ。

まああんまり楽しいもんではないな。仮に撃墜したのは良いんだが、その後だ。

脱出したなら良かったね、だが脱出できない奴は即死か「人間のケバブ」が完成するんだよ、多分な。

俺はケバブ好きなんだが、生憎人間ケバブは好きじゃねえ。

だから殺す時は的確に、だ。

もちろんエンジンぶっ壊してやるのも良いが、戦線に復帰されては困る。


ーと、無線が。

「ーおい、ピットブル、そんなフルでエンジン稼働させてたらすぐ燃料死ぬぞ?」

「はは、数機ハエ叩きでしばき倒したら良いだけだ。」

「ハエ叩きじゃなくて、サイドワインダー、な?」

「ま、ヘビの様に噛み殺してやる…ん?」無線の向こうでRWRが鳴り響く。まさか!

「おい、レッドネック、レーダー警報!」早く気づけあのアホ…!

「ん〜?…!?何だあれは…うわ、ミサイル撃ってきた!ブレイク、ブレイkー」破壊音と共に無線が途切れた。

「くそ、やられたか…!?」良かった。脱出はしているみたいだ。

「レーダーには…写ってはいるが機種が特定できない。何だこれ?」後ろを見る‥と…?

「は!?何だありゃ見た事ねえぞ!!露介の新型機!?」同じステルス戦闘機…だと?

「俺一人か…」さっきの奴は撃墜されてもういねえ。やるしかない‥!

咄嗟に操縦桿を後ろに倒す。後ろに回ってやらあ…!

が。

向こうの30mm機関砲の音が鳴り響く。

「うぐぅ…。」クソ、判断を間違えた。エンジン出力が減ってしまった。

急いで早期警戒管制機のE-3に無線を繋げる。

「E-3、機種不明機が…!」

「ああ、わかってる。アレはSu-75だ。」

「Su-75だと?!開発が遅れてたはずじゃあ…」

「それが予想外だったみたいだ。とりあえず彼奴は機動性がいい。あとそいつはUAVを積んでると思うから気を付けろ。」

…クソッタレが!取り敢えず回避機動を取らないと…何か無いか…くそ、一か八かだ!

俺はラダーを踏み、激しくロールをする。垂直旋回だからGはクッソ掛かりやがる…!

「釣れた……!」奴が引っ掛かりやがった。こっちに来る隙に…!

俺は機首を全力であげ、減速する。そう、プガチョフ・コブラだ!

後ろに付かれてるなら、そこから離脱すれば良い。そして後ろにこっちがつき、反撃開始だ!

25mmGAUの雨が奴に襲い掛かる!

「やった、当たったぞ!!」向こうの燃料タンクらしき物に火がついた。これで機動性もだいぶ落ちた……?

なんだと…?機首をあげやがった、あのダメージで…?まさかエネルギー勝負?!博打に出たか…。

俺も即座に機首をあげ、その博打に命を賭けることにした。

高度がみるみる上がり、エンジンが悲鳴を上げ始める。まずい、エネルギーが尽きてきた…ストールしてしまう!畜生が、これで死ぬなら諸共だ!

俺は即座に奴をロックオンしサイドワインダーをぶっ放す!そして残弾全てお前にあげてやる!

ミサイルが発射され、俺は同時に操縦桿を握りGAUをあらんばかりにぶっ放す。そしてー

-Stall,Stall-

ああ、ストールしちまったー。頼む、当たっててくれ、俺は無神論者だがこの瞬間だけは祈る。

「O Boże, jeśli już tu jesteś, ocal mnie... i zniszcz tych, którzy mi się sprzeciwiają... proszę... proszę zniszcz ich....」

爆発音がした。ああ、やった、やってやったぞクソッタレ…くたばりやがれ正教会のアバズレ共…。

ポーランドは滅びz…


突然横腹を何かが貫いた。くそっ、燃えるように痛い…意識が遠のいていく。ふと外を見るとさっき撃墜されたはずのSu-75のパイロットが狂ったような笑顔でこっちを見ている。そうかあの野郎、最期の最期にぶちかましやがったな…俺はもうダメかもしれない。最後に俺が出撃したデンブリン空軍基地に最期のメッセージを送ってやろう。無線を合わせた。

「デンブリン空軍基地、聞こえるか…っ…はあ、はあ…F-35A”ピットブル”だ。」

「こちらデンブリン空軍基地。ピットブル、どうした。」

「ああ、お前等に最期のメッセージを言おうと思ってな。」

「最期のメッセージ…どうした、撃墜されたのか。」

「こっちが撃墜したが、返り討ちにあっちまった。まあ聞いてくれよ。あ、録音してろよ?w」

「了解。」

「俺はもうダメだ…機体もダメージが酷い。俺自身もさっきのドッグファイトで血が止まらない。多分もうちょっとしたら俺は死ぬ。相手はSu-75だ。ロスキー共の新型機だ。この俺をぶっ倒す程だ。

だからカミシュ国防大臣にこう言ってくれ。『早く新型機開発しろこの馬鹿が』ってな。そして長ったらしいがお前等との生活は楽しかったぜ。きっと俺より先にくたばったレッドネックの野郎の喜んでるだろうよ。あとここからは俺の家族に聞かせてくれ。ーおい、愛する妻のニジェラツキ。今までこの馬鹿アル中と一緒に居てくれてありがとな。そんなお前に贈り物がある。ま、誕生日プレゼントだな。……ハアハア………お前の好きなロレックスと、俺の口座に500万ズオティがある。なんでも使ってくれ。そして我が息子、カチンスキ。愛してるぞ。お前にはペンダントを送る。そこには俺がいるからな。お前を俺はいつも見ているからな。悪さだけはするなよ〜。笑」

「……もう大丈夫だ。無線を切ってくれ。」

「…わかった。よく頑張ったな、「最後のポーランド双翼騎兵」、カジュミェシュよ」

「はは、じゃあな。Polska nie została jeszcze zniszczona!」


無線を切った。もう殆ど意識がない。奴はもう死んだな。やっと安らかに死ねるぜ、じゃあな、我が祖国、そして愛する家族よー


俺は死んだ。誇り高き最後のポーランド双翼騎兵として。


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