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ライオのだいぼうけん

作者: 狭間閉間

ライオは くまの ぬいぐるみ


ライオは ライオですが ライオンではありません


ライオの もちぬしは あいちゃんです


ライオと あいちゃんは だいのなかよしです


えほんを よむときも


ごはんを たべるときも


おふとんで ねるときも


いつも いっしょです




あるひ あいちゃんは おとうさん おかあさんと ピクニックに でかけます


もちろん ライオも いっしょです


このひ ライオは おめかし しました


ベストをきこんで ひだりむねに ブローチをつけます


いっぽう ねこの ミントは おるすばんです


「んにゃあ ライオは いいなあ みんなと おでかけ」


「ミント つぎは きっと いっしょに おでかけ できるよ」


「んにゃあ そうだね

 ざんねんだけど きょうは るすばんを がんばるぞ」


ミントは すっかり やるきです


ライオは かえってきたら きょう どんなことがあったか おしえてあげようと おもいました





ピクニックの いきさきは こだかい おかでした


あいちゃんは おかあさん おてせいの サンドイッチを たべました


そして はなかんむりを つくります


ライオは よこで みまもります


そのときです! とても とても つよい かぜが ふきました


ライオは おかを ころがっていきました


ころりん ころりん すってんころりん


「いてて」


ライオは おかの いちばん したまで おちてしまいました


「あんなに つよいかぜが ふくなんて

 あいちゃんが しんぱいだ」


ライオは おかを のぼります


うんしょ よいしょ どっこいしょ


おかを のぼりきると あいちゃんは いませんでした


かわりに すずめが いちわ いました


「すずめさん すずめさん あいちゃんが どこにいるか しってる?」


「ちゅん あいちゃん? ああ おかに あそびにきていた おんなのこだね

 おとうさんに だっこされて かえっちゃったよ」


「ええっ かえっちゃったの!?」


「ちゅん

 おんなのこが わあわあ ないてて みんなが どうしたのって きいたら

 ライオが いないって こたえて

 みんなで さがしまわってたんだけど

 とうとう みつからなくって」


「そうだったんだ」


「きみが ライオだね

 いまから あいちゃんの ところへいくのは たいへんかも

 にんげんの こうどうはんいは ひろいときくよ」


「たいへんでも いくよ

 ぼくは あいちゃんの ぬいぐるみだから」


「ちゅん そうかい

 あいちゃんは あっちの ほうがくへ いったよ」


すずめは ちいさなはねを さしました


「ありがとう」


ライオは おれいをいって あるきだしました


「ちゅん あいちゃんと あえることを いのってるよ」


おうえんしてくれる すずめに ライオは てをふりました





ライオは おかを のりこえ まちにつきました


まちにつくと おおきくて けなみがきんいろの いぬに あいました


ライオは あいちゃんのおうちを たずねてみました


「いぬさん いぬさん あいちゃんの おうち しってる?」


「わふう しらないですなあ」


つづいて まっしろな ねこに あいました


「ねこさん ねこさん あいちゃんの おうち しってる?」


「にゃあ わかんない」


すると はなしをきいていた みけねこが いいました


「にゃにゃあ しってるよ」


「ほんとう!?」


「こっちこっち」


ライオは みけねこに ついていきます


ライオと みけねこは いっけんの おうちに たどりつきました


にわで おんなのこが おかあさんと あそんでいます


おかあさんは おんなのこを ()()ちゃんとよんでいました


「にゃにゃあ ごめんね あたしの かんちがいだった みたい」


「ううん にてるから しょうがないよ」


ライオが さろうとすると ()()のながい いぬが かけつけました


ライオが あいちゃんを さがしてるのを ききつけて きてくれたのです


「わわん あいちゃんって よばれてるのを きいたよ まちがいない」


ライオは どうのながい いぬに ついていきます


ライオと どうのながい いぬは おおきくて かわらやねの おうちに つきました


おうちの なかから おばあさんが でてきて いいました


「あいちゃん あいちゃん ()()()ちゃん

 おけいこのじかんですよ

 どこですか」


ここに すんでいる おんなのこは あいこちゃん でした


「わわん あいちゃんって よばれてても あいちゃんじゃない こともあるんだね」


「そうみたいだね」


「わわん ごめん」


「ううん おしえてくれて ありがとう」


「わわん みんなにも あいちゃんのこと きいておくよ」


ライオは おれいをいって ふたたび あるきはじめました





ライオは あいちゃんを さがします


はれのひも あめのひも くもりのひも ゆきのひも かぜのひも あらしのひも


ライオは めげずに つづけます


そうして どれくらいの じかんが たったでしょう


ライオは きづけば ぼろぼろに よごれていました


あるきつかれた ライオが きゅうけいしていると カラスが ちかづいてきました


「かあ おまえ いいもの つけてるな おれに よこせ」


カラスは ライオの ブローチが おめあてのようです


「だめだよ これは あいちゃんがつけてくれたものだから」


「かあ あいちゃんって おまえの もちぬしか

 そんな ぼろぼろで すてられたんだろ」


「ちがうよ! はなればなれに なっちゃったんだ」


「それを すてられたって いうんだ!

