コーラルピンクの空を白い飛行機が飛んだ
掲載日:2021/10/31
黒森 冬炎氏主催の移動企画、タイムサービス参加作品です。
君は訊く。
「ねえ、何になりたいの? 将来」
君は机に腰かけて、足をぶらぶらさせている。
僕は答える。
「パイロット、かな」
それは本音が少し。見栄がたくさん。
僕は尋ねる。
「君は何をしたいの? 大人になったら」
君は答えた。
「サンゴ礁。サンゴを守りたい。海の番人になる」
きっとそれは君の本気。
だから僕は、ちょっと悔しい。
放課後の教室。
二人だけの空間。
黒板には消し忘れの、『SDGs』の文字。
手持ち無沙汰の僕は、答案用紙を折り曲げる。
君は窓を開ける。
「ねえ」
君は窓辺で笑う。
「連れてってよ。君がパイロットになったら」
僕は折り曲げた紙を持ち、君に尋ねる。
「何処へ? 別に、いいけど」
ぶっきらぼうに、僕は答える。
これも本音。
本音の奥に隠した、僕の本心。
君の声は、窓からの風に乗る。
「沖縄。沖縄の海!」
夕陽が君の唇を、珊瑚の色に染める。
「いつか、行こう。一緒に」
照れた表情を見せたくないから、僕は窓から放る。
折ったばかりの、紙飛行機を一つ。
夕焼けに染まりながら、紙飛行機は飛んで行く。
僕は君の肩を抱き、唇を重ねる。
紙飛行機の軌跡は、もう見えない。
蔵出し作品その1。詩に変えました。




