私、死にます。
亜子「、、、朝?、、、まだ生きてるのね、、、」
私の名前は柏木亜子。歳は28歳、A型、スレンダー美人?だ。
柏木財閥、柏木商事の一人娘。そして私はもうすぐ死ぬ。
末期の膵臓ガンだ。
私は明日が来ないかもしれない恐怖を感じない。
美味しい物も沢山食べたし、行きたい所も行った。人生それなりに楽しんだのだ。
正直、今まで男に不自由した事はないし、下は高校生から上は50のおじさんまで恋と言えるかは分からないが付き合ってみた。
最後のその時までは、父の柏木商事に秘書として務めるつもり。周りは誰も私の病気を知らない。
、、、両親も知らない。私は一人寂しく死んでいく。
それでいい。
亜子「おはよう!」
同僚「おはようございます!柏木さん!」
同僚「そういえば、この前の飲み会の後、近藤さんとどうなったんですか?」
亜子「別に、、、断わったわ。」
同僚「!え、勿体無い!あんなイケメンからの誘いを断るなんて!!!」
亜子「貴方が狙ったらどう?協力するわよ。」
同僚「本当ですか?是非!」
亜子「それじゃラインしとくから後は頑張って。」
くだらない。、、、たかだか男を捕まえるだけであんなに喜んで、、、男なんて皆一緒。最初はドキドキ感で冷静な判断が出来なくダイヤモンドを見つけた様な高揚感に支配されるが、徐々にメッキが剥がれていき最後は鉄の塊となる。
、、、皆、一緒。
昼休み
私は会社の屋上でタバコをふかしている。フェンスに手を乗せて遠くを見ている。
タバコの灰が風で舞い上がり空中でバラバラになる。
亜子「私も消えてなくなるのね、、、」
亜子の後ろの空中に歪みが出来る。
その歪みは亀裂に代わり亀裂から何かが出てきた。
足、、、腿、、、胴、、、手、、、肩、、、首、、、頭、、、羽根、、、。
人、、、羽根の生えた裸の人が降りてきた。
その人は地上に降り立つと羽根を隠し、自分の身体を見渡すと何やら唱える。
髪はショート、痩せ型、身長175、童顔で年齢は20歳前後にみえる。
上下黒のスーツに身を包み、黒の革靴を履いている。
神「、、、こんな感じでいいか、、、。」
そうつぶやくと亜子の方へ歩いて来た。
神「やぁ亜子!風が強いね。寒くない?」
季節は3月末、春先といえどまだまだ寒い。
亜子は振り返りムッとする。
「誰?いきなり呼び捨てなんて気持ち悪いんだけど」
神「、、、気持ち悪い?病気のせいか?」
亜子「?、、、貴方誰?何故病気の事を知ってるの?ストーカー?」
神「、、、俺は、神っていうんだ。あんたら人間の創設者だ。柏木亜子。お前に少し興味があってね、、、お前が無に帰る前に話してみたくなったんだ。」
亜子「、、、新手のストーカーね、、、顔は悪くない。登場の演出もなかなか面白いわ。よく調べたのかもしれないけど50点ね。残念だけど早く消えて。」
神「、、、亜子、死ぬのが怖く無いのか?人間に感情を与えたはずだがお前からは恐怖が感じられない。、、、お前はイレギュラーか?」
亜子「、、、ハァー。、、、貴方、頭大丈夫?正直、気持ち悪いんだけど。」
神「別にお前は作品であり、消す事は動作も無い。しかし、イレギュラーサンプルとしては興味深い。どうだ、感情を取り戻したいか?」
亜子「、、、駄目だ。頭イカれてる。、、、早く消えないと本当に警察を呼ぶわよ!」
神「、、、ふむ、人間相互の関係で成型された感情か、、、高校生くらいからやってみるか!、、、よし亜子、高校2年生に戻るぞ。」
神は亜子に近づき肩に手を当てる。
亜子「触らないで!」
亜子は身体を反らすがふっと力を抜く。
「、、、いや、別に良いわ。好きにしなさいよ。どうせチリになるんだから。今すぐ殺しなさいよ。」
神「、、、可愛くないな、、、こりゃ完全に失敗作だな。」頭をボリボリ掻く。
亜子「カチン、何なのあんた。何がしたいの?」
神「それじゃ行ってみよか!」
神は天を指差し光に包まれる。
次の瞬間、二人は消えた。