 もし そうじゃなかったとしても

 どうせ おまえのことなんか わすれてるよ!」


「そんなことない!」


「ええい ごうじょうな やつだ」


カラスは ライオを つついてしまいました


そして ライオの くびのつけねから わたが とびでてしまいました


「かあ そんなつもりじゃ」


カラスが あわてているところに まっくろな ねこがとびだして きました


「にゃお! カラス あっちいけ」


カラスは いそいで とんでいきました


「だいじょうぶかい?」


「う

 う〜ん

 いくんだ

 あいちゃんの

 ところへ」


「なんて けなげな ぬいぐるみだろう!

 きみを たすけてくれそうな ひとを しってるから つれていってあげる」


「う

 う〜ん

 ありがとう」


「にゃお それにしても こっぴどく やられたね

 カラスには きをつけるんだよ

 ひかりものが だいすきなんだ」


ふたりが おしゃべりしているうちに チョコレートいろのおうちが みえてきました


なかは きらきら ひかるいしで いっぱいでした


「にゃお おじいさん こんにちは」


「おや めずらしい おきゃくだ」


まんまるめがねの おじいさんが いました


ライオをみた おじいさんは めがねにまけないくらい めをまんまるにして こういいました


「おお これはひどい

 まずは ちりょうだ」


おじいさんは いそいで ライオをなおすさぎょうに とりかかります


「では はじめますかな

 くろねこくん てつだってもらっても いいかな

 なにぶん としでねえ」


「にゃお もちろんですとも」


まっくろな ねこは はりといと それから おけとせっけんを よういしました


おじいさんは まず ライオに はりを とおしました


すい すい すい


それから おせんたくします


じゃぶ じゃぶ じゃぶ


ライオは すっかり もとどおりです


「ありがとう くろねこさん おじいさん」


「にゃお きれいになって よかった」


「どういたしまして

 よかった よかった

 ゆっくり していきなさい

 なんなら ずっと ここにいても いいよ」


ライオは すこし なやんでしまいました


このまま あいちゃんを さがしつづけても あえないかもしれないと おもったからです


でも ライオが なやんでいるじかんは ながくありませんでした


「ありがとう おじいさん

 でも ぼくは いくよ

 あいちゃんが まってるから」


「なんとなく そんなきがしたよ

 きをつけて いくんですよ

 もどってきても いいからね」


おじいさんが みおくろうとしたとき ライオは こえをかけられます


「んにゃあ もしかして ライオ?」


「そのこえは ミント?」


「んにゃあ どこいってたの ライオ!?

 すっごく しんぱいしてたんだよ!」


ライオと ミントは うれしさのあまり わあわあ ないてしまいました


ふたりが おちついてきたので おじいさんが たずねました


「おふたりさんは しりあいかな?

 もしかして あいちゃんのところへ いけそう?」


「うん ぼくたち かぞくなんだ」


こんどこそ ライオとミントが しゅっぱつしようとしたとき まっくろなねこが なにかに きがつきました


「にゃお カラス またきたのか」


カラスが きのうえに いたのです


「かあ さっきは わるかった

 こうげきする つもりは なかったんだ」


ライオは カラスに げんきがないのが わかりました


ライオは そんなカラスに おこるきもちは ありませんでした


かわりに こういいました


「カラスさん ブローチはわたせないけど ていあんがあるんだ

 おじいさんの しごとを てつだってあげてほしいんだ

 そのおれいに きらきらしたものを もらうんだよ

 ここには いっぱい あるから

 おじいさん どうかな」


「それは めいあんだ」


「かあ なんて こころが ひろくて かしこい ぬいぐるみだ

 おわびに あんぜんな みちを おしえるよ」


ライオ ミント カラスが あいちゃんの おうちを めざします


「かあ そっちのみちは くるまがおおい

 こっちのほうが らくにわたれる」


カラスのたすけがあって ライオと ミントは なんなく すすむことができました


そうして たどりついたのは クリームいろの おうちです


ミントは とびらを かりかり ひっかきます


すこしして とびらがひらきました


とびらのうちにいたのは あいちゃん そっくりの おんなのこ です


「ミント もう おじいちゃんだから あんまり とおくに いっちゃダメって まま いってたよ」


そして あいちゃん そっくりの おんなのこは ライオをみて いいました


「ままー くまさん ミントがつれてきた」


おんなのこの おかあさんも おうちから でてきました


おんなのこの おかあさんは ライオをみて びっくりしました


「えっ ライオ!?」


「えー ライオンじゃなくて くまさんだよー」


「そう そうなの ライオはライオだけど くまさんなの」


「まま ないてるの? かなしいの?」


「ううん うれしいの」



あいちゃん そっくりの おんなのこは かなちゃんといいました


かなちゃんは あいちゃんの こどもでした


あいちゃんは おかあさんに なっていたのです


それでも あいちゃんは あいちゃんでした


ライオは それから ぼうけんしていたよりも ずっとずっと ながいときを あいちゃんのかぞくと すごしました


筆者は幼稚園の頃、母の自転車に乗ってる際にトトロのマグネットを握りしめていたのですが、いつの間にか失くした、ということがありました。

それから小学校低学年の頃に引っ越したのですが、その引越し先になんとトトロのマグネットがあったのです(名前も書いてたので間違いない)。

記憶が美化されてて間違った解釈をしてる可能性もあるのですが、この話を書き終わってからこの記憶を思い出しました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ずいぶん長い年月を旅したんですね。 ミントが生きているうちに逢えたのがよかったですね。 [気になる点] もしかするとライオくんには嗅覚がないのかもしれませんね。 けなみがきんいろのいぬや…
[一言] あいちゃんにまた会えて良かったです!
2023/01/10 16:26 退会済み
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